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「借方」と「貸方」について「どちらがどっち？」「どう使い分けるの？」と戸惑う方も多いのではないでしょうか。
本記事では、借方と貸方の基本的な意味や役割をわかりやすく解説します。
借方と貸方とは？
借方（かりかた） と 貸方（かしかた） は、簿記における取引の記録で使用される左右の区分を指します。借方と貸方は、取引の両側を記録する「複式簿記」の基本です。必ず「借方」と「貸方」の金額が一致します（貸借一致の原則）
借方（左側）
「増加」するもの：資産や費用が増える場合に記録します。
例：現金を受け取った、商品を仕入れた、経費を支払った。
貸方（右側）
「減少」するもの：資産や費用が減る場合、または負債や収益が増える場合に記録します。
例：現金を支払った、売上が発生した、借入金が増えた。
簿記や仕訳での役割とは？
簿記や仕訳における借方と貸方の役割をまとめました。
取引の整理と記録
企業活動におけるすべての取引を「借方」と「貸方」に分けて記録することで、資産や負債、収益、費用の変動を正確に把握します。
例：商品を10万円で仕入れ、現金で支払った場合
借方：仕入 10万円
貸方：現金 10万円
財務状況の把握
借方と貸方の仕訳を集計し、損益計算書や貸借対照表などの財務諸表を作成します。これにより、企業の利益や資産・負債の状況を明確にします。
経営判断の基礎
正確な簿記記録は、資金繰りやコスト管理、投資判断など、経営上の意思決定に役立ちます。
例：借方に多額の費用が計上されている場合、コスト削減策を検討する必要がある。
法令遵守と税務申告
簿記記録は、税務申告や監査において必須です。借方・貸方を正確に記録することで、法令遵守を確保します。
借方と貸方の関係性
簿記では、借方（左側） と 貸方（右側） は常に対応関係にあり、1つの取引を「両面」から記録することで、取引の全体像を把握できるようになっています。この仕組みは「複式簿記」と呼ばれ、貸借一致の原則に基づいています。
貸借一致の原則
取引の借方の合計金額は、必ず貸方の合計金額と一致します。企業の取引において「増えたもの」と「減ったもの」が常にバランスするからです。
例：商品を10万円で仕入れ、現金で支払った場合
- 借方：仕入 10万円（資産が増える）
- 貸方：現金 10万円（資産が減る）
このように、借方と貸方を使って、取引の増減を均等に記録します。
借方と貸方が示す経営の状況
借方が多い場合、資産や費用が多く、企業が「使ったもの」や「持っているもの」が増えている状態です
一方で貸方が多い場合、負債や収益が多く、企業が「借りたもの」や「得たもの」が増えている状態にあります。
この関係性を通じて、企業の資金繰りや収益構造、財務状態を正確に把握することができます。
借方・貸方の使い方：実際の仕訳例
「借方・貸方の使い方」を、具体的な仕訳例を交えながら解説します。
1.売上が発生した場合の仕訳
売上が発生し、代金を現金で受け取った場合や後日受け取る場合の仕訳を考えます。
(1) 現金で売上を受け取った場合
取引内容：商品を販売し、代金10万円を現金で受け取った。
仕訳
借方：現金 10万円（資産の増加）
貸方：売上 10万円（収益の増加）
(2) 売掛金として受け取る場合
取引内容：商品を販売し、代金10万円を後日受け取る約束をした。
仕訳
借方：売掛金 10万円（資産の増加）
貸方：売上 10万円（収益の増加）
2. 仕入れや経費が発生した場合の仕訳
仕入れや経費の支払いが発生した場合の記録方法です。
(1) 商品を仕入れ、代金を現金で支払った場合
取引内容：商品を5万円で仕入れ、現金で支払った。
仕訳
借方：仕入 5万円（費用の増加）
貸方：現金 5万円（資産の減少）
(2) 家賃を銀行振込で支払った場合
取引内容：オフィスの家賃10万円を銀行振込で支払った。
仕訳
借方：地代家賃 10万円（費用の増加）
貸方：普通預金 10万円（資産の減少）
(3) 経費を後払い（未払金）にした場合
取引内容：備品購入費用2万円を後払いとした。
仕訳
借方：消耗品費 2万円（費用の増加）
貸方：未払金 2万円（負債の増加）
3. 資産や負債の増減における借方・貸方の適用例
資産や負債が増減する場合の仕訳例です。
(1) 資産が増える場合：現金を借り入れた場合
取引内容：銀行から30万円を借り入れ、現金を受け取った。
仕訳
借方：現金 30万円（資産の増加）
貸方：借入金 30万円（負債の増加）
(2) 資産が減る場合：借入金を返済した場合
取引内容：借入金10万円を現金で返済した。
仕訳
借方：借入金 10万円（負債の減少）
貸方：現金 10万円（資産の減少）
(3) 負債が増える場合：未払金が発生した場合
取引内容：設備の修理費用5万円を後払いとした。
仕訳
借方：修繕費 5万円（費用の増加）
貸方：未払金 5万円（負債の増加）
(4) 負債が減る場合：未払金を支払った場合
取引内容：未払金5万円を現金で支払った。
仕訳
借方：未払金 5万円（負債の減少）
貸方：現金 5万円（資産の減少）
借方と貸方の覚え方：初心者に役立つコツ
「借方と貸方」を初心者が理解し、実務に活かせるようにするための覚え方のコツを紹介します。
「資産は借方に増加、負債は貸方に増加」の法則
簿記の基本ルールを理解することで、借方と貸方の役割を覚えやすくなります。
資産（現金、売掛金、土地など）は借方に記録すると「増加」、貸方に記録すると「減少」します。
負債（借入金、未払金など）は貸方に記録すると「増加」、借方に記録すると「減少」します。
覚え方のコツ
「資産は左（借方）で増える、負債は右（貸方）で増える」と覚える。
借方と貸方についてそれぞれの意味や役割を整理しよう
借方と貸方の概念は、簿記や会計の基礎中の基礎。一見難しそうに感じるかもしれませんが、基本のルールを押さえれば意外とシンプルです。この記事を参考に、それぞれの意味や役割を整理しましょう。
