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領収書は宛名なしでも大丈夫?宛名に関する決まりを解説

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領収書を発行してもらう際、「宛名」を書いてもらっていますか?

領収書の宛名が必要かどうかは場面によって異なります。この記事では宛名がない領収書が有効な場合や正しく記入してもらうポイントについて解説します。

この記事でわかること
  • 宛名がない領収書の取り扱い
  • 領収書の宛名を正しく記入してもらう方法

領収書に関する知識は「領収書の書き方から保管方法まで。領収書に関する知識をまとめて解説」にまとめています。

宛名がない領収書とは

領収書に宛名がない状態には、

  • 宛名が空欄の場合
  • 宛名に「上様」と記入されている場合

の2つが考えられます。

特に、領収書の代わりとすることが多いレシートは、この宛名がない領収書と同様の扱いです。しかし、宛名がない領収書は経理上や消費税法上などで扱いに違いがあるため、領収書が有効になるかは場合によって異なります。

宛名がない領収書の有効性

宛名がない場合、領収書として有効か否かは次の3つによって異なります。

  • 経理上
  • 消費税法上
  • 税務調査上

経理上

結論から述べると、経理上は宛名のない領収書であっても基本的には問題ないです。

ただし、経費として認めるかは費用項目と業務内容の関連性により決定されるため、支払日や支払金額などの領収書に必要な情報は記入していなければなりません。

消費税法上

消費税法上の仕入れ税額控除において、宛名がない領収書は例外を除いて認められません。

仕入れに係る消費税額の控除要件には、帳簿及び請求書等の保存が義務付けられています。領収書はここでいう請求書にあたります。

そして、その領収書に記載しなければならない事項は、消費税法で以下の通りに定められています。

イ 書類の作成者の氏名又は名称 ロ 課税資産の譲渡等を行つた年月日(課税期間の範囲内で一定の期間内に行つた課税資産の譲渡等につきまとめて当該書類を作成する場合には、当該一定の期間) ハ 課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容 ニ 課税資産の譲渡等の対価の額(当該課税資産の譲渡等に係る消費税額及び地方消費税額に相当する額がある場合には、当該相当する額を含む。) ホ 書類の交付を受ける当該事業者の氏名又は名称

引用元:消費税法第30条9項1号|e-Gov法令検索

領収書の宛名がない状態は上記ホ「書類の交付を受ける当該事業者の氏名または名称」の記載がないことになります。

そのため、原則は領収書として認められません。

一方で、例外として以下の職種に該当する場合は上記イ〜ニのみを記載すれば、領収書の宛名は不要です。

  • 小売業
  • 旅行業
  • 飲食店業
  • 駐車場業
  • 旅客運送業(タクシー、鉄道、航空会社など)
  • その他これらに準ずる事業で不特定多数の者に資産の譲渡等を行うもの

これらは仕入れ税額控除における話であり、その他の場合は領収書の要件が法律で定められていないため、商慣習に従うことになります。

消費税法上の仕入税額控除については、国税局の「No.6451 仕入税額控除の対象となるもの」をご参照ください。

税務調査上

税務調査上において、領収書の宛名はある方が望ましいです。

税務調査は不正行為の防止や申告内容の確認を目的としていて、正確な情報が求められます。

特に、金額が大きい領収書は宛名がないと認められない場合が多いため、注意して必要な要件を確認してから領収書を受け取る必要があります。

宛名を正しく書いてもらうためのポイント

領収書の発行をお願いすると宛名がない状態で渡されることもあります。

正確に宛名を書いてもらうために、次の3点を確認して下さい。

  • 名刺を見せて会社の正式名称を示す
  • 宛名の訂正は二重線+印鑑もしくは再発行
  • 手書きの場合は油性ボールペンで記載してもらう

また、但し書きについても注意すべきポイントがいくつかあります。

詳細については「領収書の但し書き項目を一覧で紹介!記入の際に注意すべきポイントとは?」をご参照ください。

領収書の宛名がない場合のまとめ

そもそも、宛名がない状態とは次の2つでした。

  • 宛名が空欄の場合
  • 宛名に「上様」と記入されている場合

領収書は場合によって、宛名が必要か異なりました。

  • 経理上:基本的に宛名がなくても問題ない
  • 消費税法上:仕入れ税額控除においては宛名が必要(例外は除く)
  • 税務調査上:宛名がある方が望ましい

また、宛名を正しく書いてもらうためのポイントは次の通りです。

  • 名刺を見せて会社の正式名称を示す
  • 宛名の訂正は二重線+印鑑もしくは再発行
  • 手書きの場合は油性ボールペンで記載してもらう

領収書の宛名は税務調査上の理由以外でも、紛失時の悪用防止や二重請求の防止などの観点から宛名は必ず書いてもらいましょう。

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