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収入印紙とは?必要なケース、購入方法をわかりやすく解説

創業前に知りたいこと 収入印紙とは?必要なケース、購入方法をわかりやすく解説
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収入印紙は一定の文書に対して課税される「印紙税」を納めるためのものですが、 どのような場合に必要なのか、また購入方法や貼り方のルール を知らないと、税務上のトラブルにつながる可能性があります。

本記事では、収入印紙の基本的な仕組み、必要なケースと不要なケースの判断基準、購入方法や貼り方のルールについて解説します。

目次

収入印紙とは?基本的な意味と役割

収入印紙とは日本の国税庁が発行する証票で、特定の契約書や領収書などに貼付することで 印紙税を納付したことを証明 するものです。契約の種類や金額に応じて、所定の印紙税を納める必要があります。

収入印紙は、主に 事業者間の取引 において発生する文書に課税され、これにより政府の税収が確保されます。

収入印紙と収入証紙の違い

収入印紙とよく混同されるのが「収入証紙」ですが、この2つには以下のような違いがあります。

項目収入印紙収入証紙
発行元国税庁都道府県などの地方自治体
使い道契約書・領収書などに貼付し印紙税を納付する申請手数料・許可証発行手数料などを納付する
取扱窓口郵便局・一部の金融機関都道府県庁、指定販売所

例えば、 会社間で契約を交わす際に貼るのは「収入印紙」ですが、 運転免許の更新手数料を払う際に使用するのは「収入証紙」となります。このように、発行元や用途が異なるため、目的に応じた正しい利用が必要です。

なぜ収入印紙が必要なのか?

収入印紙が必要な理由は、以下の3つが挙げられます。

  1. 印紙税の納付義務があるため:収入印紙を貼付することで、国に対して適正な税金を納めることになります。印紙税法により、所定の金額以上の契約書や領収書には印紙を貼る義務があり、これを怠ると過怠税(ペナルティ)が課せられる可能性があります。
  2. 契約の証拠としての役割:収入印紙を貼ることで、文書が正式な契約書であることを証明する役割も果たします。これにより、税務署のチェック時にも契約の有効性を示すことができます。
  3. 国家財政の安定に寄与する:印紙税は、日本政府の税収の一部を占めており、収入印紙を通じた税収確保は公共サービスの維持や行政の運営資金の確保にもつながっています。

収入印紙が必要なケースとは?具体的な対象文書一覧

収入印紙は、一定の契約書や領収書に貼付することで印紙税を納付した証明となります。しかし、すべての文書に必要なわけではなく、印紙税法に基づいた基準が存在します。

ここでは、収入印紙が必要な契約書の種類、不要なケース(例外)、印紙税法の判断基準について解説します。

収入印紙が必要なケースとは?具体的な対象文書一覧

収入印紙は、一定の契約書や領収書に貼付することで印紙税を納付した証明となります。しかし、すべての文書に必要なわけではなく、印紙税法に基づいた基準が存在します。ここでは、収入印紙が必要な契約書の種類、不要なケース(例外)、印紙税法の判断基準について解説します。

収入印紙が必要な契約書の種類

印紙税法では、収入印紙が必要な契約書や文書を「課税文書」として定めています。主に以下のような契約書が該当します。

1.金銭の貸借に関する契約書

  • 金銭消費貸借契約書(銀行や個人間での借入契約)
  • 金銭貸借証書(融資を受けた際の証書)

2.売買契約書

  • 土地や建物の売買契約書
  • 商品売買契約書(高額な物品の取引など)

3.請負契約書

  • 建設工事請負契約書
  • システム開発や業務委託に関する請負契約書

4.領収書(一定金額以上)

  • 5万円以上の領収書(2023年4月1日より、課税対象が「3万円以上」→「5万円以上」に変更)
  • 商品の販売やサービス提供の対価として受領した金額を証明する領収書

5.その他の契約書

  • 約束手形や為替手形
  • 事業用賃貸借契約書(オフィスや店舗の賃貸契約など)

収入印紙が必要な文書は「契約によって権利や義務が発生し、金銭が絡むもの」が多いのが特徴です。

収入印紙が不要なケース(例外)

