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執行役員と取締役の違いはご存じでしょうか?
両者は法令上で大きく異なる点があります。また、執行役員の報酬や定年も勘違いしやすい点が多いです。
そこで本記事では、両者の違いを踏まえつつ、執行役員制度のメリット・デメリットについてもわかりやすく解説します。
- 執行役員と取締役の違い
- 執行役員のメリット・デメリット
- 執行役員の報酬と定年
執行役員と取締役の違い
執行役員と取締役の大きな違いは以下の通りです。
- 執行役員:会社法上や商業登記法の定義がない役職。法律上では「従業員」に該当。
- 取締役:会社法上で定められている役員。株式会社では必須の機関である取締役会の構成員。
執行役員とは
執行役員とは、会社の事業の運営業務を執行する役員のことです。
執行役員は、取締役に業務が集中してしまう事態を避けるために、代わりに取締役や上層部の決めた経営方針や意思決定を実際に決行する役割を担います。それだけでなく、会社の規模が大きくなると取締役が現場の監督を行えないことが多くなりますが、執行役員が現場と取締役のパイプ役として意思疎通を取るなどの重要な役割を担うことがあります。
また、執行役員は会社法上や商業登記法の定義がある役職ではありません。したがって、執行役員は会社の登記簿謄本には記載されません。また執行役員が変わっても、役員変更登記などは必要ありません。
法律上では「従業員」に該当し、執行役員という役職を設けるかは各企業の任意です。
取締役とは
取締役とは、執行役員と異なり、会社法上(会社法第326条第1項)で定められている役員のため、株式会社では必ず設置しなければならない機関となっています。
取締役の専任は株主総会で行われ、経営方針や意思決定を行う重要な役割を担っています。執行役員は従業員として、この意思決定した業務を遂行する役割を担います。
執行役員と執行役の違い
執行役員は会社法上定められていませんでしたが、執行役は会社法上(会社法第402条第1項)で「指名委員会等設置会社」のみに設置することが定められている機関のことです。そのため、執行役は取締役と同様に法令で設置が定められているかの点で執行役員と異なります。
執行役員と執行役の担う役割は同じですが、執行役員は従業員として取締役から任された業務を担う一方で、執行役は法令で定められた機関として業務を担います。
執行役員制度のメリット
執行役員制度を導入するメリットは主に以下の2点です。
- 取締役の負担軽減
- 優秀な人材の確保
取締役の負担軽減
前述の通り、執行役員を設置することにより取締役は運営業務を執行役員に任せることができるため、取締役の負担が軽減します。これにより取締役は事業の意思決定に専念することが可能となり、取締役の対外的な対応(株主や金融機関など)も柔軟に行うことができるようになるため、会社経営を円滑に行えます。
優秀な人材の確保
取締役の枠は各企業によって数が決められているため、優秀な人材がいたとしても枠が空くまでポストに任命することができません。しかし、執行役員制度を導入することにより、優秀な人材を責任のあるポジションに置くことで、活躍する場を設け経験を積ますことができます。それにより、企業からポストが空くまで優秀な人材を逃す可能性が少なくなります。
執行役員制度のデメリット
執行役員制度のデメリットは主に以下の2点です。
- 立場が不明確になる場合がある
- 意思決定が複雑化する可能性がある
立場が不明確になる場合がある
執行役員はやはり「役員」という名称がついているため、執行役員制度を導入してすぐは取締役と執行役員の立場が不明確のままだと従業員が混乱してしまう可能性があります。そのような状況を防ぐために、導入する前にしっかりと執行役員の立場を明確にした上で従業員に周知してもらう必要があります。
意思決定が複雑化する可能性がある
上記のデメリットと同様に取締役と執行役員の業務や責務の違いをしっかりと決めておく必要があります。仮に、明確な業務や責務の範囲を決めないで執行役員制度を導入すると、意思決定が複雑になり、以前よりも決定に時間がかかってしまう可能性があります。執行役員制度がその企業に本当に必要なのかをしっかりと検討した上で導入をする必要があります。
執行役員の報酬
執行役員の報酬は、前述の通り会社法上で定められている役員とは異なるため、従業員としてみなされるので**役員報酬ではなく「給与」**として受け取ることになります。そのため、一般の従業員と同様に給料やボーナスも支払われます。
取締役の役員報酬は、取締役会で決議が必要になり、また定期同額給与の原則があるため期中には変更できませんが、執行役員の報酬は給与のため、比較的柔軟に変更することが可能です。
執行役員の定年
役員は定年制度の対象にはなりませんが、執行役員は従業員としてみなされるため、一般的には定年退職の対象にみなされます。ただし、執行役員の任期は各企業によって異なるため、その企業の規定に準じる必要があります。
執行役員と取締役の違いまとめ
本記事では、執行役員と取締役の違い、執行役員のメリット・デメリット、報酬と定年について解説しました。
- 執行役員とは、会社の事業の運営業務を執行する役員のことであり、執行役員は会社法上や商業登記法の定義がある役職ではないため、「従業員」に該当する
- 執行役員と取締役では、法律上の観点から異なり、執行役員は従業員として意思決定した業務を遂行する役割を担っており、取締役は経営方針や意思決定を行う重要な役割を担っている
執行役員は名称から会社法上の役員として考えられることが多いですが、給与形態と定年制などは従業員と同じなので、取締役との違いを踏まえつつ、しっかりと特徴を把握しておきましょう。