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発行可能株式総数とは?決め方やその背景についても解説します!

創業前に知りたいこと 発行可能株式総数とは?決め方やその背景についても解説します!
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会社を設立する際、定款に記載しなければならない「発行可能株式総数」についてどのように決めるとよいのでしょうか。

本記事では、発行可能株式総数を定める理由から決める際の注意点まで詳しく解説していきます。

この記事でわかること
  • 発行可能株式総数とは何か
  • 発行可能株式総数を決める際のポイント

発行可能株式総数とは

発行可能株式総数とは、会社が発行できる株式数の上限という意味ではなく、株主総会の決議なしで発行できる株式の数のことです。発行可能株式総数に上限は決められていません。

発行可能株式総数を定款で決めておく理由

発行可能株式総数をあらかじめ決める必要のある理由は以下の2つがあります。

  • 既存の株主を保護するため
  • 取締役の権利濫用の防止のため

既存の株主を保護するため

所有する株式数に応じて、会社への影響力が変わってきます。

そのため、既存の株式発行数と発行できる最大数を事前に定款に定めることで、将来の発行可能数を把握でき、自分の発言力がどれだけ影響を与えるかを前もって知ることができます。

例えば、 持ち分が10株中9株の既存株主がいたとします。何の制限もなく90株の新株を発行されたたら、既存株主の持ち分は100株中9株となり希薄化してしまいます。したがって定款で追加の発行可能株式を10株等に制限しておきます。

取締役の権利濫用の防止のため

株式発行であれば資金調達は容易になりますが、取締役の決議のみで無尽蔵に発行できるとなると、権利の濫用につながる恐れがあります。

株主は所有する株式数に応じて会社への影響力も変わるため、本来であれば株主総会の決議が必要になるはずです。

そのため、発行可能株式総数を定めることで、取締役の権限によって発行できる株式最大数に制限を設けて権利の濫用を防ぐことができます。

発行可能株式総数の決め方

会社には公開会社と非公開会社があります。公開会社とは発行する株式に譲渡制限を設けていない会社のことです。株式市場に上場していることから、上場企業とも呼びます。

非公開会社はそれ以外の会社のことです。株式市場に上場していないことから、未上場企業とも呼びます。

この公開会社・非公開会社かによって発行可能株式総数の規制が全く異なってきます

まずは、非公開会社の場合は発行可能株式総数に制限を設けていません。これは、非公開会社はそもそも株式に譲渡制限が課せられているので、譲渡に関して規制すればよいためです。

一方で公開会社の場合は、発行済株式総数の4倍までしか発行可能株式総数の上限を設けることができません。これは、公開会社は株式譲渡に制限がないため、発行可能株式総数を定款で規制することで株主を保護する必要があるためです。

発行可能株式総数は登記事項のため変更登記を行う都度、手続費用が掛かってしまいます。そのため、以上のようなルールのもとで発行可能株式総数はある程度余裕を持って定めるべきです。

1株あたりの金額の決め方

また、会社設立時の1株あたりの金額も同時に決める必要があります。

一般的には、1株あたりの金額を1万円か5万円に設定する会社が多いようですが、1株当たりの価格に上限はありませんので、1株100万円とすることも可能です。

1株1万円に設定する理由は単純に分かりやすいからです。200株であれば200万円ということがすぐに分かりますし、株式保有率も把握しやすいです。

一方で1株5万円に設定する理由は、旧会社法の下では発行価格の上限が5万円以下だった名残といわれています。

会社の時価総額(株価)を上げながら株式の第三者割当による資金調達を繰り返し急成長を志向するスタートアップの場合、1株あたりの金額を大きくし過ぎると、面倒な株式分割の手続きが必要になったり、細かい単位でのコントロールができないなどのメリットがあります。詳しくはCoral Capitalの「スタートアップ向け法人設立ベストプラクティス(2)―株式数、共同創業者の持株比率はどうする?」で詳しく解説されていますので、ご参照ください。

増資を行う際に金額によっては設立時などの株主の利益を害する可能性もあるため、金額の設定は慎重に行いましょう。

増資についての詳細については、「増資とは?融資や出資との違い、メリット・デメリットについて解説」をご参照ください。

発行可能株式総数のまとめ

本記事では、発行可能株式総数について解説してきました。

  • 発行可能株式総数とは株主総会の決議なしで発行できる株式の数のこと
  • 発行可能株式総数は株式の譲渡制限の有無でルールがある。

発行可能株式総数を決める際は、今後の経営方針も大きな要素を占めてきます。単に会社を設立するために必要だからという安易な気持ちで決めるのではなく、今後についても十分に検討のうえで、設定してください。

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