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人を雇用するにあたり、法律によって作成が義務付けられている「賃金台帳」。しかし、形式が決まっていないということもあり、はじめての雇用ではどう作成すればいいか迷うこともあるのではないでしょうか。
そこで本記事では、賃金台帳の作成方法や保存方法、注意点を解説していきます。
- 賃金台帳とは何か
- 賃金台帳の作成方法
賃金台帳とは
賃金台帳とは従業員への給与の支払い状況を記載した書類です。
賃金台帳は労働基準法によって、各事業所ごとに「作成」と「保存」が義務付けられています。企業ごとではなく、事業所ごとに作成・保存の必要があり、一つの企業で複数の事業所を抱えている場合はそれぞれの事業所ごとに必要です。また、賃金台帳は決められた形式がないにも関わらず、必ず記載しなければならない項目があり、それらを満たさなければ罰則の対象にもなるため注意が必要です。
賃金台帳の確認や罰則を行う機関として労働基準監督署があります。
労働基準監督署は企業が労働基準法に抵触していないかを確認するため、賃金台帳などの書類の提出や立ち入り調査を行います。必要書類の提出は定期的に行われるため、抜け目なく作成する必要があります。
賃金台帳を作成する対象は、事業所で働く全ての従業員です。
正社員だけでなく、アルバイトなどを含む全員が対象です。また、個人事業主であっても、従業員が1人でもいる場合は賃金台帳の作成・保存が必要になります。
賃金台帳に類似する書類として給与明細があります。しかし、給与明細には不足している項目があるため、基本的に代わりとはなりません。
賃金台帳の記載項目の解説
賃金台帳の記載しなければならない項目は以下になります。
- 労働者氏名
- 性別
- 賃金の計算期間
- 労働日数労働時間数
- 時間外労働時間数
- 深夜労働時間数
- 休日労働時間数
- 基本給や手当の種類およびその額
- 控除項目とその額
代表的な記載項目を詳しく紹介します。
賃金の計算期間
賃金の計算対象となる期間のことで、毎月の給与を計算する開始日から締め日を指します。例えば、毎月15日締めの場合、賃金台帳には「2022年2月15日〜3月15日」のように記載します。日々雇い入れられる雇用者については、この賃金計算期間の記載は不要です。日々雇い入れられる雇用者とは、1日のみの雇用契約、または1ヶ月未満の有期労働契約で雇用された人のことを指します。
労働時間数
労働日数・労働時間数
上記の賃金計算期間中に労働した日数と時間数について記載します。従業員の労働時間が適正かどうかや、給与が正確に計算されているかを確認する部分です。
時間外・深夜・休日労働時間数
労働時間数のうち、規定時間外・深夜・休日に働いた時間数のことです。これらは、残業代や休日手当、深夜労働手当などを計算するときに必要な情報です。
こちらの項目には企業が健全な労務管理を行なっているかが表れるといわれており、労働基準監督署が精査するポイントです。
基本給や手当の種類およびその額
基本給に加え、扶養手当や通勤手当などの各手当を全て項目別に金額を記載する必要があります。基本給とそれぞれの手当の総額が給与となります。
控除項目とその額
厚生年金保険料や健康保険料、雇用保険料など、給与から差し引かれるものについて、その項目と金額を記載します。
賃金台帳の書き方
前提として、賃金台帳は書式が決まっておらず、記載すべき項目が網羅できていれば正式な書類として認められます。作成は自分で作成する場合と社労士に依頼する場合の2つに分かれます。
自分で作成する場合は
- 厚生労働省が載せているフォーマットで作成
- 会計ソフトを用いての作成
が一般的です。
厚生労働省のフォーマットで作成する場合は以下のテンプレートを用いて作成します。
会計ソフトであれば、賃金台帳を含む法定三帳簿の作成を労務データから自動で作成することができます。
賃金台帳の保存
これまで賃金台帳の作成について述べてきました。しかし、賃金台帳は作成するだけでなく、保存も義務付けられています。
保存方法
保存方法のポイントとしては、事業所ごとに印刷可能な状態であり、労働基準監督署の求めがあったときにすぐに印刷して提出できることです。そのため、賃金台帳の保存は紙媒体でも、データとして保存であっても、どちらであっても可能で自社に適した方法を選択可能です。
保存期間
賃金台帳の保存期間は、従業員の賃金を最後に記載した日から起算して「3年間」となっています。原則としては5年間の保存期間が法律で定められています。しかし、保存期間が3年から5年に改正されたのが最近だということもあり、経過措置として当分の間は「3年」となっています。
賃金台帳における罰則
賃金台帳が法律で決められた基準に満たしていなかったり、作成が行われていない場合は罰則の対象となります。場合によっては30万円以下の罰金が課せられる可能性があります。
実際に不備があった際には労働基準監督官から是正するよう是正勧告書が交付され、従わないようであれば罰金の支払いが発生します。
賃金台帳のまとめ
賃金台帳は、従業員を雇用する企業が作成・保存を義務付けられている帳簿の一つです。自社で働いている従業員に対しての給与管理をするための帳簿で、労働基準監督署の調査で不備があった場合には罰則があるため注意が必要です。
今回紹介した書き方を参考するなどして抜け漏れなく作成し保存していきましょう。