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「起業準備中」の方に知ってほしい創業融資に向けた2つの準備_自己資金編

創業前に知りたいこと 「起業準備中」の方に知ってほしい創業融資に向けた2つの準備_自己資金編
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若林 哲平

株式会社INQ代表取締役CEO、行政書士法人INQ代表。 様々な領域のスタートアップの融資による資金調達(デットファイナンス)を支援。年間130件超10億以上の調達を支援するチームを統括。行政書士/認定支援機関。複数のスタートアップの社外CFOも務め、業界への理解が深く、デットだけでなくエクイティ両面の調達に明るく、対応がスムーズだとVCやエンジェル投資家からの信頼も厚い。趣味はキャンプと音楽。4児の父。

今回の記事は、起業準備中の方や将来的に起業を考えている方に向けた記事です。

起業準備中の方にとって、エクイティファイナンスや事業の作り方等については、「起業のファイナンス」(著者:磯崎哲也/出版: 日本実業出版社)や「起業の科学」(著者:田所雅之/出版:日経BP社)などのバイブルから十分な情報を得ることができるかと思います。

ですので、本記事では年間130件のスタートアップの融資をサポートしているINQから、デットファイナンスの視点に絞り、「起業準備中」の方にこそ知ってほしい創業融資に向けて必要な準備を2点に絞ってお伝えします。

日本政策金融公庫の新創業融資の進め方については「創業融資の進め方ガイド【2022年最新保存版】」で詳しく解説しています。

起業準備中”の方にこそ知ってほしい2つの準備

それは

  1. 自己資金を貯めよう!
  2. 個人信用情報を確認しよう!

です。
長くなるので、2回に分けてエントリーします。
本記事は「自己資金編_1/2」です。

自己資金を貯めよう!

資金調達方法には次のようなものがありますが、

  1. 自己資金
  2. デット(融資)
  3. エクイティ(株式)
  4. 補助金・助成金
  5. クラウドファウンディング
  6. その他

その中でも、最強の資金調達はなんと言っても「自己資金」です。
自己資金で事業を立ち上げ、資金調達をするまでの間、自社の売上・利益を再投資する、いわゆるブートストラップで経営していたスタートアップはあります。たとえば日本では、先日上場したSansan。2007年の設立当初は主にCEOの寺田氏の5,500万円という潤沢な自己資金でスタートしたことは、事業成功の要因のひとつかもしれません。

なぜ自己資金が必要なのか?

さて、自己資金には次のようなメリットがあります。

  • 利息がかかりません。
  • 返済の必要もありません。
  • 資金の使いみち(=資金使途)の制限もありません。
  • 株式シェアも渡しません。

ただ、自己資金が必要な理由はそれだけではありません。

創業融資で重要な「自己資金」

創業融資を受ける場合、主に以下の2つの理由で自己資金は必要であり、非常に重要です。
自己資金が多ければ多いほど、創業融資の融資金額と融資確率が上がるのです。

❶融資金額の土台となるから

一般的に、創業融資での融資金額は自己資金の2〜3倍と言われています。
融資金額を決定するのに、自己資金は重要なファクターになるのです。

❷金融機関の評価が得やすいから

自己資金が多いほど、金融機関は「この代表者は周到に、計画的に起業準備をしてきたな」と評価しやすいです。
また、自己資金により創業時の手元のキャッシュが多いほど、事業が頓挫する可能性は低いと評価しやすいです。
事業に投資する自己資金に加えて、代表者の個人資産(余裕資金/家計の貯蓄等を含む)が多ければ、返済原資が不足した際の保全ができるという見方もできるため、より融資しやすくなります。

自己資金の確認方法

なお、日本政策金融公庫の新創業融資の場合、原則として代表者と法人の通帳(めやすとしては過去半年分)を見て、自己資金の確認を行います。
融資における「自己資金」とは原則的に”代表自身が起業のために、銀行口座上で蓄積した資金“です。
タンスに現金で貯めておくと消費者金融で借りてきたお金と区別がつかず、自己資金として評価されにくくなります。ちゃんと銀行口座に入れておくことをお勧めしています。

その他にも

リスクヘッジとして

エクイティの調達を中心に考えていて、VCやエンジェル投資家から「出資するよ」という内諾を得ていたとしても、投資実行されるまでは安心してはいけません。
経営者は、リスクテイクして事業を進める際には、常にネガティブケースにも備えておくべきです。
資金調達で言えば、エクイティを中心に資金調達を進めつつ、融資での調達の選択肢は捨てないでおくべきです。そして、融資での調達にいざ動くことになった場合、上記の通り、自己資金は多い方が金額と確度が上がるので、自己資金はあった方がいいということになります。

事業にフォーカスするための資金として

自己資金がないために、資金調達に奔走したり、受託開発・コンサルで売上を立てなければならないとなると、それらに忙殺され、なかなか思うように自社プロダクトを育てることができない、というシードスタートアップが散見されます。自己資金は自社プロダクトにフォーカスするための重要なバッファになり得ます。

まとめ

過去に起業すると行けなくなるからという理由で、起業前に海外旅行に行った人がいました。そして派手に自己資金を減らして帰国されました。
海外旅行に行くのは自由です。僕だって行きたいww
でも、起業して何かを成し遂げたいという方は、海外で散財する前に、今すぐ空港から引き返して自己資金を準備するべきです。

くどいようですが、繰り返します。
自己資金を貯めましょう。


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