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設備資金か運転資金でキャッシュフローが変わる!?

創業融資 設備資金か運転資金でキャッシュフローが変わる!?
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武田 信幸

1981年生まれ。千葉県出身。 スタートアップ期の銀行融資や補助金等、資金調達の専門家。 行政書士の傍らインストロックバンド「LITE」のギタリストとしても活動している。行政書士業と共に年2,3回の海外ツアーをこなす「行政書士×ミュージシャン」のパラレルワーカー。

資金使途とは

融資を受ける上で必要不可欠なのは、融資を受けたお金の使いみちです。
これを「資金使途」と言います。
金融機関は資金使途が妥当かどうかを判断し融資の可決を行っています。

資金使途は設備と運転に分けられる

資金使途は「設備資金」と「運転資金」に分けられます。

設備資金

設備資金とは、事務所の保証金、内装設備、内装工事、車、パソコン、WEBサイト制作費などが含まれます。
何をいくらで購入するか、見積もりやカタログで使途を提示する必要があります。

運転資金

運転資金とは、商品や材料の仕入れ代、人件費、家賃、水道光熱費など事業運営に必要な資金。
仕入れであれば、何ヶ月分必要なのかを説明する資料を資金繰り表などを作成し伝えられる限り伝え、使途を明確にする必要があります。

設備と運転の融資年数の違い

設備資金と運転資金は融資制度上別枠の扱いをされており、それぞれ融資年数の設定が異なります。
日本政策金融公庫の「新創業融資制度」を例にすると以下のようになります。

設備資金 15年以内
運転資金 5年以内(特に必要な場合は7年以内)

年数が異なれば毎月返済する金額も変わってきますので、設備資金、運転資金の借入れの割合は資金繰りに直結する問題と言えます。

運転資金は何ヶ月分が妥当なのか?

設備資金は設備の見積もりを根拠に金額を計上しますが、運転資金は見積もりは不要です。
ではどのように計上金額を考えればよいかというと、基本的に運転資金の借入れは月商の3ヶ月分が妥当な金額と考えられています。
しかし3ヶ月はあくまで目安であり、業態によっては創業から事業が軌道に乗るまでに半年や1年間必要なケースもあるでしょう。
その根拠付けができるようであれば、必要な経常運転資金を逆算して計上しても構いません。
計上すれば借りられるということではありませんが、持続可能な経営を目指す上で余裕のある運転資金を持っていることは大変重要ですので、なるべく余裕を持って金額を設定しましょう。
運転資金が何ヶ月分借りられるのかの目安についてはこちらの記事で詳しく書いています。
https://magazine.inq.finance/financing/finance/untenshikinmax/

設備資金の金額の妥当性とは?

設備資金は見積書を参考に使いみち、及び金額の妥当性を判断をします。
インターネットで設備の購入を検討している場合、見積書が出ないこともありますが、その場合は金額と商品の出ている画面のキャプチャでも問題ありません。

設備資金なのか消耗品(運転資金)なのかを見極める。

一般的に減価償却(原則的に単価10万円以下)の出来ない金額の備品などは消耗品扱いになります。
消耗品は運転資金に含めるべき項目ですので、単価10万以下の備品は「消耗品」として運転資金へ計上します。
対して、単価10万円以上の減価償却が可能な商品や権利については、設備資金へ計上します。
特に間違えやすい項目としては、融資を受けて店舗やオフィスを賃貸する時の物件取得費です。
物件取得費は不動産屋から一式で見積もりが出されますが、実際には以下のように設備資金と運転資金に分けられます。

物件取得費に見る設備資金と運転資金の違い

保証金 設備資金
敷金 設備資金
礼金 運転資金
仲介手数料 運転資金
前払い家賃 運転資金

設備資金なのか運転資金なのかは、融資審査時に適切かどうかの判断をしてもらえますので、あまり神経質になることはありませんが、設備にするか運転にするかで返済年数が変わってきますので、知識としては抑えておきたいところです。
見積もりの金額は大きければ大きいほど良いのか?
融資お申込み希望のお客様とご面談をしていると、「見積もりはいくらで取っておいたら良いのでしょうか?」ということを良くご質問されます。
その場合、私はいつも「原則として実際に支払われる額」で見積もりを取って頂くようにお願いしております。
なぜなら設備資金として計上した資金は原則として支払いの証拠(領収書等)の提出が必要だからです。
参考までに、支払いの証拠を提出できなくて大変な事になった社長の事例をご紹介します。

領収書の提出は必須?

領収書を提出しなかった社長の顛末

A社長は都内のB銀行から信用保証協会を使って設備資金として借りていました。
しかし設備資金で使った後、領収書を保管しておらずそのままにしていたそうです。
社長は借入れをした融資を担当したB銀行から領収書の提出を求められていましたが、不幸なことに担当者が異動になってしまい引き継ぎが上手く出来ておらず、領収書回収の件は立ち消えてしまいました。
数年後、社長が資金繰りに窮して、都内のC銀行から資金調達をしようと融資を申し込みしたところ、都の保証協会より「数年前に融資を実行した際の領収書が提出されていない」との理由で、融資否決の連絡が来たのです。
保証協会からNGをもらうということは、どの金融機関経由で申込をしても同じ結果になることを意味していますので、青ざめた社長は早速B銀行に領収書の件が立ち消えてしまったことはB銀行の不手際だと申し立てて、銀行も応戦と、大変なことになったのです。

まとめ

設備資金か運転資金かによって、最大借りられる年数が変わってきます。
返済期間が長ければ長いほど毎月の返済負担額が減りキャッシュフローは出やすくなります。
それだけに設備か運転かは大事な検討事項です。
ただし、無理に不正をしてまで設備に寄せると後で思わぬしっぺ返しを食らってしまう可能性があります。
事業計画をしっかりと根拠立てて作成すれば、運転資金の必要性はアピールできますので、無理をしない範囲で必要な額を調達したいですね。
特に創業期は予測通りに売り上げが上がらない場合や、計上し忘れていた予期せぬ出費など、様々なキャッシュアウトが起こる可能性があります。特に運転資金については事業継続に必要なラインを見極め、なるべく余裕を持って借りて余裕のある経営を心がけましょう。
余裕を持って借入れをするとキャッシュリッチな状態を生むことでこのような成功事例になれるかもしれません。
https://magazine.inq.finance/financing/finance/to_success/

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