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2025〜2026年スタートアップ融資市場の最新トレンド|創業融資・ベンチャーデット環境を総まとめ

創業前に知りたいこと 2025〜2026年スタートアップ融資市場の最新トレンド|創業融資・ベンチャーデット環境を総まとめ
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若林 哲平

株式会社INQ代表取締役CEO、行政書士法人INQ代表。 様々な領域のスタートアップの融資による資金調達(デットファイナンス)を支援。年間130件超10億以上の調達を支援するチームを統括。行政書士/認定支援機関。複数のスタートアップの社外CFOも務め、業界への理解が深く、デットだけでなくエクイティ両面の調達に明るく、対応がスムーズだとVCやエンジェル投資家からの信頼も厚い。趣味はキャンプと音楽。4児の父。

スタートアップの資金調達環境は、2025年から2026年にかけて大きな転換点を迎えています。

創業融資の需要は伸長傾向が続く一方、ベンチャーデット市場ではプレイヤーが多様化し、エクイティに依存しない「ファイナンスミックス」の重要性が急速に高まっていると捉えています。

この記事では、INQが2025年の市場を振り返りながら、2026年以降のスタートアップ融資環境の展望を解説します。


1. 創業融資市場:2025年の振り返り

伸長傾向が続く創業融資

2025年の創業融資市場は全体として伸長傾向が続きました。日本政策金融公庫・信用保証協会の実績データからも、創業期企業への融資件数・金額が増加していることが確認されています。

背景にあるのは、政府のスタートアップ支援強化方針と、金融機関側のスタートアップへの姿勢の変化です。「融資は中小企業のもの」という固定観念が薄れ、成長性のある創業期企業への融資を積極的に検討する金融機関が増えています。

金利上昇局面での変化

一方で、2024〜2025年の利上げにより調達環境にも変化が生じました。

  • エクイティとデットのコスト差が縮小:金利上昇によりデットコストは上がったものの、エクイティの希薄化コストと比較した相対的な有利性は維持
  • 審査の選別が厳しくなる傾向:財務内容・返済計画の説得力が以前より重視される
  • 「実績がある会社」への集中:実績・収益化の見通しが明確なスタートアップへの融資が優先される傾向

公庫の制度変更

2025年には日本政策金融公庫の「新規開業資金」が「新規開業・スタートアップ支援資金」に名称変更されました。同時に「創業後目標達成型金利」が新設され、目標を達成した場合に金利優遇を受けられる仕組みが加わっています。

名称変更はスタートアップへの融資姿勢の強化を示すシグナルとも読めます。


2. ベンチャーデット市場:2025年の振り返り

プレイヤーの急速な多様化

2025年のベンチャーデット市場で最も顕著だった変化は、プレイヤーの多様化と競争の激化です。

  • 新規ファンドが続々と立ち上がり、市場全体の供給量が増加
  • メガバンク・地銀・信用金庫がスタートアップ向けデットに本格参入
  • ディープテック・バイオなど、これまで対象外とされやすかった領域への融資事例が増加

「新株予約権なし」の融資が増加

かつてベンチャーデットといえば新株予約権(ワラント)付きが主流でしたが、2025年は新株予約権含む株式取得権利がない=エクイティキッカーなしの融資が増加しました。

スタートアップにとっては「希薄化なしでデットを活用できる」選択肢が広がっています。

りそな銀行の事例:総額31億円のファンド

2025年11月に組成された、りそな銀行とFivotのシード〜ミドルステージのスタートアップを対象とした総額31億円の融資ファンドは、銀行とベンチャーデット専業プレイヤーの協業という新しいモデルとして注目されました。

スピーディーな実行(最短2週間)と新株予約権なしという条件が、ひとつの特徴です。

ディープテック領域への拡大

AI・バイオ・素材・宇宙などのディープテック領域は、事業化までの期間が長く融資が難しいとされてきましたが、2025年はこの領域への融資事例とノウハウの蓄積が進みました。

