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登記費用が半額!?補助金も!?創業者のための認定特定創業支援事業とは

創業前に知りたいこと 登記費用が半額!?補助金も!?創業者のための認定特定創業支援事業とは
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若林 哲平

株式会社INQ代表取締役CEO、行政書士法人INQ代表。 様々な領域のスタートアップの融資による資金調達(デットファイナンス)を支援。年間130件超10億以上の調達を支援するチームを統括。行政書士/認定支援機関。複数のスタートアップの社外CFOも務め、業界への理解が深く、デットだけでなくエクイティ両面の調達に明るく、対応がスムーズだとVCやエンジェル投資家からの信頼も厚い。趣味はキャンプと音楽。4児の父。

創業セミナーなどを受けられて、会社設立の登録免許税が半分になる創業者のための「認定特定創業支援事業」という制度を知った方も多いと思います。

本記事では「認定特定創業支援事業」について解説していきます。

認定特定創業支援事業とは?

認定特定創業支援事業」とは、産業競争力強化法という法律に基づいて認定された区市町村が創業支援事業のうち、経営、財務、人材育成、販路開拓に関する知識の全ての習得が見込まれる継続的な支援を創業者等に対して行う事業、を言います。

市区町村と地域の事業団体が連携して創業者向けの支援事業を行い、一定の回数、期間を修了した創業者に「認定特定創業支援事業による支援を受けたことの証明書 」を交付します。

この証明書を提示することにより、創業に関する各制度において優遇措置を受けられるというものです。

認定された市区町村のみで申請可能

残念ながら全国全ての市区町村が認定制度を実施しているわけではなく、市区町村も国に対して認定されている必要があります。

下記リンクにて認定の市区町村を調べることが可能ですので、まずは事業所の市区町村が認定されているか調べてみて下さい。

中小企業庁:産業競争力強化法に基づく認定を受けた市区町村別の創業支援事業計画の概要

認定特定創業支援を受けられる創業者の条件

認定を受けられるかどうかは法律に定められていますが、自治体によって若干要件が異なりますのでご注意下さい。

以下は、東京都のとある区の要件を完結にまとめたものです。

【申請要件例】

  1. 6か月以内に新たに事業を開始する具体的な計画を有する方、または当該事業の開始後5年未満の方
  2. 認定特定創業支援事業による支援を、4回以上、かつ、原則1か月以上1年以内の期間に継続的に受けていること
  3. 認定特定創業支援事業による支援を受けた最終日から1年以内であること

市区町村の提供する「認定特定創業支援事業による支援」とは

市区町村によって様々な支援施策がありますので、こちらも詳細は創業する市区町村へのお問合せを頂きたいと思いますが、基本的には下記のような機関がそれぞれの支援策を実施しています。

  1. 産業振興センター
  2. 商工会議所
  3. 地元の信用金庫

上記機関が定期的に実施する研修や相談を一定期間、一定回数受けることで、認定申請が可能になります。

上記例の区の場合、「4回以上、かつ、原則1か月以上1年以内の期間に継続的に受ける」となっており、いくつかある支援施策提供機関の内、一箇所で4回受けても良く、幾つかの期間にまたがって4回受けても良いということでした。

最低でも1ヶ月以上の期間で4回受ける必要がありますが、創業を急いでいない方は逆に言うと1年以内に4回以上受ければ良いということになるので余裕を持ってスケジューリングができそうです。

ちなみに効果測定などは設けられていないようです。

詳細は区の認定特定創業支援事業を管轄する窓口に確認をしてみて下さい。

認定特定創業支援のメリット

さて、肝心の認定を受ける上での優遇措置をご紹介します。

こちらもとある区の施策例ですが、原則は法定されているため大枠はどの区でも同じです。

会社設立時の登録免許税の軽減

以下の会社を設立する場合に、必ずかかる登録免許税が大幅に減額されます。

種類 通常 認定後
株式会社 最低税額15万円 最低税額7万5千円
合同会社 最低税額6万円 最低税額3万円
合名、合資会社 6万円 3万円

創業関連保証枠の拡充

無担保・第三者保証人なしの保証協会を通じた制度融資の保証枠が広がります。

通常 認定後
1,000万円が上限 1,500万円が上限

創業関連保証の申込要件緩和

保証協会を通じた創業関連保証枠を利用した融資に申し込む場合、特例により期間を前倒しで申し込みをすることができます。

通常 認定後
事業開始2カ月前から申込可能 事業開始6カ月前から申込可能

日本政策金融公庫の新創業融資制度の要件緩和

創業前または創業後税務申告を2期終えていない事業者に対する融資制度である「新創業融資制度」について、創業資金総額の10分の1以上の自己資金要件を満たしたものとして、制度を利用できます。

通常 認定後
自己資金が必要 自己資金要件は満たしたものとなる

東京都の制度融資「創業融資」の金利優遇・限度額拡充

東京都創業融資についてについて、創業資金総額の10分の1以上の自己資金要件を満たしたものとして、制度を利用できます。

通常 認定後
限度額2,500万円
(創業前:自己資金+1,000万円)
限度額3,000万円
(創業前:自己資金+1,500万円)
かつ利率が通常より0.4%優遇

東京都版の創業補助金「創業助成事業」の申込が可能に

創業から5年未満であり、東京都の実施する創業関連施策を受けている創業者は、東京都が実施する創業助成事業」という補助金に申込をすることが可能になります。

その東京都の実施する創業関連施策の中には、こちらのINQ MAGAZINEの記事でも紹介している「女性・若者・シニア創業サポート事業」や都や区が実施する「制度融資(創業)」を利用していること、という条件が含まれますが、その中の一つにこの「認定特定創業支援事業の認定を受けているもの」という条件が含まれているのです。

つまり補助金「創業助成事業」の申請時に認定の証明書の交付を受けていればこの条件は満たされることになります。

この補助金は、数少ない創業者が受けられる補助金として非常に魅力的なものです。

補助金なので融資と違い、返済は不要です。

補助金額 300万円(助成率2/3)
補助対象経費 人件費、賃借料、広告費など

まとめ

認定を受けることで、会社の設立や融資、引いては補助金まで優遇措置を受けられる可能性のある非常に魅力的な認定制度です。しかも、難しい試験を受ける必要が有るわけではなく、市区町村によっては4回ほどの支援を受けるだけで認定を受けることが出来るため、ハードルも決して高いものではありません。

1ヶ月以上で4回の支援は忙しい創業者にとっては少しネックかもしれませんが、基本的には創業計画を練り上げるための支援となっており、専門家のアドバイスを受けられるだけでも受ける意味があるかも知れません。

ぜひ創業を予定されている方、あるいは創業間もない方は創業地の市区町村の認定制度を調べて見て下さい。

関連記事:助成金と補助金の違いとは?給付金・交付金との違いも踏まえて解説

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