若林 哲平
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多くの起業家が融資を受けている日本政策金融公庫は、政府が株式を保有する政府系金融機関です。
あくまでも民間金融機関との関係において補助的な役割を果たすものと位置づけられています。
日本政策金融公庫の民間金融機関の関係
民間金融機関が積極的に支援できる企業やケースに対して、日本政策金融公庫はあくまでも補助的に支援します。
民間金融機関が積極的に支援しにくく、でも政策的に支援すべきケースでは、積極的に支援を行っています。
例えば、創業フェーズのベンチャーやスタートアップ、NPOなどのソーシャルセクターなどがそれです。
事業の先行きが評価しにくく民間金融機関では積極的に支援しにくいところですが、日本政策金融公庫は産業や企業の新陳代謝を促進しようという政策に沿って積極的に支援をする、というわけです。
日本政策金融公庫の民業圧迫?
そして、日本政策金融公庫は創業フェーズのベンチャーやNPOへの融資を伸ばしています。
その結果、かどうかはわかりませんが、今、日本政策金融公庫が「民業圧迫」との批判を受けているとのこと。
日本政策金融公庫(日本公庫)の田中一穂総裁は日本経済新聞社の取材に対し、中小企業への融資を原則として地銀などとの協調融資にすると述べた。融資の際に他の民間金融機関を紹介することを内部で義務付ける。地銀などから「民業圧迫」との批判が高まるなか、単独融資を抑え、民間との協調につなげる。
(日本経済新聞/「民間との協調融資を原則に」 日本公庫総裁、民業圧迫批判受け)
この批判は今に始まったことではなく、少なくとも3年程前から「民業圧迫」ワードを公庫担当者の口から耳にしています。
個人的には、日本政策金融公庫の担当者は年間100件超の案件をご一緒して一生懸命やっていただいているのを見ているので、なんとなくこの批判は筋違いかもと思わなくはないですが(怒られそう)、、、
それはさておき、融資を受ける側としては、協調融資が原則になった場合の現場への影響が気になるところかと思います。
協調融資とは?
協調融資とは、一つの企業に対する融資を、2つ以上の金融機関が協力して行うものです。
2つ以上の金融機関が協力・協調して行うことにより、金融機関側としては、リスクを分散することができます。
また、融資を受ける企業が、単独の融資よりも充分な資金を調達できることにより、事業成功の確度が上がる(=きちんと返済いただける可能性が上がる)というメリットがあります。
協調融資のメリット
それにより、融資を受ける側には次のようなメリット・デメリットがあります。
確実性が上がる
金融機関的にはリスクが分散しますので、融資しやすくなります。
他の金融機関も評価していることは安心材料になり、融資が実行される確率が上がります。
融資金額が上がる
それぞれの融資可能枠を使うことになりますので、単一の金融機関に申し込むよりも全体として融資金額が上がる可能性があります。
協調融資のデメリット
時間がかかる
協調融資はメイン(幹事)となる金融機関を中心に、複数の金融機関が連携・調整しながら融資を実行していきます。
足並みを揃える必要があり、融資は内定したものの、別の金融機関の融資が決定するまで、実行は保留ということもあります。
そのため、融資実行までに時間がかかります。
運転資金を急いでいる等、金額よりもスピード感を重視する局面では不向きです。
メインの融資額に左右される
協調融資の場合、メイン以外の金融機関の融資額は、メインの金額を超えないようにすることが一般的です。
金額的に消極的な金融機関をメインにすると、他の金融機関がその金額を超えることがありません。
したがって、メイン選びは重要です。
まとめ
日本政策金融公庫は500近い民間金融機関と協調融資等に関する覚書を締結しています。また、公庫総裁は「協調融資を原則」と発表しました。では、実際の融資の現場ではどうでしょうか?
協調融資が望まれてはいる
現場でも確かに協調融資を勧められるケースが増えています。
担当者レベルでも極力協調融資の方が安心で進めやすい、という姿勢は見受けられます。
一方で、「原則」とまで言えるかというとそこまで強硬ではないものと思います。
「協調融資であった方が望ましい」
「資金ニーズによっては協調をお勧めする」というレベルで構えているのが現場の実際のところかと。
資金の使いみちや資金を必要とするタイミングによって判断
上記のようにメリット・デメリットがありますので、融資を受ける側としてはうまく使い分けたいところ。
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