若林 哲平
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VCにピッチをして資金調達したいスタートアップにとって、REALITY ACCELERATORの郡さんの記事が良記事過ぎるので以下シェアさせて頂きました。
※以下の記事は著作者の許可を得て転載しています。
転載元
現場支援に強みを持つ数少ないスタートアップアクセラレータ
SaaS領域に特化した、資金調達支援、営業支援、プロダクト開発支援、採用支援などハンズオンで(汗をかいて)サポートする、スタートアップ支援のプロフェッショナルです。
顧客の問題解決においては、営業と顧客からのフィードバックを元にしたプロダクト開発が非常に大きなウェイトを占めています。ベストプラクティスをまとめ、現場まで降りて一緒にやっていくことで、スタートアップのスピードを速めます。とにかく汗をかく支援チーム、
それがREALITY ACCELERATORです。
元記事
〜以下、転載〜
はじめに
REALITY ACCELERATORに相談を持ってきてくれるスタートアップCEOの中で「VC数社にピッチしたが、全くいい返事が返ってこない」というものがダントツに多い。
いい返事が返ってこない理由はいくつもある。以下は代表的なチェックリストだ。
- プレゼンする相手は適切なフェーズへの投資家か?→適切な投資家に会う
- ロジックはできているか?
- ロジックを証明するデータは準備できているか?
- ロジックを証明する実績を作ったか?
- 投資家の欲しい情報を網羅して提供しているか?→最大公約数的な項目を入れる
投資家の欲しい情報を網羅して提供しているか?→最大公約数的な項目を入れる
これらが準備できていないスタートアップは、ピッチをした後に、「もうちょっと進んだら連絡をください」と言われる。まだ投資を受ける準備ができていなかったとみなされたということだ。
もちろんVCや事業会社の投資担当者ごとに、投資の判断基準は異なる。
チームしか見ない、とか意気込みだ、とかビジネスモデルだ、とか色々言うが、実際には、「これは必ず入れて欲しい」という項目がたくさんあり、以下に最大公約数的な項目を示すので、ピッチデック作成の参考にしてほしい。
※7分〜10分で以下をプレゼンすることを想定している。
目次
- タイトル:自分の会社が何をやっているのか
- 顧客と課題
- 解決策/ソリューション
- 実績
- 競合優位性・ユニークネス
- マーケットサイズ
- ビジネスモデル
- WHY NOW?
- チーム
- 今後のマイルストーン
- 財務(予算)
- BIG ASK
- Appendix
タイトル:自分の会社が何をやっているのか
何は無くとも、このページでとにかく投資家を刺さなければいけない。ランディングページでいうとファーストビューだ。
一言で、どんなサービスなのか分からないといけない。
AirBnBの場合は、「エアーベッド&朝食〜ホテルの代わりに地元の人の部屋を予約しよう!」というキャッチコピー押しになっている。
https://www.slideshare.net/PitchDeckCoach/airbnb-first-pitch-deck-editable
顧客と課題:誰が、どんな大きなペインを抱えているのか
このシートも非常に重要だ。スタートアップがよくやってしまう最も大きな間違いの1つは「ニーズが無いプロダクト」を作ることに時間を使うことだ。また、「そこまで大きくない問題」を解決するスタートアップもスケールしにくい。「ビタミン剤を作るな、特効薬を作れ。(※)」という言葉があるように、「誰にとって」「どれくらい大きな問題なのか」ということを説明してくれることは、あなたのプロダクトが誰かの強いニーズを満たそうとしていることを説明することに役立つ。
※:ビタミン剤はなくても死なないが、例えばガンの特効薬は無ければ死ぬ。そういうレベルの問題を解決しろ、の意。
IDWallの場合は、証明書詐欺、偽アカウント、コンプライアンス確保の問題を記載している。
https://www.slideshare.net/500startups/500-demo-day-batch-19-idwall
SEO mozの場合は、マーケターが毎週やらなければいけないタスクが大変過ぎることを伝えている。
https://www.slideshare.net/randfish/seomoz-pitch-deck-july-2011
task.lyの場合は、タスクマネージメントに時間がかかり過ぎることを課題に設定している。
https://www.slideshare.net/flamingdeth/taskly-pitch-deck
解決策/ソリューション
前述の「顧客と課題」のセットに対して、どういう風に解決しようとしているのか。同じ問題に対する解決方法は山のようにあり、その中であなたの問題解決のアプローチ方法を知りたい。シードのスタートアップでは、将来的な全体像よりも、直近の問題解決方法にフォーカスして説明してほしい。バージョン1での解決方法で顧客がついてこなければ、バージョン2、3に進めないからだ。
Gazemetrixはブランドのソーシャル担当者がユーザーのシェアしている写真を見つけられないという問題に対して、SNS上のブランドロゴを画像認識して探してくるソリューションを提供している。
https://www.slideshare.net/500startups/gazemetrix
実績/トラクション
このシートは、投資家向けでも、営業でも、プレゼンテーションでは50%程度の重要性をもつシートだ。世の中は、仮説(ロジック)と実績(トラクション)で成り立っているが、そのうちの片方をこのシートで表しているからだ。
シードのスタートアップでは、実績値の大きさよりも、「ユニットエコノミクス」を完成させることに注力した方がいいだろう。顧客生涯価値(LTV)はどれくらい取れるのか、顧客獲得コストはどれくらいかかるのか、その売上を作るためのオペレーションコスト、予定回収期間、など。シードの目標の1つは、「これだけカネをかければこれくらい伸びる」という計算の精度を上げることだ。その精度が高ければ、投資家の財布からお金が出しやすくなる。
onyxはユーザー獲得コストが2000円と低いこと、LTVが1.2万円、粗利率68%であることを記載している。https://www.slideshare.net/500startups/500-demo-day-batch-19-we-are-onyx
