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個人事業主を法人化するタイミングで悩んでいる人は多いのではないでしょうか?
実際、個人事業主と法人の様々な違いをふまえて、法人化の最適なタイミングを見極めることは簡単ではないと思います。
そこで、この記事では複数の観点から、個人事業主を法人化するタイミングについて解説します。
- 法人成りの適切なタイミング
個人事業主が法人成りするメリット・デメリットについては「個人事業主は法人成りした方がお得?メリットとデメリット・注意点を解説」で解説しています。
個人事業主と法人の違い
法人成りのタイミングは、法人化することによるメリットがより大きくなる時期を選ぶべきです。そのため、はじめに個人事業主と法人の違いを確認します。
詳細については「個人事業主と法人の10個の違い|どちらがお得なのかを踏まえて解説」をご参照ください。
なかでも、法人成りの際に検討することが多い項目は次の3つです。
- 税金の観点
- 社会的信頼度の観点
- 社会保険の観点
ここからは、上記3つの観点から適切なタイミングを考えていきます。
税金の観点
税金のなかでも特に次の2つの観点から説明します。
- 所得税・法人税からの判断
- 消費税からの判断
ただし、所得控除や事業以外の所得の有無など個人差があるため、法人成りをする場合は税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
所得税・法人税からの判断
前提として、個人事業主には所得税、法人には法人税が課せられます。そして、その所得税と法人税では、事業利益が同じであっても利益に対する税率が異なります。
所得税の税率は所得金額に応じて5%〜45%であり、所得金額が大きくなればなるほど税率が高くなります。
一方、法人税は利益が800万以下は15%で、800万を超えると23%の比例税率になります。法人としては、地方税などを含めると税率は30%程度ですが、そのほとんどが比例税率であるため、利益が増加しても税率は変化しません。
これらを考慮して、一般的には個人事業主としての利益が800万を超えたあたりが法人成りをするタイミングであるといわれています。
消費税からの判断
個人事業主と法人のどちらであっても、基本的には売上が1,000万円を超えた年の2年後までは消費税の納税義務が免除されます。
この仕組みを利用して、売り上げが1,000万円を超えた年の2年後に法人成りすることで免税期間を2年間延長することができます。
当然、消費税の免税のために法人成りすることはないと思いますが、法人成りするタイミングで知っておいて損はない情報です。
詳細については「No.6501 納税義務の免除 – 国税庁」をご参照下さい。
社会的信頼度の観点
確定申告や決算で開示している情報量の差から、個人よりも法人の方が社会的信頼度が高いと考えられています。
法人ではなく個人事業主であると取引を行わない会社もあるため、法人化することで取引先も確保しやすくなります。
なお、資金調達において、個人事業主か法人かによってのみで大きく信用に違いが生じることはありませんが、スタートアップのように、投資家から資金調達を行う場合には、株主の第三者割当を行う関係上、法人化して株式会社を設立する必要が生じます。
株式会社についての詳細は「法人の種類16個を全て解説!法人設立にはどの種類が適している?」をご参照ください。
社会保険の観点
個人事業主と法人では社会保険の保険料負担にも大きな差があります。
厚生年金や健康保険を指す社会保険は、個人事業主の場合、従業員が常時5人以上いる場合を除いて加入義務がありません。しかし、法人の場合は雇用人数に関わらず、社会保険に加入する義務があります。
これにより、法人成りによって従業員の社会保険料を払わなければならないことはデメリットといえます。
一方のメリットとして、社会保険は個人事業主が加入す国民健康保険や国民年金よりも手厚い補償であることが挙げられます。
以上の点から、特に人件費が多くかかる業種は、社会保険料の観点から法人成りするタイミングに注意が必要です。
個人事業主が法人化するタイミングのまとめ
個人事業主と法人には様々な違いのなかでも、法人成りのタイミングで今回注目した項目は次の3つでした。
- 税金からの観点
- 社会的信頼度からの観点
- 社会保険からの観点
すべての個人事業主が法人成りを目指すわけではないと思いますが、法人成りを考えている場合は、税理士さんなどの専門家の意見を聞いて、最適なタイミングをよく検討することをおすすめします。