本気で世界を変える。企業の機密文書処理サービスをタダで提供するe-Pod事業を運営するTAAS(ターズ)代表・大越隆行氏に経営戦略を聞く

本気で世界を変える。企業の機密文書処理サービスをタダで提供するe-Pod事業を運営するTAAS(ターズ)代表・大越隆行氏に経営戦略を聞く

企業の機密文書処理サービス「e-Pod」。
企業にとっては間接コストがかさむ領域だが、これを業界で初めて初期費用・利用料・容量無制限でタダで提供するアップデート版「e-Pod Digital」を展開する同社。
機密回収ボックス内に内蔵されるデジタルサイネージから広告配信をし、広告収入を得るため利用企業はタダで使用できる、という画期的なアイディア。また最大の特徴は、企業の処理コストをゼロにすること。運営を行うのは「TAAS」。
当初、サービス提供開始直後は3パターンの料金プランを用意していたが、同社代表取締役の大越隆行氏のアイディアからコストゼロを実現。それは一体どんなアイディアか。そもそもどのようにして「e-Pod」は誕生したか。本人に伺ってみた。

企業の機密文書を処理するe-Podを提供しているTAAS

───まず、TAASがどんな会社なのか教えてください。

大越隆行氏(=以下、大越氏):主に「e-Pod」という企業の機密文書を処理するサービスを提供している会社です。それ以外にも、一部知り合いの方などから「事業再生で手伝ってほしい」「新規事業進出の支援をしてほしい」「講演をしてほしい」などといったオファーもあり、必要とされている限りはそういった方々を支援したいという気持ちもありますので、メインではないですが、経営コンサルティングも事業としてやっています。

───「e-Pod」がどんなサービスなのか教えてください。

大越氏:一言でいえば「企業から排出される機密文書を、利用料タダで溶解処理できる業界で初めてのサービス」。要は処理コストを完全にゼロにするというサービスです。例えば、企業でいうと、会社の規模が大きくなればなるほど機密文書、つまり書類や提案資料の取り扱いが増えますが、それらをシュレッダーにかけずにゴミ箱にポイと捨てて「終了です」というわけにはいきません。
シュレッダーをかけても、どのみち処理しなくてはなりませんが、かけなかったとしても溶解ボックスのようなところに入れて、委託された専門業者が処理するという形になります。そうなると、ある一定の費用を毎月払っていくことになります。その処理コストは特に何も売り上げに繋がらないコストで、企業としては1円でも削減しなければいけないコストです。
特に経営陣になればなるほど、そのコストは抑えたいもの。そこで、「その処理コストをタダにします」というのがe-Podになります。しかも容量は無制限です。「溶解処理」ときちんと示して、適切かつ安全に溶かす、しかもそれを「タダで」と打ち出しているのは弊社だけですので、業界として初めての試みになるかと思います。

───利用料はタダとのことですが、どのようにして収入を得ているのですか?

大越氏:利用していただく際は、初期費用もかからないですし、月額のランニングコストもかかりません。容量がどれだけ増えたとしても利用料はゼロ円です。その代わり、広告でマネタイズをしています。e-Pod Digitalの溶解ボックスに内蔵されているデジタルサイネージのモニターから広告配信をさせることができるので、その広告出稿料でマネタイズをしています。
利用したい場合、申込書のような書類を用意しておりますのでそれに記入していただくか、WEB上からお申込みいただきます。申し込みが完了したら順次e-Pod Digitalを設置していく流れとなります。

───サービス開始当時から利用料はゼロ円だったのですか?

大越氏:いえ、2016年9月の会社創設からちょうど1年後の2017年9月に「e-Pod」の提供を開始したのですが、当初は有料でした。料金プランは、月額1万円、月額2万9,800円、月額4万9,800円の3タイプを用意していました。
ほとんどのケースで1万円から利用できるプランでご導入くださっていましたが、より利用しやすいようにと無償化での提供を始めたんです。利用するのは企業になるので、企業が導入しやすくするためには金額の障壁をなくした方がいい。ではどこからお金を取るんだと考えたときに「広告モデル」にできれば広告出稿費として賄えると思ったんです。私たちは、売り上げを取ってくるという意味でいうと広告屋さんなんですよ(笑)。この新e-Podを「e-PodDigital」と呼んでいるのですが、2019年1月から順次設置していきます。

───「e-Pod」はどのようにして誕生したのですか?