収入印紙が不要なケースには法律上の免税措置や契約内容による非課税対象があります。以下のようなケースでは収入印紙は不要です。

1.電子契約書・電子領収書

  • 電子契約書やPDFで作成し、電子署名を行った契約書には印紙税がかかりません。(印紙税は「紙の文書」にのみ課税されるため)
  • 電子メールやクラウド上で発行される電子領収書も非課税。

2.一定額以下の領収書

  • 5万円未満の領収書には印紙は不要。(2023年4月の税制改正で「3万円以上」→「5万円以上」に変更)

3.会社間の請求書・見積書

  • 請求書や見積書は、契約の証拠とはみなされないため印紙税の課税対象外。

4.課税文書に該当しない契約書

  • 雇用契約書(労働者と企業の雇用関係を定めるもの)
  • 覚書(契約の詳細を補足するもの)

収入印紙が不要なケースを把握することで無駄なコストを削減できます。特に電子契約の活用は、印紙税対策として有効な手段です。

印紙税法に基づく判断基準

印紙税法では、収入印紙が必要かどうかを「課税文書の要件」に基づいて判断します。主な判断基準は以下の通りです。

1.文書の形式ではなく「実質」で判断

  • 文書のタイトルが「契約書」ではなくても、内容が契約を証明するものであれば課税対象になります。
  • 例えば、「覚書」や「確認書」でも、契約の成立を証明する場合は印紙税の対象になることがあります。

2.取引の種類によって課税の有無が決まる

  • 印紙税法では、取引の種類を20種類に分類しており、それに該当する文書は原則として課税対象になります。
  • ただし、取引金額の条件などによっては課税されないケースもあるため、詳細な規定を確認することが重要です。

3.紙の文書のみ課税対象(電子契約は対象外)

  • 電子契約書やクラウド上で締結された契約には印紙税はかかりません。そのため、企業では電子契約を導入することでコスト削減が可能です。

収入印紙の金額一覧と計算方法

収入印紙は契約金額や文書の種類によって必要な印紙税額が異なります。また、印紙の貼り忘れや誤った金額を貼った場合には ペナルティ(過怠税) が発生する可能性もあります。

ここでは契約金額ごとの印紙税額一覧、収入印紙の計算方法と注意点、誤って印紙を貼らなかった場合のペナルティについて解説します。

契約金額ごとの印紙税額一覧

印紙税法では契約金額や取引の種類ごとに印紙税の金額が決められています。以下に、代表的な文書ごとの印紙税額を一覧で紹介します。

1.領収書の印紙税額(2023年4月改正後)

受取金額(税抜)印紙税額
5万円未満0円(非課税)
5万円以上100万円以下200円
100万円超~500万円以下400円
500万円超~1,000万円以下1,000円
1,000万円超~5,000万円以下2,000円
5,000万円超~1億円以下10,000円
1億円超~5億円以下20,000円
5億円超~10億円以下40,000円
10億円超60,000円

※ 2023年4月1日より、印紙税の対象となる領収書の金額が「3万円以上」→「5万円以上」に変更されています。

2.契約書の印紙税額

契約の種類契約金額印紙税額
金銭消費貸借契約書(融資契約)100万円以下200円
100万円超~500万円以下1,000円
500万円超~1,000万円以下2,000円
1,000万円超~5,000万円以下10,000円
売買契約書(不動産売買など)100万円以下500円
100万円超~500万円以下1,000円
500万円超~1,000万円以下5,000円
1,000万円超~5,000万円以下10,000円
請負契約書(建設業、業務委託契約など)100万円以下200円
100万円超~500万円以下1,000円
500万円超~1,000万円以下5,000円
1,000万円超~5,000万円以下10,000円

※ 上記は一般的な契約書の印紙税額ですが、細かいルールがあるため印紙税法の条文や国税庁のガイドラインを確認することが重要です。

収入印紙の計算方法と注意点

収入印紙の税額は契約金額をもとに決まります。計算の際に注意すべきポイントを解説します。

契約金額の「税抜価格」で計算する

契約書や領収書における印紙税の計算基準は「税抜価格」です。

例:税込110万円(消費税10%)の請負契約書の場合
→ 税抜100万円のため、印紙税は200円(100万円以下の契約書の印紙税額)

