創業融資のスペシャリスト INQ
最新記事 by 創業融資のスペシャリスト INQ (全て見る)
- アクセラレータープログラムとは?流れやメリット・デメリットも解説 - 2022年5月30日
- シェアオフィスってどんなところ?メリット・デメリットを詳しく解説 - 2022年5月27日
- ビジネスコンテストについて解説|参加のメリットや一例を併せて紹介します - 2022年5月26日
法人を設立しようと考え始めた際、株式会社と合同会社どちらで登記すべきなのか?それぞれの違いを知って適切な判断をしたい!と悩まれる方は多いかと思います。
そこで今回の記事では、株式会社と合同会社の具体的な違いを述べていき、自身の企業にとってどちらの企業形態が適しているのか明らかにしていきます。
株式会社と合同会社の違い
株式会社にするメリット
①社会的信用力が高くなる
株式会社は認知度が高いだけでなく、合同会社などの他の形態よりも守る必要のある法律上の規定が多いため信用力も高く見られます。
したがって、採用の募集をした際の集まりやすさ、金融機関からの融資の受けやすさ、取引のしやすさなどの点で有利です。
②資金調達の選択肢が広い
株式会社はその名の通り、株式を発行することができます。
株式を発行することにより、投資家などから幅広い出資を受けることが可能になり、より多くの資金調達の方法を選択することができるようになります。
③株主の責任は間接有限責任
「有限責任」とは、倒産した際に出資額を限度とし責任を負うということを言います。つまり、会社が潰れた時に、出資額は全額失ってしまうが、それ以上の責任を負う必要がないということです。
株式会社の株主は債権者に対して、直接的な責任はなく、出資した会社に対して出資した金額のみの責任を負う「間接有限責任」になります。
株式会社にするデメリット
①設立にかかる費用が多い
設立にかかる費用は約20〜25万円ほどになります。
これには
- 定款用収入印紙代
- 定款の藤本手数料
- 公証人による定款の認証料
- 登記免許税
の4つが含まれます。
この他に、もし司法書士等の専門家に登記申請手続きを依頼する場合には、その報酬が発生します。登記申請手続きの代行依頼については、「会社設立の手続きを代行したい方必見!代行できる作業や依頼先の違いを説明します」をご参照ください。
②組織体制や運営に関する決まりが多い
株式会社は役員の任期、取締役会の運営・権限、株主総会の開催など、多くの決まりが存在します。
また、決算公告の義務などの定期的にかかる手間・費用もあります。
合同会社にするメリット
合同会社にするメリットは次の通りです。
- 会社の設立にかかる費用が少ない
- 決算公告の義務がない
- 出資者全員が有限責任者になる
1. 会社の設立にかかる費用が少ない
合同会社は株式会社と比べると、かなり安く設立可能です。前述の通り、株式会社設立に20万円程度かかるのに対して、合同会社は6万円〜と1/3程度で済ませることができます。これは、株式会社では必要となる「公証人による定款認証」が不要なことなどの違いがあり少額での設立が可能となっています。
2. 決算公告の義務がない
合同会社は決算公告の義務がありません。
決算公告とは、株式会社毎年行う義務であり、貸借対照表(決算内容)、またはその要旨を広告することを指します。決算公告の義務がないことにより、広告の手間であったり、広告を掲載する際に必要な費用(約6万円)が不要になります。
3. 出資者全員が有限責任者になる
合同会社は、株式会社と同じく「間接有限責任」になります。
出資者は出資した金額以上の責任を負う必要がなく、リスクが少ないと言えます(※株式会社のメリット③に詳しく記載)。
合同会社にするデメリット
合同会社にするデメリットは次の通りです。
- 信頼性は劣る?
- 資金調達の方法が限られる
- 上場はできない
1. 信頼性は劣る?
一概には言えませんが、合同会社は株式会社と比較して認知度も低く、信頼性は劣る印象です。
決算公告などの情報を開示する必要がなく、会社形態がオープンでない点、合同会社という企業形態ができたのが最近であるという点からこのような現状となっています。
企業によっては、株式会社でないと取引してもらえないことなどもあります。
2. 資金調達の方法が限られる
合同会社は株式を発行はできませんので、株式の購入などによる資金調達方法ができません。
基本的には銀行からの融資(借入)や補助金・助成金で資金調達することになります。
3. 上場はできない
合同会社は上場ができない企業形態です。
事業拡大のため、上場を狙うのであれば株式会社のみが可能は企業形態となっています。
業種別のおすすめ形態
株式会社におすすめの事業形態
株式会社がおすすめの企業の特徴は以下の2つ業態です。
①企業向け事業
前述の通り、株式会社は認知度も高く、社会的信用が高いため、企業との取引がしやすい傾向にあります。
②大規模事業
こちらは「資金調達方法の選択肢が多いこと」、「上場ができること」の2点から大規模事業に必要な、潤沢な資金や社会的な認知度において秀でているためです。
合同会社におすすめの事業形態
合同会社がおすすめの企業の特徴は①一般消費者向け(to C)事業②小規模事業になります。
①一般消費者向け事業
企業向けの事業であれば、社会的に見てある程度の信用がなければ取引が断られるケースもあります。合同会社は知名度が低いという点から社会的な信用が薄いため、企業向けの事業は適しているとは言えません。
しかしながら、一般消費者(toC)向けの事業であれば、消費者は合同会社か株式会社かを気にしないことがほとんどで、上記のデメリットは問題になりません。
カフェやサロンなどの企業が該当しますが、これらの企業は社会的な信用力よりも、認知度やブランド力が重要になります。
②小規模事業
株式会社との大きく異なる点として、事業展開の規模の大きさがあります。株式会社は資金調達方法なども豊富で規模を大きくしていくのに向いています。
その一方で、1人企業、家族経営、個人事業から法人成りなど規模が小さく、拡大していく方針ではないということでしたら合同会社が向いています。
株式会社と合同会社の違いまとめ
株式会社と合同会社で違いがでる点は、大きく以下の3点になります。
1.社会的信用力
2.資金調達方法の選択肢の数
3.設立にかかる費用
これらの点を踏まえて、自身のビジネスはどちらの形態が適しているのか判断していきましょう。