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【起業家インタビュー】 シェフが作ったオリジナル料理が一から学べる|ミールキット宅配サービス シェフレピ|山本篤さん

創業者インタビュー 【起業家インタビュー】 シェフが作ったオリジナル料理が一から学べる|ミールキット宅配サービス シェフレピ|山本篤さん
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若林 哲平

株式会社INQ代表取締役CEO、行政書士法人INQ代表。 様々な領域のスタートアップの融資による資金調達(デットファイナンス)を支援。年間130件超10億以上の調達を支援するチームを統括。行政書士/認定支援機関。複数のスタートアップの社外CFOも務め、業界への理解が深く、デットだけでなくエクイティ両面の調達に明るく、対応がスムーズだとVCやエンジェル投資家からの信頼も厚い。趣味はキャンプと音楽。4児の父。

当社INQがこれまでに創業融資の支援をした起業家が、どのようなバックグラウンドを持って起業、資金調達に成功したのかをお届けしていく【起業家インタビュー】。
今回はefoo株式会社の代表・山本さんにお話を伺いました。

シェフのオリジナル料理が一から学べる「シェフレピ」

ー 起業家インタビュー、本日はefooの山本さんにきていただきました。よろしくお願いします。

こちらこそよろしくお願いします。

ー 早速ですけれども、自己紹介をお願いできますでしょうか?

シェフの動画付きのミールキット、スタディ型のミールキット宅配サービスを運営しております、efoo株式会社の代表の山本と申します。

ー ありがとうございます。では、シェフの動画がついたスタディ型のミールキット宅配サービス「シェフレピ」のサービス内容について教えていただけますか?

ミールキットというシェフが作ったレシピの分量に合わせて食材が届くサービスを運営しております。従来のミールキットサービスは、食材のカットも済んでいて「効率的に早く手軽に簡単に」いわゆる「家事改善型」のミールキットサービスが多いんです。対して我々が提供しているシェフレシピっていうサービスは、食材がそのままぼんって届いて下処理もシェフの手際とかコツを動画で学びながらどんどん料理を進めていく、スタディ型をとったミールキットサービスになっております。動画とシェフのレシピとミールキットの食材キットが付いてくる宅配サービスになります。

ー すぐ作れて手軽ではなくてあえて手がかかるということですね?

例えば、八日間で自分でベーコンを作ってそれをパスタにするみたいな。食のエンタメみたいなところにフォーカスしたミールキットになります。

ー プロのシェフが作る料理と同じ体験を動画を通じてやっていくことで料理好きな人が楽しむんですね?

後々使いこなせないような珍しい食材はスーパーとかネットで買うにしても量が多いので、スパイスなどが小分けに包装されて送られてくるというのもポイントの一つですね。

ー 具体的にユーザーさんからはどういった反応をいただいてますか?

喜んでくださっている方が多くいます。特にユーザーさんがTwitterに投稿してくれていて、みなさん上手に作っていただいています。Twitter上でシェフと会話が生まれたり、シェフのレストランに実際に食べに行ったりといったコミュニケーションが生まれているのもちょっと嬉しいですね。

ー そういったボリュームも生まれているんですね。

そうですね。

ー どういうバックグラウンドのユーザーがいらっしゃるんですか?

料理研究家さんとかが多いですね。
あとは、コロナ禍だけど外食の料理を食べたい一般の方にも使っていただいていますね。基本的にはシェフのテクニックが学べる擬似修行体験みたいになっていて、僕もシェフの技を学びたいというところに価値を感じてきました。

ー 私も学生の頃にアルバイト先のお寿司屋さんで寿司を握らせてもらったりとか、そういう体験を通して料理がすごい好きになった経験があります。あと、ライブキッチンとかでシェフが料理をしているのをジーッと見るのも楽しいですね。

面白いですよね。

ー 出てきた料理を美味しくいただくってのはもちろんなんですけど、作っていく過程を追体験みたいなのってすばらしいなと思いました。私もオーダーさせていただきましたので、すごい楽しみです。

ありがとうございます。

ー 綺麗に料理を作ってSNSにアップできたらいいなと思います。

ありがとうございます。
あと、お客さんが作る料理をできるだけ再現性を高めたいなって思っています。例えばオーブンの火加減とかはオーブンによって違うので、ちゃんと肉に火が入っているのかわからないケースがあるんです。そういう場合はチャット上に写真を添付してお問い合わせいただいて、ここちょっと火の入り加減が微妙なのでこういうふうにしてもう一回火を入れ直してみてください、なんてアドバイスをしています。そういった対応に価値を感じてくれているんですよね。遠隔の料理教室みたいな。

起業のきっかけはご自身の料理人経験

ー すごいですね。非常にユニークなシェフレピなんですけど、アイデアがスタディー型のミールキットに着地したきっかけとかあったんですか?