政府のディープテック支援方針と金融機関の姿勢変化が重なり、一部の先進的な金融機関が積極的に動いています。


3. 調達環境の変化と「ファイナンスミックス」の台頭

エクイティ市場の変化

2025年のエクイティ環境は引き続き変化が続きました。

  • 調達の二極化:大型調達と小規模調達の二極化が進み、中間層のスタートアップが資金調達に苦しむ構造
  • 調達期間の長期化:上記の構造から、VCとの交渉開始・デューデリジェンスに一定時間を要し、ランウェイの圧迫が問題に
  • バリュエーションの現実化:バブル期の高バリュエーションからの調整が続く

「エクイティ一本足打法」の危険性が顕在化

こうした環境変化を受け、「VCからの出資だけに頼る」調達戦略のリスクが顕在化しました。

次のラウンドが想定より遅れる、バリュエーションが下がる、投資家との条件交渉が難航する——これらにより事業がスタックするリスクを回避し、また、資本コストの点からも、目的とフェーズにあった最適な調達手段を組み合わせて成長資金を確保する「ファイナンスミックス」の認知が広がったと捉えています。

ファイナンスミックスが「必須の教養」に

エクイティ・デット・補助金・助成金を成長フェーズに応じて組み合わせる調達戦略は、一部の起業家だけでなく、シード〜アーリー期のスタートアップにも広がっています。

INQが運営する、東京都協定事業(TOKYO SUTEAM)による『ファイナンスミックスアクセラレーター』にはとして50名超のCFO経験者・VC・金融機関がメンターとして参加し、スタートアップのファイナンスミックス実践を支援しています。


4. 2026年以降の展望

展望① 創業融資の環境は引き続き良好

政府のスタートアップ支援方針・金融機関の姿勢変化を踏まえると、創業融資市場は2026年以降も拡大傾向が続くと見られます。特に信用金庫・地銀のスタートアップ向け取り組みは増加傾向にあります。

ただし金利上昇が続く場合、審査の選別は厳しくなります。「準備していない会社には厳しく、準備している会社にはチャンスが広がる」という二極化が進む可能性があります。

展望② ベンチャーデット市場のさらなる成熟

プレイヤーの増加と競争激化により、スタートアップにとって有利な条件での調達機会が増えることが期待されます。一方でプレイヤーが増えることで、「条件をきちんと比較・交渉する」スキルの重要性も増します。

新株予約権なしのベンチャーデットが増加する傾向は2026年も続くと見られます。

展望③ ファイナンスミックスの標準化

「エクイティとデットを組み合わせるのは当たり前」という認識がスタートアップ業界全体に広がることが予想されます。CFOやファイナンス担当者がファイナンスミックスを深く理解し、実践できることがより求められると予想します。

展望④ シリーズA以降でのプロパー融資・ベンチャーデット活用拡大

創業期の公庫・保証協会付き融資で実績を積んだスタートアップが、調達環境がより厳しいといわれるシリーズA付近を起点として、プロパー融資・ベンチャーデットを活用する事例が増加すると見られます。このケースを想定した、創業期の調達戦略設計の重要性が高まります。


5. まとめ:今、起業家が押さえておくべきこと

【2025年の主な変化】
✅ 創業融資市場は伸長傾向(ただし金利上昇で審査は選別化)
✅ ベンチャーデットのプレイヤー多様化
✅ 「新株予約権なし」融資の増加
✅ ファイナンスミックスの概念が広く浸透

【2026年以降に向けて起業家がやるべきこと】
① 創業直後から公庫・保証協会付き融資で実績を作る
② 金融機関との関係を「借りる前」から構築する
③ エクイティだけに依存しない調達ポートフォリオを設計する
④ ベンチャーデットの条件を比較・交渉できる知識を持つ
⑤ ファイナンスミックスの視点でCFO機能を強化する`

調達環境の変化に対応した融資・ファイナンス戦略については、INQの無料相談でご支援しています。


この記事で参照したPodcastエピソード:

より詳しい解説はPodcastでお聴きいただけます。

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