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資金調達に悩む中小企業/スタートアップの救世主?エメラダ・バンクのオンラインレンディング

創業前に知りたいこと 資金調達に悩む中小企業/スタートアップの救世主?エメラダ・バンクのオンラインレンディング
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若林 哲平

株式会社INQ代表取締役CEO、行政書士法人INQ代表。 様々な領域のスタートアップの融資による資金調達(デットファイナンス)を支援。年間130件超10億以上の調達を支援するチームを統括。行政書士/認定支援機関。複数のスタートアップの社外CFOも務め、業界への理解が深く、デットだけでなくエクイティ両面の調達に明るく、対応がスムーズだとVCやエンジェル投資家からの信頼も厚い。趣味はキャンプと音楽。4児の父。

これまで個人向けのオンラインレンディング(オンライン上で完結する融資)は存在していましたが、法人企業向けのオンラインレンディングはありませんでした。
満を持してFinTechスタートアップ、エメラダ企業向けのオンラインレンディングをローンチしました。

東京に拠点を置くフィンテックスタートアップのエメラダは23日、法人向けオンラインレンディングサービス「エメラダ・バンク」をローンチした。
法人向け資金調達プラットフォーム運営のエメラダ、オンラインレンディング「エメラダ・バンク」をローンチ——ISIDや地方金融機関各社が参画 – THE BRIDGE

2017年11月にリリースした株式投資型クラウドファンディング(以下株式投資型CF)「エメラダ・エクイティ」を通じて、スタートアップの資金調達をサポートしてきたエメラダ。同社は5月23日、株式投資型CFに続く新たな資金調達プラットフォームとして、オンラインレンディングサービス「エメラダ・バンク」をリリースした。
スタートアップの資金調達をお膳立てするエメラダ、投資型CFに続きレンディングサービスを開始 – TechCrunch Japan

内容を見てみると、中小企業やスタートアップにとって有効な資金調達手段になり得る予感がします。
同社は「オンライン融資のインフラをつくる」ことを目指しており、「5年後に1,000億円の市場になる」ことを見込んでいるとのこと。そうなれば、中小企業やスタートアップの資金調達のイノベーションです。

エメラダ・バンクのオンラインレンディングとは?

エメラダ・バンクのサービスサイトや各メディアの記事からの情報をまとめると、

オンラインレンディングの概要

  • オンラインで融資申込が完了
  • 対面審査(エメラダ側との面談)はあるらしい。
  • 契約締結は基本的にオンライン上で完結
  • 決算を2期以上迎えた企業が対象
  • 無担保無保証(でない場合もあり得る)
  • 融資額は500~5,000万円
  • 返済期間は1〜5年。
  • 金利は2~15%と高くなる可能性も。
  • 元金不均等返済にも対応
  • 審査期間は最短1週間

実際、エメラダ・バンクに問い合わせして確認してみたところ、決算1期でも受け付けられる場合もあるとのこと。
近年資金調達のペースは速くなっているので、決算1期でも受け付けてもらえるとありがたいですね。

審査基準は?

決算書からだけでは読み取れない情報も含めて評価するようです。

  • 決算書
  • 銀行口座の入出金情報
  • SNS等からの企業の定性情報・信用力
  • 事業計画

SNS等の情報から、おそらく企業だけでなく、代表者の定性面も評価するのではないでしょうか?
代表者個人のCIC等の個人信用情報をどこまで評価に加えるかはメディアの記事からはわかりません。

資金の出処は?