もともと起業した時に超規模飲食向けの原価管理のサービスを考えていたんですけど、そのリーン検証した際にユーザーの反応が思っていたのとは少し違う結果となりピボットしました。
シェフレピを思いついたきっかけは、シェフが出したレシピ本を見てそのお客さんがレシピに書かれている食材を買うといったお金の流れが見つかったことですね。シェフのレシピを見てその食材を買っているんだったら、ちょっとでもシェフにインセンティブが入らないとおかしいよなと。思ったのがきっかけですね。
まだサービス初期でめちゃめちゃ還元できてるわけではないんですけど、レシピ開発依頼費をお支払いするようにしています。将来的にはミールキットが注目される度にシェフに還元できるお金の流れにしていきたいと考えています。

ー ありがとうございます。シェフに還元したいっていうお気持ちがよく伝わってきたんですけど、起業するきっかけに山本さんが料理人であるというところは大きく関係しているんですか?

もともと料理人としてずっとフレンチで働いて、その中で結構厳しい修行をしていました。料理人たちは貪欲に知識を得て素晴らしいアウトプットを出してお客さんに感動を与えているわりに、業界自体が前に進まないし成功するまでの道のりが長いっていう課題を感じたんです。何かしらの形で料理業界にインパクトを与えたいなと思って起業しました。

ー efooっていう社名はどういった由来があるんですか?

foodのDを前に進めたらdfooになって、Dをさらにアルファベット順に前に進めるとEになるって言う、前へ前へ進めていくニュアンスを持たせました。

ー foodを二歩進めたんですね!素晴らしいです。

けど、ちょっと読み方がみなさんわかりづらいみたいで。

ー 読み方は「イフー」でいいんですよね?

「イフー」であってます。

ー ありがとうございます。ピボットを経て今のシェフレピサービスに行きついていますけれども、現時点での手応えとしてはいかがですか?

スタート前は毎回ちゃんとお客さん喜んでくれてるかなって不安だったんですけど、今はすごく好評いただいているなって手応えを感じています。売り上げ目標的にも予想以上の状態にはなっていますし、ちゃんとサービスに価値を感じてリピートしてくれる人がいらっしゃるので、非常にありがたいし好調だなと感じていますね。

料理人の知識を価値に還元したい

ー 手応えを感じていらっしゃるシェフレピということなんですけど、今後シェフレピで実現したい世界観があれば伺いたいです。

料理に対するリテラシーに差があるなと思っています。料理人がどのような意図で作っているのかを汲み取れるだけの知識量がなくて、そこが少しでも埋まればいいなと思っています。具体的に言うと、労働集約ではない働き方ができるようなサービスになればなと思っていますね。知識をちゃんと価値に還元してくサービスができたらなと思っています。

ー 確かにそうですね。私がお寿司屋さんでバイトしていたときに、やっぱり職人さんのやっていることを何気なくこう見てましたけど、自分で作ってみたら全然できないみたいな。プロの技がより興味が強まるみたいなところもありますし。

興味を持ってもらうのもそうですけど、知識があれば掴める情報量も変わってくると思うんですね。シェフの料理の再現性を意識したい一方で、普段家庭で料理を作っている人とそうでない人の汲み取れる知識量はかなり差があります。料理ってどんどん場数を踏んでいくとわかることが増えると思うし、食べていてもそれは一緒だと思うんですよね。こういう組み合わせが珍しいとか珍しくないとかも知ってるか知ってないかなんですよね。美術館巡りと似てるなって。目が肥えてくると面白くなっていくし、感じとる価値も上がっていくし。そういう文化が向上すれば世の中も料理業界もよくなるだろうなって。

ー 私、主夫で毎日料理をしてるんですが、毎日作るってなるとクオリティがだんだん二の次になっていくって言うのって悲しいなって思っていて。元々は料理が好きだったから炊事していたのに、楽しくやらなくなってきている自分にシェフレピのページを見ていて気がついたんですよ。ひょっとしたら料理を楽しくやれるいいチャンスになるかなと。

ありがとうございます。
生かせるポイントを違うところに転用とかもできるので、そういったところも価値かなと思っていますね。
単純に一回消費するだけでなくて、一生使えるモノというか。

ー 料理って技術ですもんね。

はい。シェフにレシピ作成をするにあたって気をつけたことは何かと聞いたところ、普段の生活の料理にどうしても楽にすることを求めてしまうのに対して「同じ”楽”という感じでも、料理を楽しむという方にポジティブになるレシピ提供を考えました」と言ってくれていて、まさに僕の目指したいことと共通しているなと思いました。

ー そういう意味では私と同じ主夫(主婦)の方にも楽しんでいただけるプロダクトになればいいなと思いました。

そうなっていきたいです。

サムライインキュベートファンドからの出資と日本政策金融公庫からの融資

ー そんなefooさんなんですけれども、これまでの資金調達の経過を教えていただけますか?