大越氏:以前、私はアマゾンジャパン合同会社に勤務していて、直接面識はありませんが創業者兼CEOであるジェフ・ベゾスに非常に強く影響を受けました。アマゾンという会社はもともと、ジェフの自宅ガレージからスタートしています。平たく言えば旧態然とした「小売業界」に対する彼のチャレンジでした。インターネット上で物の売り買いが自由にできるeコマースという領域を新たに創ったんです。


小売業界は百貨店に行かなきゃいけない、店舗に直接出向かなきゃいけないというのが旧態依然としたやり方。それをスマホなどを使ってインターネット上でポチポチやれば買えるという、仕組み自体はシンプルですが、それをきちんと仕組み化して日常的な生活のインフラにさせるのが彼の狙いで、インフラになる=利用頻度が上がる。
つまりそれは利用する人たちが増えるということを意味します。そう考えたときにe-Podの構想も、「機密文書の処理」というのはかなりニッチですが、ほとんどの事業会社で契約書などの個人情報が絡んでいる書類や提案書、機密文書がうじゃうじゃ出る中で、溶解処理をする業界ってすごく旧態依然としているなというのをずっと感じていて、もっと使いやすくかつ利用しやすくし、より気軽に使えるようにしよう、仕組み化しようと考えたのがきっかけです。

───ジェフ・ベゾスの考えが影響されたのですね。きっかけとなったエピソードはありますか?

大越氏:アマゾンジャパン退社後に私は「ランサーズ」に入社しました。すぐに役員に就くことになりパートナーと一緒にフィリピンで会社を創業したのですが、フィリピンと日本を行ったり来たりすることになったんです。
そのときに1~2週間ほど自宅を空けることが多く、帰国して自宅に帰ったときにマンションの郵便ポストがパンパンに詰まっているわけです。そこから公共料金の支払いなど必要なものを抜いて、それ以外の出前だったりパチンコ屋さんの新装開店のチラシだったりというのをもれなくマンションのごみ箱に捨てるんですが、ある程度どんな郵便物が入ってるくらいは予見できるわけですよ。
それにも関わらず、同じ捨てるというアクションをするわけです。これを感じたときに、すごいもったいないなと思ったんです。何で自分である程度把握できているのに同じ動作を毎回毎回繰り返すんだって。それって無駄だし、もったいないことでもあるし、もっと別のことできるんじゃないかって。
またはそれが何かしらもっと愛着があるようなものに変わって戻ってきてくれれば、その方がより自分たちが良いことをしてるなって思えるんじゃないかって。それが着想のきっかけです。ただ、個人相手にそれをやるとなったとしても、インパクトはもちろん大きいんですが、それ以上に企業から出る廃棄物の方が圧倒的なボリュームが出ることが分かっていましたので。だったらまずはB向けのサービスとしてやっていこうと頭を切り替えてやり始めたんです。

99パーセントが辛くても、残り1パーセントがエキサイティングだから続けられる

───TAAS社を起業するにあたってきっかけになった出来事があれば教えてください。

大越氏:まず大学生の頃の話なんですが、当時何をやるかは全くイメージ湧いていませんでしたが、ただ将来何かしら自分がやりたいって思った事業で会社をやりたいなというのは思っていたんです。そんな中で就職したのが、当時20人ぐらいしかいなかった「grooves」というベンチャー企業。新卒一期生で入って3年半くらい働きました。
その後25歳のときにアマゾンジャパンに転職しました。アマゾンジャパンに入ることが決まった段階で、丸5年で辞めようって決めていたんです。というのも、外資系企業ということもあり、年間かなり多い割合の従業員のクビが切られては、血の入れ替えをする、という厳しい世界です。生き残りたくても生き残れない人たちが多い環境で、とりあえず5年間頑張ってみようと思ったんです。5年経ったらスパッと辞めようと考えていましたね。

───それから起業に至るまでにはどんな経緯がありましたか?

