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起業家であれば、「VC」もしくは「ベンチャーキャピタル」という言葉を聞いたことがあるかと思いますが、VCから資金を調達するとはどういうことなのか、具体的に理解されている人は多くないのではないでしょうか。
本記事では、VCの概要や投資を受けるにあたってのメリットデメリットを解説します。
- 各種類のVCの特徴
- VCから投資を受ける際のメリットデメリット
VC(ベンチャーキャピタル)とは
VCとはベンチャーキャピタルの略称であり、スタートアップやベンチャー企業のような「将来性が見込まれている未上場企業」に出資を行う投資機関のことを指します。
VCは、LPと呼ばれる機関投資家などから資金を集め、集めた資金でファンドを作り(組成)、そのファンドから投資を行っていきます。スタートアップ企業などの株式に出資をしたのち、投資先企業が上場した場合に、株式を第三者や市場で売却することでキャピタルゲイン(値上がり益)を獲得することを目標としています。そして、最終的にキャピタルゲインを出資者に分配(還元)するという流れになっています。
また、VCは株式出資を行うだけでなく、経営支援や役員派遣など、企業価値を高めるための活動も行います。
VCの種類一覧
VCの種類は主に次の6つです。
- 独立系
- コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)
- 金融機関系
- 政府系
- 大学系
- 地域特化型
独立系
独立系VCとは、親会社を持たずに資本が独立しているVCです。
独立系と分類はしているものの、それぞれのVCによって投資対象である事業分野や事業段階(ステージ)は様々です。また、系列がないので事業のしがらみなどを気にせずに出資を受けることができます。
独立系VCの例として、グロービス・キャピタル・パートナーズやANRI、Coral CapitalやANOBAKAなどがあります。
コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)
コーポレートベンチャーキャピタルとは、事業会社がファンドを組成・運営し、未上場企業に出資を行う組織を指します。出資の目的としては、他のVC同様、キャピタルゲインの獲得や自社事業にシナジーのあるスタートアップ企業に出資することでシナジー効果を狙うケースも多いです。
CVCの例として、Z venture capitalやGMO Venture Partners、NTTドコモ・ベンチャーズなどがあります。
金融機関系
金融機関系VCとは銀行・証券会社・保険会社などの金融機関が運営するVCです。
金融機関としての強みを活かした経営支援や、系列銀行からの融資による支援、系列証券会社からの上場支援などを受けられる可能性があります。
金融機関系VCの例として、SMBCベンチャーキャピタルやみずほキャピタルなどがあります。
政府系
政府系VCとは、地方自治体や政府、公的機関などが運営主体のVCです。主な目的として、中小企業の支援・日本企業のグローバル化・産業の活性化などがあります。
政府系VCの例として、中小機構ファンドやDBJキャピタル、中小企業投資育成株式会社、などがあります。
大学系
大学系VCとは、大学や研究機関関連の未上場企業に対して投資を行うVCのことを指します。 大学や属する研究機関から生み出された、最先端の研究などの社会実装に挑むベンチャー企業などに対して、経営支援や投資を行います。 大学系VCの例として、東京大学エッジキャピタルパートナーズや京都大学イノベーションキャピタルなどがあります。
地域特化型
地域特化型とは、主に、特定地域における資源利用・産業の活性化などを目的に設立されたVCのことを指します。多くのケースで、地方の金融機関が出資者としてファンドに参加しています。地域に密着した事業を展開する場合、積極的に活用すると良いでしょう。 地域特化型VCの例として、北海道ベンチャーキャピタル株式会社や、東北イノベーションキャピタルがあります。
VCの支援手法
VCは、投資先企業の企業価値を上げるために(バリューアップ)、投資先に対して様々な支援を行います。
投資先企業に対して支援する手法は次の3つです。