bufferは有料ユーザー数、ユーザー年間平均売上、粗利率、ユーザー成長率、アクティブ率を記載している。https://www.slideshare.net/Bufferapp/buffer-seedrounddeck
競合優位性、ユニークネス
このシートで教えてほしいのは、競合と自社のマッピングではなく、なぜ勝てるか?ということだ。「価格」とは言わないでほしい。価格が多くの場合競合優位性にはなるのは事実だが、それではあまりにも誰でもできることだし、それは最後の手段だ。価格だけでなく、競合よりも本質的に高い価値を持つサービスである必要がある。組み合わせが素晴らしいのか、データベースが素晴らしいのか、UI/UXが素晴らしいのか、今までなかったあなたのサービスに顧客が流れてくる理由が知りたいのだ。
Linkedin
https://www.slideshare.net/webjoe/linkedin-deck-27367069
マーケットサイズ
このシートで重要になるのは、「アップサイドが非常に大きい」ことを示せるかどうかだ。
ブルーオーシャン市場で50%程度、競合が多い場合だと20%程度が市場シェアのmaxであることを考えると、100億円しかない市場でNo1になっても、アップサイドはかなり小さいものになってしまう。狙っている市場が大きいことを示す。また、それと同時に、大き過ぎるマーケットは強い競合がいるはずなので、大きなマーケットの中での、小さすぎないニッチをまずは攻めているということを説明してほしい。
TRACEAIRは、800兆円の建設市場の中で、無駄になっている40兆円のマーケットを獲りに行くという説明をしている。
https://www.slideshare.net/500startups/500s-demo-day-batch-17-traceair
Standard Treasuryの説明は理想的だ。大きなマーケットの中で、最初にフォーカスするマーケットを明示している。 https://www.slideshare.net/linhir/standard-treasury-series-a-pitch-deck
ビジネスモデル
ここは、差別化を聞きたいというよりは、どういったビジネスモデルを選択しているのか、どこからどれくらいの売上、粗利が出るのか、といったことが聞きたい。
Open Doorは、ルームシェア賃料の15%、1入居者あたり月2万円を得るビジネスモデルを採用している。 https://www.slideshare.net/500startups/500s-demo-day-batch-17-traceair
WHY NOW?
スタートアップはタイミングが全て、とも言われる。なぜ今までそんな素晴らしいサービスが世の中になかったのか、なぜ今このサービスに投資するべきなのかを書く。
Zuoraは、モノ中心の時代からリレーション中心の時代への変化を伝えている。
https://jp.zuora.com/resource/best-sales-deck-ever/
チーム
シードラウンドの投資において、「チームを見る」という投資家は多い。もちろん経営者の素養、考え方、スキルなども見ているが、今までの実績やどういったキャリアを経てきたのかも見る。
口頭での質問が発生する部分なので、今までの経歴や実績をシンプルに書く。アメリカの場合はロゴだけで表現することが多い。アドバイザーも入れているスタートアップもある。
front
https://www.slideshare.net/MathildeCollin/front-series-a-deck-64596550
今後のマイルストーン
この後、何にどれくらいお金を使うのか、そしていくらお金がほしいのか、という説明につなげて行くための内容のシート。シード期のスタートアップであれば、「今後1年の目標は何で、目標の数字を達成するためにはどういった機能を作る必要があり、そのために開発、営業の人材をどの程度追加する必要がある」などを記載する。
Mattermark の場合は、人材の拡張をメインに説明している。
https://www.slideshare.net/DanielleMorrill/mattermark-1st-series-a-deck
Standard Treasuryの場合は、イギリスにおける許認可を得るというのが当時の目標であることが示されている。 https://www.slideshare.net/linhir/standard-treasury-series-a-pitch-deck
財務(予算)
1〜2年の間のコストを調達することが多いはずなので、2年分程度の財務面の予算を入れる。大枠が理解したいので細かい数字は不要で、ざっくりした数値を欲しい。(もちろん、詳細なバージョンはExcelなどで別途用意しておく。)
Standard Treasury
https://www.slideshare.net/linhir/standard-treasury-series-a-pitch-deck
BIG ASK
このシートは、最も重要だ。このシートがゴールだ。今回は投資家向けピッチなので「X万円投資してほしい」がゴールだ。Binpressのシートはとてもよくわかりやすい。どれくらい全体で募集しようとしていて、現在どれくらい集まっているか、既存投資家は誰かが一目でわかる。
Binpress
https://www.slideshare.net/500startups/binpress-24562378
もし、ピッチ大会や、ピッチ資料をWEBにアップする時に隠したければ、以下のlaunchrockのやり方が参考になるだろう。
Linkedin
https://www.slideshare.net/webjoe/linkedin-deck-27367069
Appendix
BIG ASKまでで、一旦プレゼンを終える。そこから先は、投資家からのQ&Aに答えられるように、Appendixにまとめておく。
最初のプレゼンに、なんでもかんでも詰め込まない。投資家ごとに、気になる部分や、質問したい部分は異なる。よくある質問ごとに、回答を用意するようなシートを作ってAppendixに入れておくと良いだろう。
BONUS:ピッチに臨む前に見るべき動画
元起業家のベンチャーキャピタリストによるプレゼン術の動画。プレゼンをどのように行うかを短時間(14分)に、明快に説明してくれているので、必ず観よう。(日本語の字幕は、再生ボタンを押した後に動画右下に出て来る字幕設定ボタンから日本語/Japaneseを設定できる。)
〜転載ここまで〜
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