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日本では決算月を3月と定めている会社が多いですが、実際は何月にしなければならないという決まりがあるわけではありません。それでは、この決算月はどのように決めるとよいのでしょうか。また、変更する際にはどのような手続きを行えばよいのでしょうか。本記事では決算月について詳しく解説していきます。
- 決算月とはどのような月か
- 決算月の決め方
- 決算月の変更方法
決算月とは
決算期とは、決算を行う時期のことで、会計期間の期末(期間の終わる日)を指します。
1年に1回が基本ですが、上場企業や特定の条件に該当する非上場企業などには四半期決算(3か月毎)、中間決算(6か月毎)が義務付けられる場合があります。
個人事業主の会計期間は暦年(1月~12月)と決められていますので、12月31日が決算期にあたり、確定申告は3月15日が期日になります。
法人の場合は自由に事業年度を設定でき、法人税等、消費税などの確定申告・納税期日は事業年度終了(=決算期)の翌日から2か月とされています。つまり「決算期を決める」のは「会社の事業年度の区切りを決める」ことでもあります。
なお、設立の初年度は、事業年度の決め方次第で必ずしも丸1年間とはなりません。また、1年を超す長い事業年度を設定することはできません。
決算月の決め方
決算月を決める際には3つのポイントがあります。
- 資金繰りから逆算する
- 消費税の免税期間を考慮する
- 繁忙期や売り上げを考慮する
資金繰りから逆算する
会社は、決算日から2ヶ月以内に法人税、住民税、事業税及び消費税を納付しなければなりません。
そのため、手元にキャッシュが潤沢にある時期を決算期としておくと資金繰りの不安を抑えることができます。
なお、多くの金融機関が納税のための資金を積み立てる「納税準備預金」(利息が非課税になるなど優遇あり)を扱っていますので、決算を締めてから納税資金不足で慌てないためにも活用を検討しましょう。
消費税の免税期間を考慮する
企業が支払う「消費税」は、前々事業年度の課税売上高を基準として納税義務の有無を判断する仕組みになっています。
しかし、新規に設立した企業には「前々事業年度がない」(まだ設立されていない)ため、設立後2年度目までは消費税の納税義務が免除(免税事業者)されることになります。(課税事業者となる届出をした場合など例外あり)
この免税期間を最大限に確保するには、1期目の決算期を設立日から1年後に(またはなるべく長く)することです。(なお、課税売上高が1,000万円を超えないままで条件を満たせば、3期目以降も免税事業者になります。)
繁忙期や売り上げを考慮する
一年間の中でその会社の売上がもっとも高く推移する繁忙期は売上の推移が高い分、通常の月に比べて利益額の変動が大きいという側面を持っています。
つまり、繁忙期は、利益額の変動が大きい分、利益額がいくらぐらいになるのかを予測しづらいということになります。
そのため、繁忙期と決算月を重ねた結果、予想以上の売上で納税額が増える可能性や、逆に予想を下回り赤字決算となる可能性があります。繁忙期からできるだけ遠い時期に決算月を迎えることで、安定的な決算を行うための準備がしやすいメリットがあります。
一方、あえて繁忙期と決算月を重ねることで、社内に追い込みムードをつくり、全社をあげて、「目標売上を達成しよう!」や「業績向上を目指そう!」という気運を高め業績向上を目指すこともできます。
なお、税務顧問を依頼する税理士の繁忙期を考慮して決算期を決めるケースもあるようです。
決算月の変更方法
決算月を決める際には、上記で挙げたポイントを基に慎重に決める必要があります。しかし、決算月は一度決めた後でも変更することが可能です。
株主総会で定款の変更を決議する
定款における事業年度を変更する必要があり、株主総会の特別決議が必要となります。
株主総会の特別決議は普通決議より重要度が高い決議とされ、議決権の過半数にあたる株主が出席する株主総会において、議決権の2/3以上の賛成による決議のことです。
税務署へ届け出る
届出書や更新後の定款と共に株主総会の議事録を提出します。
所轄税務署以外に、都道府県税事務所、市役所などへも届出します。
決算月のまとめ
本記事では決算月について詳しく解説してきました。
- 決算月は会計期間の期末の月のこと。
- 決算月を決める際には、資金繰りや消費税の免税期間、自社の繁忙期等を考慮する。
法人の決算期(事業年度)の設定はあくまでも企業が自由に決めることができ、手続きが必要にはなりますが、実際に運営してみて不都合があれば変更も可能です。
いくつかの判断材料をご紹介しましたが、決算期(事業年度)は企業にとって会計だけでなく事業の節目としても意識されるものですので、それぞれの企業の事情を考えて決めましょう。