大越氏:その後に約1年間だけランサーズという会社で働きました。そこでは、先ほどもお話したように、フィリピンに行ったり日本に戻ってきたりというのをしていました。実はランサーズに入る前、創業社長らには、「起業する前提なので長くはいません」ということをお伝えしていたんです。武者修行として学ばせてもらいたい、それでも良ければ何とか頑張りたいという話をしたら「全然良いよ」という風に言ってくれまして。約束通り、1年後に退職しました。

───その後に創業という流れですね。

大越氏:ええ。時間は買えないといいますか……。
自分で起業して会社をやられている方は全て共通で思われている方が多いと思うんですけど、10年間経って初めて経験できることが、この1〜2年で経験できるとしたら、例えもらえるお給料が下がっても僕はその1〜2年で経験できることを優先させたいんです。
何故なら、自分の中で年齢的なアドバンテージが圧倒的に上回っているから。歳を取ることに変わりがないのなら、ある程度年齢が若いうちにチャレンジできるタイミングでチャレンジをしたかったんです。人生は一回しかないので。自分が歳を取ったときに「あの時こんな風にしとけば良かった」というような後悔は絶対したくないんです。
だったらまずチャレンジして失敗して、コケたならそれはそれでいいやって。チャレンジも何もしないのに「いや~これどうしようかな」みたいに躊躇する時間がもったいないって思ったんですよ。なので全然躊躇なく……と言いながら実はビビっていましたけど(笑)。

───TAASを立ち上げて2年。当初のイメージとのギャップはありますか?

大越氏:そうですね、起業という部分で言うと正直「大変だな」という一言に尽きると思います。100パーセントのうち99パーセントはほぼ辛いことで、しんどいです。ですが、残り1パーセント、その99パーセントを凌駕するくらいのエキサイティングなことがあるから続けられるんです。本当にそれに尽きると思います。
むしろそのエキサイティングな1パーセントのためにやっているという感じですね。それがたまらなく楽しいし、自分を奮い立たせてくれますね。

世界3大陸でのIPOを目指す

───TAASの今後のビジョンを教えてください。

大越氏:まずは、e-Pod Digitalの導入企業数、広告出稿の導入企業数を国内で加速させて普及させていきたいのですが、2019年9月までに1,000社の設置導入を目標に掲げています。中長期的に言えば、EU(ヨーロッパ)、最終的にUS(アメリカ)に進出したいと思っているので、このサービスを世界規模で広めていくことも視野に入れています。
というのも、ヨーロッパ、特にEUは日本よりはるかに環境意識が高いんです。日本は世界からするとそこまで環境に対する行動レベルは高くなく……なのでe-Podを通じて環境に対する取り組みだったり、環境に対する投資みたいなものだったりを加速させたいなと考えています。その先は、世界3地域(アジア・ヨーロッパ・アメリカ)、日本のマザーズ、更に東証一部、、イギリスのロンドン証券取引所、アメリカのNASDAQでの上場を目指します。

───個人的な夢は何かありますか?

大越氏:アフリカに学校を建てたいんです。現地に住む子どもたちに向けて学校を作って、そこで学ぶ楽しさだったりというのを伝えて、そこから将来的な起業家が輩出できたら本望だなと思います。何故アフリカかというと、彼らって身体能力はもちろん、基本な能力、順応力が非常に高い。おそらく学ぶ環境だったり、その土壌が整っていないだけで、ちゃんと環境が用意されていれば優秀な人材、ポテンシャルは発揮できると思うんです。
ただそこに対して社会情勢や資金面も含め、苦しい。でもそれって、資金的な部分がクリアできたとしたら、そこから世界に通じるような人材を育てていけるんじゃないかって感じるんです。どんな世界でも戦っていける人材を世界中で支援したい。そんな風に考えています。

───大越さんにとって、人生のターニングポイントは何ですか?

大越氏:2つあって、1つは新卒で入ったgrooves。当時、債務超過で額までは言えませんが、相当な額の借金がありました。僕と部下の男性2名の営業部隊で約6〜10カ月近く、ただひたすらに働きまくって売り上げを取ってきて。。。借金をすべて返しきって黒字転換させたんです。もう死ぬかと思いましたけど(笑)。そこで結構、反骨精神というかがむしゃらさというか、そういうものを掻き立てられました。

───もう1つのターニングポイントは?

