創業融資のスペシャリスト INQ
最新記事 by 創業融資のスペシャリスト INQ (全て見る)
- アクセラレータープログラムとは?流れやメリット・デメリットも解説 - 2022年5月30日
- シェアオフィスってどんなところ?メリット・デメリットを詳しく解説 - 2022年5月27日
- ビジネスコンテストについて解説|参加のメリットや一例を併せて紹介します - 2022年5月26日
会社の廃業のためには「解散」手続きと「清算」手続きを行う必要があります。本記事では、それぞれの手続きではどのようなことを行うのか、どのような書類が必要かに加えて、必要な期間や費用についても詳しく解説します。
この記事を読んで分かること
- 会社の廃業のために必要な手続き
- 手続きにかかる期間や必要書類
会社の廃業・解散とは
まず、会社の廃業とは理由・原因を問わず「事業をやめる」ことを意味します。
廃業をするためには、「解散の登記」と「清算決了の登記」が必要です。つまり、会社を解散しても直ちに会社が消滅するわけではなく、会社の借金や貸付金などの債権債務を整理する清算手続きを行ってはじめて、会社が消滅、すなわち廃業することになります。
ここからは、廃業をするために必要な解散と清算それぞれについて解説します。
会社の解散の7要件
ここからは、会社の解散について解説をしていきます。
株式会社の場合は、以下の理由によって解散します(会社法第471条)。
- 定款で定めた存続期間の満了
- 定款で定めた解散の事由の発生
- 株主総会の決議
- 合併
- 破産手続き開始の決定
- 解散命令、解散判決
- 休眠会社のみなし解散
各理由について以下で詳しく説明します。
定款で定めた存続期間の満了
現在では特殊な事由がない限り、定めることはありませんが、存続期間が満了した場合、会社は解散となります。
定款で定めた解散の事由の発生
定款で解散の事由が定められており、それが発生した場合は会社は解散となります。
株主総会の決議
自主廃業の場合、株主総会の特別決議が解散事由となります。なお、この特別決議は発行済株式総数の過半数の株主が出席しており、議決権の2/3以上の賛成が得られなければ決議ができないことには注意が必要です。
解散のための株主総会を行う場合、同時に清算人を選定しなければならないことにも注意が必要です。
合併
他社と会社を合併することにより、会社が消滅する場合も会社は解散となります。
破産手続き開始の決定
裁判所への申立てにより、破産手続きが開始した場合、会社は解散となります。
解散命令、解散判決
一定の事由により裁判所から解散を命じられた場合、会社は解散となります。
休眠会社のみなし解散
12年間登記申請がされていない休眠会社は、一定の手続きを経た後、解散したものとみなされてしまいます。これをみなし解散といい、登記官の職権によって解散の登記が入るため、会社側から解散の登記申請をする必要はありません。
会社休眠と違い
法人登記を残したまま事業活動を完全に停止する場合を休業といい、その休業が長期にわたることを休眠といいます。
会社の休眠についての詳細は「会社休眠とは?会社を一時的に休業させたい方のための制度」をご参照ください。
解散登記に必要な書類
先ほど説明した解散の理由の中で最も多い理由が株式総会の決議です。
この決議の後、解散登記および清算人選任登記を行う必要があります。
その際には以下の書類が必要となります。
- 登記申請書
- 定款
- 株主総会議事録
- 清算人の就任承諾書
- 株主リスト
- 印鑑届出書
- 清算人個人の印鑑証明書
登記申請には期限がありますので、事前に確認をして準備をしておきましょう。
会社解散後の精算手続き
次に、解散登記後に行う清算手続きについて解説します。
清算手続きとは、B/Sシート(貸借対照表)をプラスマイナス・ゼロにすることをいいます。具体的には以下の通りです。
- 財産目録と貸借対照表の作成・承認
- 債権者保護手続き
- 解散事業年度の確定申告書の提出
- 資産の現金化、債務弁済、残余財産の確定・分配
ここからは、これらについて解説していきます。
なお、債務超過の会社が解散するときは、特別清算という手続きになり裁判所の監督の下で手続きを行っていくことになります。
財産目録と貸借対照表の作成・承認
清算人は就任後、会社の財産を調査し、財産目録及び貸借対照表を作成します。
そして、作成した財産目録、貸借対照表は、清算会社における株主総会において承認を得る必要があります。
債権者保護手続き
清算人は、官報公告において会社債権者に対して解散することを知らせ、2ヶ月間以上の決められた期間内に申し出るよう求めます。
また、会社が把握している債権者に対しては個別に催告をします。
解散事業年度の確定申告書の提出
清算会社は解散した日から2ヶ月以内に、事業年度開始日から解散日までの法人税確定申告を税務署に対して行います。
資産の現金化、債務弁済、残余財産の確定・分配
清算人は、会社の債権を回収し、買掛金や借入金など会社の債務を支払います。
また、棚卸資産や固定資産など資産価値のあるものは現金化します。
そして、すべての資産・負債を清算した後に残る残余財産を株主に分配します。
これらを行った後に、清算に関する書類を作成、提出し、承認を受けます。
そのために必要な書類は以下の通りです。
- 清算確定申告書(1か月以内に税務署へ提出)
- 決算報告書(株主総会で承認を受ける)
清算決了登記の必要書類
ここまでに説明した清算手続きが完了した後、法務局へ清算決了の登記申請を行います。
この登記に必要な書類は以下の通りです。
- 登記申請書
- 株主総会議事録
- 決算報告書
- 株主リスト
株主総会で清算の承認を受けてから2週間以内に、この登記を行う必要があるため、期限には十分な注意が必要です。
解散の届出
最後に税務署など各種機関へ解散の届出をする必要があります。
この届出には一般的に「異動届出書」や「登記事項証明書」など、解散したことを証する書類が必要になります。
一連の手続きにかかる費用
ここまでの手続きには以下のような費用が発生します。
この費用は、専門家へ依頼せずに行った場合の金額になっているため、司法書士等の専門家に依頼した場合、さらに専門家に支払う報酬が発生します。
会社の解散手続きにかかる時間
すべての手続きが完了するには、少なくとも2カ月以上かかるため、それなりの期間と手間がかかるという点に気を付けましょう。
会社の廃業・解散まとめ
本記事では、会社の廃業のための解散・清算について解説しました。
- 会社を廃業するには会社を解散させてから清算を行う必要がある。
- これらの手続きを行うには、少なくとも2か月以上の期間、78,000円以上の費用がかかる。
解散の登記や清算手続きをせず、そのまま放置していても法人税や固定資産税などの税金は課されるので、遅滞なく解散及び清算結了の手続きを行った方がいいでしょう。
合わせて会社も休眠も選択肢として考えてみてもよいかもしれません。
ご自身での判断が難しい場合は、司法書士などの専門家への依頼もご検討ください。