創業融資のスペシャリスト INQ
最新記事 by 創業融資のスペシャリスト INQ (全て見る)
- アクセラレータープログラムとは?流れやメリット・デメリットも解説 - 2022年5月30日
- シェアオフィスってどんなところ?メリット・デメリットを詳しく解説 - 2022年5月27日
- ビジネスコンテストについて解説|参加のメリットや一例を併せて紹介します - 2022年5月26日
起業家なら誰もが通る道と言っても過言ではない創業時の資金調達。
その中でも最も代表的な資金調達方法である、日本政策金融公庫の新創業融資についてご存知でしょうか?
日本政策金融公庫の新創業融資の進め方については「創業融資申請の進め方ガイド!必要書類や専門家に相談するメリット【2022年最新保存版】」で詳しく解説しています。
新創業融資制度とは?
新創業融資とは政府系金融機関である日本政策金融公庫の融資制度です。
新創業融資制度の概要
日本政策金融公庫の新創業融資とは、創業から2期分の決算を終えていない個人事業主・法人が原則無担保無保証で3,000万円まで申し込みができる制度です。
支店決済額の上限
申し込み可能金額は3,000万円ですが、支店で決済できる金額の上限(支店決済額)は1,000万円です。 1,000万円を超える申し込みは、本店稟議となり、難易度も上がり、時間もかかりますので、新創業融資のメリットを活かすことができません。
無担保無保証
不動産担保や第三者の保証を原則不要としているだけでなく、代表者個人による連帯保証が原則不要となっています(自ら進んで連帯保証をつけることはできる)。もし法人化して新創業融資を使う場合、仮に返済ができなくなったとしても代表者個人には債務が及びません。
金利
2020年11月2日時点での新創業融資の基準金利は年利2.41%〜です。
金利は頻繁に改定され、申込者の性別や年齢、返済年数等によって基準金利からの変動がありますが、目安としては「2%前後」とざっくり捉えておくといいと思います。
新創業融資制度を受ける条件
以下の要件を満たした場合に、新創業融資の申し込みをすることができます。
創業の要件
創業前または創業から2期決算を終えていない、ということが条件となります。
自己資金の要件
これから創業する、または創業から1期を終えていない場合には、「創業資金総額の10分の1以上の自己資金」が必要とされています。 「創業資金総額」とは、自己資金と融資金額の合計です。
900万円申し込む場合には、100万円の自己資金が必要ですが、これはあくまでも申し込み要件(=申し込みをするために最低限必要な自己資金額)です。審査の過程においては、10分の1の自己資金ですと心許ないです。
審査は総合評価なので一概には言えませんが、創業資金総額の3分の1くらいの自己資金(1,000万円申込の場合には500万円)を持っておいた方が無難です。
言い換えると、自己資金の2〜3倍くらいが融資金額の目安、ということになります。
なお、1期以上2期未満の方は自己資金要件自体はありませんが、やはり1期未満同様に、審査を考えると創業資金総額の3分の1くらいの自己資金を持っておいた方が無難です。
雇用創出などの要件
申込金額が1,000万円を超える場合(=支店決済額を超える場合)のみ、「雇用の創出を伴う事業」であること等の条件があります。
しかし、1,000万円以上の申し込みをする場合には、中小企業経営力強化資金(支店決済額2,000万円)を使った方がよく、新創業融資で1,000万円以上の申し込みをするメリットはほとんどないため、雇用創出などの要件はあまり考えなくていいです。
日本政策金融公庫の新創業融資制度のメリット
創業当初に、他の民間金融機関の融資(保証協会付き融資等)ではなく、日本政策金融公庫の新創業融資を使うことのメリットは次の通りです。
起業家への積極的な融資スタンス
創業当初というのは、アテになる決算書等の確定情報が少なく、リスクが高いため、民間の金融機関のプロパー融資などを受けることは難しいです。
その点、日本政策金融公庫は政府系金融機関として、欧米並みに起業率を上げて産業の新陳代謝を高めようという国の方針を受けて、リスクの高い創業フェーズの起業家に対しても積極的なスタンスで融資をしています。
融資実行までのスピードが速い
他の民間金融機関が創業当初の起業家に融資する場合に、信用保証協会の保証付きの融資(制度融資、区市町村の融資あっせん制度)を使う場合がありますが、保証付き融資に比べて、日本政策金融公庫の新創業融資の方が融資実行までのスピードが速いです。
目安としては、申込から約1ヶ月(他の制度は1.5ヶ月以上見ておいた方が無難)。
一日も早く事業資金が欲しい起業家にとっては非常にありがたいです。
他の制度と新創業融資との使い分け
中小企業経営力強化資金との使い分け
1,000万円が新創業融資の支店決済額の上限です。それを超えると本店稟議となり、時間がかかり、確率も不透明になり、新創業融資のメリットが活かせません。1,000万円以上の融資を希望する場合には、認定支援機関の支援を得て申し込む中小企業経営力強化資金を使うことをお勧めしています。
他の金融機関との使い分け
創業当初は融資以外にもやることが多くあるはずです。ですので、創業当初の融資では、スムーズに早く資金調達し、資金面の問題を早く解決して、他のことに注力すべきです。よって、最も融資実行までが早く、創業フェーズにも積極的な日本政策金融公庫の新創業融資をメインとして、補足的に他の制度を使うことをお勧めしています。
他の金融機関との「協調融資」
日本政策金融公庫と他の金融機関とで二者択一とは限りません。両方から融資を受ける「協調融資」という方法もあります。日本政策金融公庫との他の金融機関が足並みを揃えて融資を行うことで、リスクを分散し、結果的には融資申込者である起業家の資金ニーズに近づけることもあります。
起業家にとって低リスクなのが嬉しい
日本政策金融公庫の新創業融資は、起業家のリスクが低く、早く創業当初の資金を調達するのに最も優れた方法と言えます。 ぜひチャレンジしてみてください。
また、創業融資の詳しい説明に関しては「創業融資の進め方ガイド【2022年最新保存版】」をご確認ください。