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確定申告を怠ると、延滞税やペナルティといったリスクが発生する可能性があります。
本記事では、確定申告をしていない人が多い背景を掘り下げ、そのリスクや対策についてわかりやすく解説します。
※本記事は記事公開時点の情報をもとに作成しています。
なぜ確定申告をしない人が多いのか?
なぜ確定申告をしない人が多いのか。主に以下のような理由が考えられます。
- 「収入が少ないから必要ない」と思っている場合
- 手続きが面倒・難しいという心理的な壁
- 知識不足で必要性を知らないケース
「収入が少ないから必要ない」と思っている場合
「収入が一定額以下なら確定申告は不要」と誤解している人は少なくありません。実際、給与所得者の場合、年収が2,000万円以下で源泉徴収が行われている場合には確定申告が不要なケースが多いですが、以下のような場合は収入が少なくても申告が必要になることがあります。
- 副業収入が年間20万円を超える場合
- 医療費控除やふるさと納税の控除を受ける場合
- 一定額の株式売却益や配当金がある場合
収入が少なくても、上記に該当する場合には申告義務が生じます。しかしこの基準を知らないために「自分には関係ない」と判断し、確定申告をしない人が一定数いるのです。
手続きが面倒・難しいという心理的な壁
確定申告は税金に関する専門的な用語や書類作成が伴うため、「手続きが複雑そう」と感じる人は多いでしょう。特に以下の点でハードルを感じるケースが目立ちます。
- 収入や経費の計算が煩雑である
- 必要な書類を揃えるのが面倒
- 申告書の記入や税務署への提出がわからない
さらに、フリーランスや副業を始めたばかりの人は、帳簿の付け方や経費の仕訳に不安を抱えることも多く、結果的に「後回し」にしてしまう傾向があります。
ただし、最近では電子申告システム(e-Tax)や確定申告ソフトが普及し、簡単に手続きできる環境が整ってきています。それでも、「何から始めればいいかわからない」と感じる心理的な壁が原因で、申告を避ける人が多いのです。
知識不足で必要性を知らないケース
確定申告の義務やメリットについての知識が不足していることも、大きな要因です。例えば、以下のような点を知らない人が多く見られます。
- 申告をしないと税務署からペナルティ(延滞税や無申告加算税)が課されるリスク
- 医療費控除や住宅ローン控除など、申告しないと受けられない税金の還付がある
- 副業や不動産収入が少額でも、申告義務が発生する場合がある
特に、会社員やアルバイトの場合、「年末調整で税金は完結している」と思い込み、確定申告の必要性を認識していないことが多いです。また税制改正によって新たな義務が発生することもあるため、最新情報に触れていないことも要因の一つです。
確定申告をしないリスク
確定申告をしないと、どのようなリスクがあるのでしょうか。その例を以下にまとめました。
税務署からのペナルティ(延滞税や加算税)
確定申告をしない場合、税務署から延滞税や加算税といったペナルティが課されるリスクがあります。延滞税は、本来支払うべき税金の納期限を過ぎた場合に発生し、経過日数に応じて負担が増加します。
また、無申告加算税は申告を怠ったことに対する罰則で、通常は本来納める税額の10~20%が加算されます。これらのペナルティは、未申告期間が長引くほど金額が大きくなり、結果として財政的な負担が大幅に増える可能性があるでしょう。
過去の未申告が発覚した場合の影響
税務署は一定期間の税務調査を行う権限を持っており、過去の未申告が発覚すると、多額の追徴課税が課される可能性があります。通常、税務調査の対象期間は5年間ですが、悪質な場合には最長7年に遡って調査されます。その結果、過去に申告していなかった所得や売上が明らかになると、延滞税や加算税がまとめて請求されるだけでなく、脱税とみなされるケースでは刑事罰が科されることもあります。
これにより、金銭的な負担だけでなく、精神的なストレスも大きくなるでしょう。
社会的信用へのダメージ
確定申告を怠ることは、社会的な信用を損なうリスクも伴います。例えば、住宅ローンや事業融資を申請する際には、確定申告書が収入証明として必要です。未申告の状態では融資が受けられない、あるいは審査に通らない可能性があります。
また、税務署からの通知や調査が周囲に知られることで、取引先や顧客からの信頼が低下するリスクも考えられます。特に自営業やフリーランスの場合、信用の低下はビジネスチャンスの喪失に直結するため、注意が必要です。
確定申告をしないことで損する可能性もあり
確定申告をしないことで損する可能性もあります。その主なケースをまとめました。
医療費控除や住宅ローン控除を受けられない
確定申告をしないと、法律で認められている各種控除を受けられず、本来であれば軽減されるはずの税金を多く支払うことになります。
医療費控除:1年間に支払った医療費が一定額(10万円または総所得金額の5%のいずれか少ない方)を超える場合、その超過分を所得から控除できます。しかし、確定申告をしないとこの控除が適用されず、無駄に多くの税金を払う結果となります。特に、高額な医療費がかかった年に申告を忘れると、損失が大きくなります。