- ハンズオン
- ハンズオフ
- ハンズイフ
ハンズオン
VCが出資した後、積極的に経営に介入して支援を行う手法を「ハンズオン」と呼びます。
ハンズオンは資金を提供するだけでなく、経営会議の参加権により、取引先や事業提携先の紹介し、経営ノウハウを提供するなど、豊富な支援を行うということです。
VCが投資対効果を向上させるためには、投資先のスタートアップの企業価値を向上させ、売却金額が投資金額を上回る状態を作ります。
そこでVCは、投資先の事業に関することほぼ全てにサポートやアドバイスを積極的に行い、投資先企業の価値を向上させながら、エグジットに向けて支援していきます。
主にシード期の企業に対して投資するVCで、かつ、資金調達ラウンドにおいて最も多い株式比率の投資を行う、いわゆるリードVCがハンズオンの支援を行うことが多いようです。
ハンズオフ
その一方で、VCが投資先企業の事業にあまり関与しない手法を「ハンズオフ」といいます。投資先企業の経営陣のコミットメントに左右される投資手法のため、安定したマネジメントが見込め、かつ数年後に上場が期待できるような、主なレイターの企業に対してハンズオフのスタイルでの出資が行われることが多いようです。
ハンズイフ
投資先企業側の求めに応じて、「もし必要ならば」関与する手法を「ハンズイフ」といいます。
リードではなく、フォローで出資するVCやミドルステージ以降に出資するVCがハンズイフのスタンスを取ることが多いようです。
VCから投資を受けるメリット
- VCリソースを最大限に活用できる
- 創業まもない企業でも資金調達の可能性がある
- 融資を受けやすくなる可能性が高まる
VCリソースを最大限に活用できる
上記で述べたように、ハンズオンの支援の場合は資金提供に加え、経営のノウハウや事業に関する壁打ち、事業提携先の紹介などの経営支援を受けられるため、事業の成長を促進させることできます。 VCは、様々な金融機関・事業会社・機関投資家とともに投資ファンドを組成しているため、ファンドへの出資者である企業(LP)など事業提携先を紹介してもらえる可能性があります。
創業まもない企業でも資金調達の可能性がある
VCによる投資は、企業の安定性よりも将来性や成長性が重要視される傾向があります。そのため、設立から間もないタイミングで信用度や収益力などが低い企業であっても、チームや起業家本人、取り組む課題やソリューション、市場(領域)に魅力を感じてもらえれば資金調達できる可能性があります。
融資を受けやすくなる可能性が高まる
VCから投資を受けることで財務状況が改善されれば、金融機関からの融資を受けやすくなる可能性が高まります。
有名なVCから投資を受けると、出資後にキャッシュが潤沢になり、自己資本比率も高まり、かつ企業の将来性が評価されている企業だと社会的な信用が高まる可能性があります。そのため、融資や投資を受けやすくなる可能性が高まります。
VCから投資を受けるデメリット
- 経営の自由度の低下
- EXITのプレッシャー
経営の自由度の低下
VCによる厚い経営支援をメリットに挙げましたが、投資先企業の経営に深く関与し内外からサポートがあることで、経営の自由度が低下するリスクがあります。 VC側の視点では、ファンドへの出資者にリターンを分配しなければならないため、投資先企業の価値が向上するための各種支援を行いますが、経営陣との間で意見の対立が起こる可能性はゼロではありません。 そのため、自由な経営を行なっていきたい経営陣にとっては、VCの経営支援に煩わしさを感じる場合があります。
EXITのプレッシャー
VCは、出資者との間で契約を結び、ファンドを組成して投資を行うため、ファンドの償還期限までに投資資金を回収する必要があります。つまり、投資を受ける企業にとっては、期限までにEXITを達成することが求められます。
そのような時間的制限と負担を感じながら事業を進めていかなければなりません。
VCのまとめ
本記事では、VCについて種類別の特徴やメリット・デメリットについて解説しました。
記事で述べたようにVCと一言でいっても、種類が様々あり、その中にも各VCによって得意分野や支援方法が異なります。そのため、今回紹介したようなVCのメリット・デメリットなどを踏まえ選択していくことが大切です。