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協調融資で最大限の融資額を目指すには

創業融資 協調融資で最大限の融資額を目指すには
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武田 信幸

1981年生まれ。千葉県出身。 スタートアップ期の銀行融資や補助金等、資金調達の専門家。 行政書士の傍らインストロックバンド「LITE」のギタリストとしても活動している。行政書士業と共に年2,3回の海外ツアーをこなす「行政書士×ミュージシャン」のパラレルワーカー。

協調融資とは

一つの企業に対し融資する場合に2つ以上の銀行が融資団を結成し,主取引銀行が幹事となり,貸出金額,貸出分担割合,条件などを協定して貸付けは個々の銀行ごとに行うもの。
協調融資(きょうちょうゆうし)とは – コトバンク

このように2つ以上の銀行同士が連携しあって融資することを協調融資といいます。
金融円滑化の観点から協調融資の傾向は近年顕著であり、今年に入って日本政策金融公庫とみずほ銀行の連携の覚書が交わされるなど、大小の金融機関問わず連携が積極的に行われています。

創業期における協調融資のメリット

実は創業期においても協調融資は身近な存在です。
創業者が利用できる3つの融資制度、「日本政策金融公庫」、「制度融資」、「女性・若者・シニア創業サポート事業」では基本的に無担保無保証枠で利用できますが、それぞれの金融機関で定められている無担保無保証の枠を超える金額の場合、担保か保証人を差し出さない限り一定額以上の融資をすることはありません。
しかし、協調融資として2つ以上の金融機関に同時に融資を申込することで、金融機関のそれぞれの無担保無保証枠を同時に利用することができ、保証人や担保を差し出さずに希望の融資を受けられる可能性があるのです。
「女性・若者・シニア創業サポート事業」についてはこちらの記事に詳しく書いています。
東京限定の融資制度、創業サポート事業はご存知?東京都内で起業する女性・若者・シニアは必見! – INQ MAGAZINE

創業時の無担保枠

それぞれの銀行には融資枠が設定されていますが、実は申込者全員が枠一杯を使えるという意味ではありません。
融資額は事業者毎の事情を個別的具体的に判断されていますが、概ね無担保無保証で利用できる枠は決まっています。
下記の表は創業期に使える制度とその制度上の限度額と、概ね決められている無担保無保証枠をまとめたものです。
表の「実際の無担保無保証枠(支店決済額)」の金額を越えるとそもそも希望金額の申込ができなかったり、担保か保証人を求められるケースがほとんどです。
※以下表の根拠は無担保無保証枠は弊社の経験や実績によるものです。

融資制度 制度上の限度額 実際の無担保無保証枠
(支店決済額)
日本政策金融公庫
新創業融資制度
3,000万 1,000万
日本政策金融公庫
経営力強化資金
7,200万 2,000万
東京都制度融資(※創業) 2,500万 ①創業前は1,000万
(自己資金+1,000万)
②創業後5年未満は2500万
女性・若者・シニア創業サポート事業 1,500万 1,500万

※東京都制度融資の創業枠は、①創業前か②創業後によって枠が異なり、更に認定特定創業支援事業に係る「創業関連保証」の特例を受けるかどうかによっても枠が異なります。
こちらの表では便宜上創業前と創業後の2つの例としております。

金融機関側のメリット

創業者が無担保無保証の枠を超えて融資を受けられる可能性がある一方で、金融機関にとっては他の金融機関とリスクを分散して融資を実施することができます。
特に近年、他の金融機関同士で連携する姿勢は顕著になってきていますので、場合によっては積極的に対応してくれることもあります。
協調融資は金融機関のリスクヘッジの側面も強く、無担保無保証枠を超えていない場合でも、金融機関の判断により申込金額全額を融資できないと判断された場合、他の金融機関との協調融資を勧められることもあります。

協調融資のデメリット

協調融資は一つの銀行の無担保無保証枠を超えて融資を引ける可能性がある一方でデメリットもあります。
2つ以上の銀行がお互い協議の上で融資金額を設定する必要があることから、お互いの出方を伺う傾向にあり、融資実行までに時間がかかるケースが多く、特に資金の必要時期が迫っている場合は歯がゆい思いをすることがあります。
場合によっては審査を待っている間に物件が流れてしまうということも…。
お互いが二の足を踏んでいるような状況下で一方が日本政策金融公庫の場合、日本政策金融公庫が先導を切って融資を行う事も多く、特に融資決定が急がれる物件の取得費などについては日本政策金融公庫がもう一つの銀行の融資決定を待たずに融資実行をしてくれるケースもあります。
日本政策金融公庫が実行してくれたことで一定の審査基準を満たしていると判断される傾向にあるため強調している金融機関も融資が出しやすくなることもあるようです。

まとめ

日本政策金融公庫の創業の考え方の一つに「小さく産んで大きく育てる」という指標があります。
しかし事業内容によっては大きな設備投資が必要な場合もあり全てのケースに当てはまるわけではありません。一つの銀行では必要資金をカバーしきれない場合、他の金融機関との協調融資を検討してみるのも最大限の資金調達を行う上で有効かも知れませんね。

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