契約書が複数ある場合の扱い

  • 1つの取引で複数の契約書を作成した場合、 各契約書に印紙を貼る必要があるケースと1通だけで済むケースがあります。
  • 例えば、売主・買主がそれぞれ保管する契約書(2通作成)でも 原本と写し の扱いなら、写しには印紙が不要。

電子契約書には印紙税がかからない

  • 紙の契約書にのみ印紙税がかかるため、電子契約を活用すれば印紙代を節約できる。
  • クラウド契約書や電子署名システム(DocuSign、クラウドサインなど)を利用すれば、数千円〜数万円の印紙税を削減可能。

印紙を貼らなかった場合のペナルティ

印紙税法では、印紙を貼り忘れたり、適正な額を納めなかった場合にはペナルティ(過怠税)が発生します。

印紙の貼り忘れ・未納付のペナルティ

  • 印紙を貼らずに契約書を作成した場合、税務調査などで指摘されると本来の印紙税額の3倍の過怠税を支払う必要があります。
  • 例えば、本来1,000円の印紙税を納めるべきだった場合、指摘されると3,000円(本来の税額1,000円+過怠税2,000円)の支払いが必要に。

印紙の金額が不足していた場合

  • 不足分の2倍の過怠税を追加で支払う必要あり。
  • 例えば、本来5,000円の印紙が必要な契約書に1,000円の印紙しか貼らなかった場合、不足分の4,000円+過怠税8,000円で合計12,000円を納める必要がある。

自己申告すればペナルティが軽減される

  • 税務調査前に自主的に申告し、不足分を納付すれば、過怠税が1.1倍に軽減される場合がある。

収入印紙の購入方法と貼り方のルール

収入印紙はどこで購入できるのか、どのように貼るのが正しいのかについて正しく理解しておきましょう。

収入印紙はどこで購入できる?

収入印紙は以下の場所で購入できます。

郵便局(ほぼすべての郵便局で購入可能)

収入印紙は全国の郵便局窓口で販売されています。ほぼすべての郵便局で取り扱いがあるため、最も確実な購入場所です。

ただし1円単位の端数を含む収入印紙(例えば201円など)は一部の郵便局でしか取り扱っていないため、事前に確認しましょう。

法務局・税務署(特定の場所のみ)

一部の法務局や税務署でも収入印紙を購入可能です。ただし、すべての法務局・税務署で販売しているわけではないため、事前に問い合わせましょう。

コンビニエンスストア(一部店舗のみ)

セブンイレブン・ローソン・ファミリーマートなどの大手コンビニの一部店舗でも販売しています。ただし、取り扱っているのは主に200円や400円などのよく使われる額面のみで、高額の収入印紙(例えば1万円以上)は取り扱いがないことが多いのでお気をつけください。

金融機関(銀行・信用金庫など)

一部の銀行や信用金庫の窓口でも収入印紙を購入可能。ただし、全ての金融機関で取り扱いがあるわけではないため、事前に問い合わせてください。

収入印紙の正しい貼り方と消印のルール

収入印紙を正しく貼らなかったり、消印をしなかった場合、税務調査などで 印紙税が未納と判断されるリスク があります。

収入印紙の正しい貼り方

収入印紙を貼る際は、以下の手順で行います。

  • 契約書や領収書の「余白」に貼る
  • 文書の重要な記載部分を隠さないようにする。
  • 一般的には右上または左上の余白部分に貼る。
  • 折り目やしわがつかないように平らに貼る
  • 破れたり汚れたりすると、無効とみなされる可能性があるため注意。

消印(割印)のルール

収入印紙は 貼るだけでは正式に納付されたことにならず、消印(割印)が必要 です。

  • 消印は、印紙と文書の両方にかかるように押す(印紙の一部と紙の一部をまたぐ)
  • 契約書の場合は、契約当事者のいずれかが消印を押す
  • 領収書の場合は、発行者(企業や個人事業主など)が消印を押す
  • 消印の方法は、社印・個人印・署名のいずれでもOK

収入印紙の正しい理解でスムーズな契約処理を

収入印紙は契約書や領収書などの特定の文書に対して課税される制度であり、正しく理解し適切に対応することが重要です。誤って印紙を貼らなかった場合や消印を忘れた場合にはペナルティが発生するリスクもあるため、事前にルールをしっかり確認しておきましょう

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