大越氏: アマゾンジャパンでの体験ですね。
当時26歳で、世界最年少の事業責任者に就任しました。四方八方から批判の声を浴びせられたんです。本来だったら40歳くらいの人がなるポジションなので。26歳という年齢でその経験ができたというのはとても財産になりました。当時はまだ未熟で、そもそも専門用語が多すぎてという状況下で、とりあえずがむしゃらに努力して、がむしゃらに食らいついて学んで、事前に勉強して準備して、何とか3〜4カ月目くらいからは対等に話せるくらいにはなりましたね。

スタートアップ企業はまず相談に行った方が良い

───行政書士法人INQでは 、スタートアップやベンチャー企業に対する士業のほかに起業に関する財務相談も行っていますが、御社含め財務面でのサポートニーズはどの様なところにあると感じますか?

大越氏:弊社の場合でお話ししますと、創業2年目のときに、共通の知り合いの方からご紹介いただいたのですが、当時は資金繰りが全然できなくて、キャッシュフローがとても悪い状況だったんです。それでGOALさん(現INQ)に今年の4月か5月くらいに日本政策金融公庫からの融資を勝ち取っていただいて、融資が下り、何とか盛り返せたんです。
資金繰りに困っていたので本当に助かりました。

───資金繰りの健全化が目的だったということですね。

大越氏:はい。自分たちが何をしたいのかにもよると思うんですが、そんなに大掛かりな事業はしませんという話であれば、資金繰りって必要ないのかもしれないので、あえて融資だったり調達をしなくて良いのかもしれないです。
けれど自分たちが考えてる構想自体が、大掛かりなことだったり、社会的インパクトを与える大きな事業になってくると、やっぱり自分たちが労働集約的にあがいて稼ぎ出すお金より、どう考えてもある程度まとまった資金が必要になってきます。事業をドライブさせるエンジンというか、潤滑油というか、そういった意味で選択肢の一つとして考えておくのはありかと思います。

───審査自体はどうでしたか?

大越氏:実はGOALさんに出会う前に、ベンチャーキャピタルを中心に60社近くまわって全部断られたんです。
理由は「このe-Podのビジネスがニッチ過ぎる」ということでした。自分たちもやったことがない、やったことがないのにお金入れられないよって全部お断りされたんです。とあるVCの方からは時価総額100億いくイメージが持てない、とか散々言われたこともありましね。今となっては懐かしい思い出ですけどね(笑)
事業計画の資料とかかなりの量を用意して、それを書き直してと時間ばかりがかかりましたが、その苦労むなしく、全部見送りされました(笑)。そんななかでGOALさんは、弊社のビジネスをしっかり聞いてくれて、無事融資していただいて今があります。

───INQにはどんな起業家が相談すればいいと思いますか?

大越氏:スタートアップで立ち上げられた方だったら、規模感関係なく、まず相談しに行った方が良いんじゃないかなと思います。理由は明確で、やっぱり資金繰りって会社を起業してスタートアップを目指す経営陣だったら誰しもが無視できない話だからです。結局その経営陣が、知識があるかないかで差が出ますし、あとは専門家が実際に知っているか知っていないかだけでもだいぶ差が出てくるんです。
だったらそもそも知ってる人がちゃんと傍にいてくれて、サポートしてくれた方が良いのではないかと思います。自分たちに対して、お金が出ると思ってないのに「これだったら出ますよ」ってなると「あ、出るの?」みたいな驚きがありますよ。そのお金でできることって事業を進めるうえで本当に大きいんです。

大越隆行氏プロフィール

1985年生まれ、神奈川県横浜市出身。
関東学院大学卒業後、人材系ベンチャー企業groovesに入社し、営業としてキャリアを積む。2010年にアマゾンジャパン合同会社へ入社後、26歳で事業責任者へ就任。新規事業の立ち上げも経験し、年商18億円から年商55億円へと成長させる。2015年、さらなるキャリアアップを求め、ランサーズ株式会社に入社。Lancers Philippines取締役を務め、海外事業展開の一環とし、フィリピンにおける同社法人 Lancers Philippines,Inc.の設立に大きく貢献。2016年9月、「TAAS(ターズ)」を創業。
2017年7月、株式型クラウドファンディングとしては日本最高額となる8,290万円の資金調達に成功。

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