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金融機関の融資審査においては、決算書の内容が重要視されます。
経営者の中には、会社の売上や利益がわかる「損益計算書」の内容の方を特に気にする方が多いですが、実は金融機関は「貸借対照表」の内容も重要視しています。
貸借対照表の中の「雑勘定」の存在が大きくないか?は融資審査における重要ポイントのひとつです。
貸借対照表の「雑勘定」とは?
雑勘定とは、決算書の貸借対照表に計上される勘定科目のうち、貸付金や仮払金、仮受金、前受金、前払金、未払金などの勘定科目のことを言います。
これらの費目は、正常な商取引では頻繁に発生しない費目であり、臨時に適用された仮の処理です。
これらの勘定科目が全体に対して大きい場合には、
- 仮の取引が多く、正常な商取引ができていないのでは?
- 経理の精算がしっかりと行われておらず、管理に問題があるのでは?
- 雑勘定を隠れ蓑にして不正な会計処理をしているのでは?
という疑念を抱かれてしまいます。
特によろしくないのが「貸付金」
特に金融機関から嫌われるのが会社から役員や関連会社等への「貸付金」です。
会社のお金が役員に貸し付けられていると、金融機関としては「会社と役員個人の資金の区別がきちんとされていないのでは?」「会社を私物化しているのでは?」という印象を抱きます。
何より資金使途違反や迂回融資を心配します。
金融機関は、貸したお金が本来の使いみち(資金使途)以外に使われることを極端に嫌います。
本来の融資先でない先に資金が及んでしまう「迂回融資」も絶対に避けたいことのひとつです。
貸付金が大きい場合には、役員や他社に「また貸し」されてしまうリスクが高いと見られてしまうのです。
また、貸付先から本当に回収できるのか?不良債権にならないかも懸念します。
経営者保証免除特例制度の要件にもなっている貸付金
先週のメルマガでも取り上げさせていただいた日本政策金融公庫の経営者保証免除特例制度では「法人と代表者の方の一体性の解消が一定程度図られていることについて、公庫において確認ができること。」という要件があります。
この「法人と代表者の方の一体性」とは、まさに会社から代表者への貸付金の有無と金額(または全体に対しての割合)を見て判断しているのです。
日本政策金融公庫の経営者保証免除特例制度については「日本政策金融公庫【経営者保証免除特例制度】の2022年度最新版!公庫融資で代表者保証を外すには?」で詳しく解説しています。
なぜ【貸付金】が計上されてしまうのか?
貸付金が計上してしまっている会社は少なくないですが、その中で明確な悪意を持って貸付金を発生させている経営者は、数としては多くありません。では、なぜ貸付金が発生してしまうのか?
それは「創業初期の役員報酬の設定ミス」によるケースが多いです。
創業初期に赤字になることを心配して役員の役員報酬をなし、または過小に設定することが多いです。
その結果、役員の生活が難しくなり、会社からお金を借りたり、生活費を会社が立て替えてしまったりすると、結果的に貸付金(またはそれに近い雑勘定)が計上されることになってしまいます。
次の融資を見据えて決算書を今一度確認しましょう
次の融資を見据えて、
自社の決算の雑勘定はどうなっているか?
資産の額に対して割合が大きくないか?
ぜひ決算書の貸借対照表を今一度確認してみてください。
(決算をまだ迎えていない場合には試算表を)
もし雑勘定が、特に貸付金が多く発生してしまっている場合には、早めに税理士さんに相談の上、次の決算までに適切な会計処理をするようにすることをお勧めします。
INQでは、次の融資を見据えた財務的な準備についてのご相談や、スタートアップに強い税理士さんのご紹介なども行っております。
ぜひ継続的に資金調達できる財務体質の改善を希望される方は無料相談をご利用ください。