はい。まず起業したての頃にサムライインキュベートさんのプログラムに採択されて、その時点で起業して1回目の投資をいただきました。そのときは飲食向けの原価管理Saasのリーン検証を行っていましたが、食材の変動費とかをグラフで可視化してあげてリアルタイムで見れるようになるのに対してピンとこないひとが多かったんです。たしかに小規模飲食店って、食材の原価変動を気にするほど原価を管理することにインパクトがないなって。そういった経緯で一旦ゼロベースからサービスを考え直してシェフレピを思いつきました。

サービスリリースに許認可も取らないといけないなどの整備を行うのにまた資金が必要になったので、もういちどサムライインキュベートさんから出資と日本政策金融公庫さんから融資をいただきました。

ー なるほど、ユーザーインタビューは行いましたか?

利用者さん全員にインタビューしました。

ー 山本さんが直々に?

一人につき30分から1時間いただきました。もちろん応じていただけなかった場合もありましたが、ほとんどの人がユーザーインタビューに応じていただけた感じですね。100人がβ版を応募してくださしてくださったうちの60人の方に使っていただきました。価値としては3軸あって、「シェフのレシピ」「材料がまるっと届く」「動画にした時の価値」にどのくらい魅力を感じてくれているのかを主に見ていきました。そこで動画でシェフの手捌きを学べてよかったと言う声がおおくて、ミールキットにとっては動画の掛け合わせってすごく相性がいいんだなってことに気がつきました。

ー ある程度山本さんとしても手応えを感じていましたか?

そうですね、手応えを感じました。一方でもっとこうやったら価値が出るだろうなみたいなところも洗い出せたと言うのもあって、そこを改善してシェフレピを改善していきました。まだ、改善するとこばっかなんですけど。

ー いやあでも、本当に楽しみですね。今後このサービスを多くの方に使っていただくために必要としているリソースはありますか?

そうですね。CTOも共同創業者もいるんですけど、興味あるエンジニアさんとかいらっしゃったら非常にありがたいです。

ー エンジニアさん、もし仮にご興味を持っていただいたらまずはカジュアルにお話したいって感じだと思うんですけど、山本さんのSNSとかに直接ご連絡させていただいて大丈夫ですか?

Twitterにそこそこ見ているので。

ー 山本さんとシェフレピのTwitterアカウントとシェフレピのサービスサイトを添付おきますので、そちらからご連絡いただければと思います。山本さん、最後にシェフレピを使っていらっしゃらない方に向けてメッセージありますか。

シェフレピは料理が上手くなるためのあくまでHOWの一つだと思っています。YouTubeで料理動画を見たときに自分で作れるのかなとか作ってみたいなと思ったときにぜひシェフレピを頼んでいただきたいです。シェフと同じ食材がぼんって送られてきて、調理のポイントを説明してもらっていくうちに料理に興味を持ってくれたらいいんじゃないかなって思っています。一度シェフレピで学んだ知識を他の料理で使いまわせるのでそういったところにも価値を感じることができるのかなと思います。

ー ありがとうございます。今日は事業に関することだけじゃなく、根底にある料理愛みたいなのも伺えたのでいい時間になりました。

ありがとうございます。熱が入っちゃいました。

ー 今後も応援しております。貴重なお話ありがとうございました。

山本篤さんプロフィール

大阪府出身。辻調理師専門学校の調理技術マネジメント学科に進学。2013年に卒業後、大阪・新町のフランス料理店に就職。約4年間の修行を経てオーストラリアへ渡り、和食レストランの店長兼料理長に。約1年後に帰国し、兵庫・淡路島で料理責任者として複数店舗の立ち上げや運営を経験。2019年に上京し、約半年間、起業をゴールとしたプログラミングスクールへ。2020年5月にefoo株式会社を創業し、2021年4月からレシピ動画がついたスタディ型食材キット宅配サービス「シェフレシピ」をリリース。

▼スタディ型ミールキット宅配サービス「シェフレピ」
https://chefrepi.com/

▼山本氏Twitter
https://twitter.com/Atsushi_13

▼山本氏Faceboo
https://www.facebook.com/atyamamoto13

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