住宅ローン控除:住宅ローンを利用してマイホームを購入した場合、最初の年は確定申告を行うことで所得税の控除が適用されます。この手続きをしないと、ローン控除を受けられず、年間で数十万円の税金を無駄に支払う可能性があります。翌年以降は年末調整で対応できますが、初年度の申告を怠ると控除を受けられないため注意が必要です。
税金の還付を受けられないケース
確定申告をしないと、払い過ぎた税金が還付される機会を逃してしまいます。特に以下のケースでは損失が大きくなります。
源泉徴収された税金の還付
アルバイトやパートなどで源泉徴収された所得税が、実際の所得に比べて過剰に引かれている場合があります。確定申告を行うことで、その過剰分を還付してもらえるのですが、申告しなければ戻ってきません。例えば、年収103万円以下の人や副業の収入が少額の場合は、申告をすることで全額還付される可能性があります。
ふるさと納税の控除
ふるさと納税を利用した場合、確定申告をしないと寄付金控除を受けられません。結果的に、ふるさと納税で得られるはずの節税メリットが失われ、実質的な損失になります。
確定申告が必要な人の具体例
どのような人が確定申告をする必要があるのか、具体例をまとめました。
副業をしている人
副業で得た収入が年間20万円を超える場合、確定申告が必要です。例えば、本業の給与所得に加えて、ブログ運営やYouTube、フリマアプリでの販売、アルバイトなどで副収入を得ている場合が該当します。
この20万円の基準は、会社員や公務員など、給与所得者に適用されるものです。副業の収入が雑所得や事業所得に分類される場合、経費を差し引いて課税対象額を計算できますが、申告を怠ると税務署から指摘されるリスクがあるため注意が必要です。
フリーランスや個人事業主
フリーランスや個人事業主は、基本的に毎年確定申告を行う必要があります。給与所得者と異なり、収入全体に対する所得税や住民税の計算が自己責任となるためです。例えば、デザイナー、ライター、エンジニアなどのフリーランスや、小規模店舗を経営する個人事業主が該当します。
また、収入に応じた消費税の申告が必要になる場合もあります。青色申告を選択すると、最大65万円の控除を受けられるなどのメリットがありますが、帳簿の作成や管理が求められるため、早めに準備することが大切です。
年収が一定以上のアルバイト・パート
アルバイトやパートでも、年収が103万円を超える場合には、確定申告が必要になるケースがあります。これは、103万円を超えると給与所得控除後の所得が課税対象になるためです。
また複数の勤務先で給与を受け取っている場合、年間の収入合計が150万円を超えると確定申告が必要です。例えば、メインのアルバイトに加えて短期のバイトを掛け持ちしている場合などが該当します。給与から源泉徴収されている場合でも、正確な税額を計算するために申告を行う必要があります。
確定申告を忘れた場合の対処法
もし確定申告を忘れてしまった場合はどうすれば良いのでしょうか。手続きの方法などについて紹介します。
期限後申告の手続き方法
確定申告の期限を過ぎてしまった場合でも、すぐに「期限後申告」を行うことができます。手続きの流れは以下の通りです。
- 必要書類を準備:通常の確定申告と同じく、収入や経費を証明する書類(源泉徴収票、領収書、帳簿など)を用意します。また、税務署から取り寄せるか、国税庁の公式サイトから申告書をダウンロードして記入します。
- 税務署に提出:記入した申告書を税務署に郵送するか、直接持参します。電子申告(e-Tax)を利用することも可能です。
- 納税を行う:計算した税額を速やかに納付します。納付方法は、金融機関での窓口納付、インターネットバンキング、コンビニ納付などがあります。
期限後申告でも、正しい税額を申告すれば受理されます。また、払い過ぎた税金があれば還付を受けることも可能です。
速やかに対応すればペナルティを軽減できる
確定申告を忘れた場合、以下のペナルティが課される可能性がありますが、速やかに対応することで軽減される場合があります。
- 無申告加算税:確定申告を期限内に行わなかった場合に課されるペナルティです。ただし、申告期限から2週間以内に自主的に申告を行えば、無申告加算税が課されない場合があります
- 延滞税:納税が遅れた場合に発生する利息のようなものです。延滞税は申告が遅れるほど増加するため、早めに納付することで税額を抑えられます
- 税務調査による指摘を回避:自主的に申告を行うことで、税務署からの調査や指摘を受けるリスクを軽減できます
確定申告は将来のリスク回避とメリットのために必要
確定申告をしていない人が多い理由には、心理的な壁や知識不足が関係しています。正しい情報を知ることでリスクを回避し、節税効果を最大化することが可能です。この記事で紹介した内容を参考に、確定申告の必要性やメリットを再確認し、手続きを進めてみてください。もし不安や疑問がある場合は、税理士や専門家のサポートを受けるのも一つの方法です。