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SPAC(特別買収目的会社)とは?仕組みやメリット・デメリットを解説

創業前に知りたいこと SPAC(特別買収目的会社)とは?仕組みやメリット・デメリットを解説
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株式会社INQは、スタートアップの融資支援に特化した専門チームです。 スタートアップの諸事情やビジネスモデル、エクイティとの兼ね合い等も考慮し、これまで累計600社以上(年間約200社・13億円超)のスタートアップの創業融資を成功させています。シード〜シリーズAの様々な状況に柔軟に対応し、融資成功への最適なルートをご提案します。

最近話題になっている「SPAC」ですが、様々な理由で注目を集めています。しかし、「SPAC」について理解しきれていないという人も多いのではないでしょうか?

そこで本記事では、「SPAC」の仕組みやメリットなどをわかりやすく解説します。

この記事でわかること
  • SPACが注目される理由
  • SPACのメリット・デメリット

SPAC・De-SPACとは

SPAC(Special Purpose Acquisition Company)とは、日本語で「特別買収目的会社」を意味しており、「スパック」と呼ばれています。会社自体に事業実態はないことから、「ブランクチェック(白紙小切手)」・「空箱」と呼ばれることもあります。

SPAC(特別買収目的会社)は、著名な経営者などが代表になり、会社自身の事業がない状態で上場します。そして、代表の信用力により株式市場から資金調達を行った後、非上場会社を買収します。このようなプロセスを踏むことで、非上場会社は従来のIPOの手続きを行わず上場することができます。本記事では、SPACを利用して新規上場することをSPAC制度と表現します。

また、De-SPACとは、上記のプロセスの中でIPOをしたSPACが買収対象会社と合併し、一連の買収取引を完了することを意味します。

日本ではまだ認められていませんが、米国では2021年のSPAC制度の利用は600件を超え、米国のIPO全体の約6割を占めたというデータもあり、大幅に普及していることがわかります。

実は1980年代から存在していたSPAC制度ですが、最近になり注目されているのは、「著名人の参加による信用度の向上」・「従来のIPOを選択しない企業の増加」・「コロナ禍の金融緩和」などの理由からです。

日本においてもSPAC制度が導入される可能性があるため、今後の動向に注目が高まっています。

SPACとSPCの違い

SPC(Special Purpose Company)は日本語で「特別目的会社」のことであり、「エスピーシー」と呼ばれます。

SPC(特別目的会社)はSPACと同様にペーパーカンパニーですが、不動産などの資産を証券化することが目的です。ここでいう資産の証券化とは不動産などのキャッシュフローを原資に資金調達を行う仕組みです。SPACとSPCで名前が似ていますが、使われる目的が異なります。

SPACの仕組み

SPAC制度には、多少の差異があるものの一般的に次の4つの手順があります。

  1. 設立者が自己資金を投下してSPACを設立する
  2. SPACを上場させ投資家から資金を調達する
  3. 有望な非上場会社を買収・合併する
  4. 買収された非上場会社が上場企業となる

買収目的の会社であるSPACに資金が集まる理由は2つあります。

1つ目は、著名な経営者や投資家が「スポンサー」と呼ばれる運営者になることで、買収成功への期待が高まるためです。

2つ目は、買収が上手くいかない場合は、通常2年で金利をつけて投資資金が返還されるためです。これらの理由からコロナ禍の大幅な金融緩和が追い風となり、個人投資家の資金を多く集めることがありました。

SPACのメリット

SPAC制度で上場する会社のメリットとして、次の2つがあります。

  • まとまった資金を調達できる
  • 上場までの準備期間が短い

また、SPACに投資する投資家のメリットとして、次の2つがあります。

  • 未公開株式に少額で投資ができる
  • 投資家保護によりリスクが低減される

まとまった資金を調達できる

著名な経営者や投資家がスポンサーとして設立されたSPACに買収された場合、実績と信用力を担保にまとまった資金を調達することが可能になります。実績がなく資金調達が容易ではないスタートアップ企業にとって大きなメリットです。