城北信用金庫、第三銀行、東邦銀行、大和信用金庫、電通国際情報サービス(ISID)等と作った10億にも達するファンドを原資に、貸出を行うようです。今後も金融機関からの追加的な資金拠出があることを踏まえると、それなりに大きな運用になりそうです。

エメラダ・バンクのメリット

以上からエメラダ・バンクのオンラインレンディングで調達するメリットは次の通り。

  • 手間が少ない
  • 決算書以外の評価
  • 柔軟な返済方法
  • クラウドファンディングとの合わせ技
  • 無担保無保証/代表者保証無しも検討できる

それぞれ詳しく見ていきます。

手間が少ない

面談が一回あるものの、申込と金銭消費貸借契約の締結がオンラインで完結するようです。
保証協会付き融資の場合、金融機関との面談と保証協会との面談と契約締結と、少なくとも3回は金融機関に足を運ぶことになりますので、それに比べると、申込側の手間はかなり省けることになります。

決算書以外の評価

銀行の入出金情報やSNSの情報など、決算書以外の要素も融資審査に関係するようですが、それがどの程度なのか注目です。

柔軟な返済方法

一般的な元金均等返済や期日一括返済に加え、元金不均等返済にも対応しているところが特長です。
これは日本政策金融公庫や保証協会付き融資では使えないメリットです。
不均等返済ということは、月々に返済する金額を資金繰り等に応じて変動させて返済ができるということ。
季節変動がある業種(飲食業など)にとってはかなりありがたいのではないでしょうか?

クラウドファンディングとの合わせ技

先にローンチしている同社の株式型クラウドファンディング、エメラダ・エクイティと組み合わせることにより、デットとエクイティの両面から調達ができます。エメラダ・エクイティの場合、クラウドファンディングで配られるのは新株予約権。多数の株主に議決権を与えることなく、調達することができます。
他の株式型クラウドファンディングですと、既にVCやCVCからの調達を受けているスタートアップにとっては、株主が増えるデメリットがあるので取り組みにくかったのですが、その点が解消されて取り組みやすくなっています。
オンラインレンディングと組み合わせることによって幅広く積極的な資金調達が可能になるはずです。

無担保無保証/代表者保証無しも検討できる

Q&Aを見るところ、無担保無保証の融資も可能とのこと。
また、財務状況や返済方法によっては、代表者の連帯保証を外すこともできるようです。

エメラダ・バンクの注意点

以下はデメリットという程ではありませんが、使い方を間違えると資金繰りが大変になるので、注意が必要な点です。

  • 原則、創業2期以降の企業が対象
  • 金利は高くなる可能性もある。
  • 返済期間最長5年

それぞれ詳しく見ていきます。

創業2期以降の企業が対象

創業から2期以上決算を終えている企業が対象となっています。
2期終えていないスタートアップ等は対象となりませんので注意が必要です。

金利は高くなる可能性もある。

金利は2〜15%。
保証協会付き融資で2.5%前後ですので、それに比べれば高いです。
しかし、IPOを目指しているような場合、よくないタイミングで無理にエクイティで調達してシェアを渡すことを考えると決して悪くない調達コストではあります。

返済期間最長5年

日本政策金融公庫の設備資金の融資が10年前後であることと比べると返済期間が短いです。
返済期間が短くなればなるほど、単純に月々の返済額は大きくなります。
ですので、どちらかというと設備資金のために調達するのはもったいなく、運転資金を調達するのに向いているかと思います。

エメラダ・バンクの上手な使い方(仮説)

次のようなケースでの短期運転運転の調達にマッチすると予想されます。

  • 金融機関が想定するより早いペース多店舗展開を進める飲食業等の運転資金
  • 入出金の動きがあり、事業規模拡大を試みる中小企業の増加運転資金
  • 実績をもっと積んでからVC等との出資の交渉をしたいスタートアップのキャッシュアウト対策
  • 入出金の記録が銀行口座上ではっきり追えるものの、売掛サイクルが長く、資金繰りが辛い建設業等のつなぎ運転資金

活用するにあたっては、以下の検討が必ず必要かと思います。

  • 元金不均等返済の活用。
  • 他の長期の資金調達方法の利用とその組み合わせ。
  • エクイティも含め他の調達と、その順番/タイミング。

いかがでしょうか?
中小企業やスタートアップの新たな資金調達の選択肢となってくれることを、個人的には期待をしています。
エメラダ・バンクのオンラインレンディング、今後の動向に注目です!
行政書士法人INQでは、エメラダ・バンクからの調達も含めた中長期的な資金調達計画についてのご相談を承っています。
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