上場までの準備期間が短い

一般的なIPOを行う場合は少なくとも2~3年以上の準備期間がかかります。SPAC制度は従来のIPOよりも上場までのプロセスがスピーディで、買収される企業の必要な準備が整えば、短期間での上場が可能です。上場の手続きにかかるコストも抑えられます。短期間での上場が可能になれば、上場準備中に新型コロナウイルスの世界的流行のような不測の事態を回避しやすくなり、上場延期を余儀なくされるリスクを防げます。

未公開株式に少額で投資ができる

SPACは、非上場会社の買収前から上場していることから、個人投資家であっても未公開株式の買い付けが可能です。

一般的に、未公開株式は既存の公開株と比較して株価が株価が低いことが多いため、株式公開が間もない場合であると少額で投資できる可能性があります。

投資家保護によりリスクが低減される

米国では、かつて不正が横行していたSPAC制度ですが、近年では信託設立、買収期限、利息付償還権等の投資家保護の規定が整えられつつあります。万一、SPACで未公開会社の買収に失敗した場合は、投資した金額はほとんどが投資家に返還されます。

SPACのデメリット

一方、SPAC制度で上場する会社・SPACに投資する投資家のデメリットとして、次の2つがあります。

  • 短期間で買収が求められる
  • 未公開株式への投資リスクがある

短期間で買収が求められる

不正防止のためにできたルールによって、上場から24ヵ月以内に買収を完了させなければいけません。そのため、短期間で買収を完了させなければなりません。また、SPACにおいても投資家を集めて株主総会を行う必要があるため、買収自体成功しない可能性があります。

未公開株式への投資リスクがある

投資家のメリットで未公開株式に投資ができることを挙げましたが、一方で未公開株式に投資することはリスクもあります。実際に2020年に上場した米国の電気自動車・燃料電池車メーカー「NiKola(ニコラ)」がその一例です。詳しくは、以下をご参照ください。

SPACで上場した企業

WeWork(ウィーワーク)

米シェアオフィス大手で、ソフトバンクグループ(SBG)が筆頭株主のウィーワークが21日、ニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場した。特別買収目的会社(SPAC)との合併を活用した。創業者のアダム・ニューマン氏の急拡大路線で経営に行き詰まり、2019年9月に上場を断念。SBGの支援でリストラし、2年たっての上場となった。 (日本経済新聞より引用)

Grab(グラブ)

ソフトバンクグループ(SBG)が出資する東南アジア配車最大手のグラブ・ホールディングスは2日、米ナスダック市場に上場した。グラブはこのほど米ナスダック市場に上場するSPAC「アルティメーター・グロース」と合併した。SPACは有力企業の買収のみを目的とした「箱」のような上場会社で、合併後はグラブが存続会社となった。 (日本経済新聞より引用)

NiKola(二コラ)

ニコラは特別買収目的会社(SPAC)との合併により2020年6月に株式上場した。上場直後に時価総額が米フォード・モーターを超えるなど市場の注目を集めたが、米調査会社が同年9月、ニコラが電動化の技術や受注実績を偽って投資家を欺いていたと告発。ミルトン前会長が辞任に追い込まれ、SECや米司法省が調査に乗り出した。 (日本経済新聞より引用)

SPACのまとめ

SPAC(Special Purpose Acquisition Company)とは、「特別買収目的会社」であり、非上場企業が従来のIPOを使わずに上場できる仕組みに利用されています。

SPACを利用した上場の手順として次の4つがありました。

  1. 設立者が自己資金を投下してSPACを設立する
  2. SPACを上場させ投資家から資金を調達する
  3. 有望な非上場会社を買収・合併する
  4. 買収された非上場会社が上場企業となる

また、SPACのメリット・デメリットや実際に上場した企業の一例も紹介しました。

現在、非上場企業への投資リターン回収には、かなりの時間がかかります。しかし、日本においてSPAC制度が解禁された場合、投資の回収スピードが速くなる可能性があるため、その期待は大きいと考えられます。

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