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会社設立完了までの期間は、設立事項などの決定に個人差があるため一概には言えませんが、一般的には3~4週間程度かかります。
本記事では、はじめに株式会社設立までの流れを解説していきます。
会社設立の流れや費用については「会社設立の流れから費用まで。会社設立に関するあれこれをまとめました。」で解説していますので参考にしてください。
株式会社設立前の流れ
会社設立前の手続きには、次のようなものがあります。
- 会社設立の準備
- 定款の作成・認証
- 資本金の振込
- 登記書類の作成
- 登記申請
1. 会社設立の準備
会社を設立することを決意した場合に始めに行うべきことは次の2つです。設立事項は定款に必ず記載する内容であるため、始めに取り掛かることをおすすめします。
- 設立事項の決定
a. 商号
b. 本社所在地
c. 事業目的
d. 資本金
e. 発起人 - 印鑑作成
a. 商号
商号とは会社名のことです。商号作成には様々なルールがあります。特に
- 商号の前後どちらかに「株式会社」を入れる
- 同一住所で同一商号を使わない
- 他社の商標は避ける
ことの3点に注意して決める必要があります。
同一商号を使わないために他社の商号を知りたい場合、「国税庁の法人番号公表サイト
」を使用すると検索しやすいです。
詳細については「会社名 決め方
」をご参照ください。
b. 本社所在地
本社所在地の候補は次の4つが挙げられます。
- 自宅
- 賃貸オフィス
- レンタルオフィス
- バーチャルオフィス
賃貸の自宅を本店とする場合は、契約書に居住用や事業所不可などと記載されていないか再確認する必要があります。万が一事業所を移転するときは、登記変更の余計な費用が発生してしまいます。そのため、長期的に業務を行う場を本社所在地としましょう。
c. 事業目的
事業目的とは、会社を設立するにあたり何を事業とするのかを目的として具体的に設定するものです。事業目的を作る際のポイントは
- 事業目的を書きすぎない
- 許認可が必要な業種か確認する
- 「前各号に付帯関連する一切の事業」を記載する
の3つです。特に2つ目に関しては、許認可の申請先である行政庁が求めている文言で書いていない場合、定款を受け付けてもらえない可能性があるので注意が必要です。そして、3つ目については、「前各号に付帯関連する一切の事業」と書くことにより定款に記載していない場合でも、関連事業であればできるようになります。将来的に広く事業をやるために記載しておくことをおすすめします。
d. 資本金
資本金とは事業者が準備する会社の運転資金のことです。
2006年に会社法が改正したことにより、資本金が1円でも会社の設立が可能になりました。しかし、実際は1円で設立してしまうと対外信用性が担保できない、会債務超過になる可能性が非常に高いという問題があります。一方で、体外信用性を高い方がよいのは言うまでもありませんが、999万円を越える資本金で設立した会社は事業初年度から消費税がかかってしまいます。
詳細については「会社の資本金、結局いくらにしたらいいの」
をご参照ください。
e.発起人
発起人とは、株式会社の設立の企画者として、定款に署名した人のことを言います。会社設立の役割を担うため、基本的には会社設立までの範囲で責任を負うことになります。発起人になるための資格はないため誰でもなることができ、さらに複数人であっても可能です。
d.印鑑作成
法人の印鑑として準備しておきたいのは、代表者印(実印)・銀行印・角印の3つです。
特に会社の代表印は株式会社の法人登記を行う際に提出する申請書に押印するため、登記申請までには用意しなければなりません。さらに、印鑑は申し込んでから時間がかかる場合があるため、会社設立準備の段階で早めに注文することをおすすめします。
2. 定款の作成・認証
そもそも定款とは会社の基本情報や規則などが記載された「会社のルールブック」です。
定款の内容は大きく分けて、
- 絶対的記載事項
- 相対的記載事項
- 任意的記載事項
の3種類あります。冒頭でご紹介しました、各種「設立事項」は絶対的記載事項に記載することになります。
定款の作成を終えて株式会社を登記するには、公証役場で必ず定款認証を受けなければなりません。そのため、正確に記入すること・会社独自のルールは漏れなく詳細に記載することの2点に注意する必要があります。
詳細については「株式会社設立に定款は必須?作り方と記載内容を解説!」をご参照ください。
3. 資本金の振込
資本金の振込は次の5stepです。
1. 発起人個人の銀行口座を用意する
2. 資本金を振込む
3. 払い込み内容の明細コピーを作成する
4. 払込証明書を作成する
5. 通帳コピーと払込証明書を綴じる
会社法の規定により、資本金の振込以降は定款認証完了後の日付でなければなりません。そして、資本金を払い終えたら、払込証明書を忘れずに作成しましょう。払込証明書に2つの押印をしますが、どちらも代表取締役の個人の実印ではなく、会社代表者印であることに注意が必要です。
また、会社設立の手続きにおいて資本金の振込は代行が不可能ですが、それ以外のほとんどの手続きは司法書士などの専門家に代理を依頼することが可能です。
詳細については「会社設立の手続きを代行したい方必見!代行できる作業や依頼先の違いを説明します」をご参照ください。
4. 登記書類の作成
登記に必要な書類は次の10種類があります。
1. 登記申請書
2. 登録免許税納付用台紙
3. 登記すべき事項を記載した書面 or 保存したCD-R
4. 定款
5. 設立時取締役の就任承諾書
6. 印鑑届出書
7. 資本金の払込証明書
8. 発起人の決定書
9. 設立時取締役の印鑑証明書
10. 設立時代表取締役・監査役の就任承諾書
株式会社の設立に必ず10種類全て必要ではなく、8~10に関しては該当している場合のみ提出が必要です。いずれにしても、1~7は必ず準備する必要があるので、余裕を持って作成しましょう。
5. 登記申請
登記申請時には次の4点に注意が必要です。
- 自社の本店所在地を管轄する法務局に提出する
- 登記申請書に収入印紙を貼り付ける
- 登記申請書提出日が会社設立日になる
- 登記申請は郵送でも行うことができる
特に、登記申請書に貼り付ける収入印紙は15万円と高額であるため、法務局で書類の確認を終えてから法務局内で購入することを推奨します。
また、法務局で直接手続きをした場合、会社設立日は手続き完了日ではなく登記申請書の提出日となります。一方、郵送で手続きの場合、会社設立日は法務局へ書類が到着した日となります。
登記申請を郵送で行った際、郵送先は「本社所在地」を管轄する法務局になります。管轄する法務局に関しては「法務局のホームページ」で確認できます。法務局で申請した後、不備(書類に記載漏れなど)がなければ10日前後で登記が完了します。
株式会社設立後の流れ
会社設立後の流れには、次のような手続きがあります。
- 法務局での印鑑カード取得
- 税務署への届出・申告
- 役場への書類提出
1. 法務局での印鑑カードの取得
[印鑑カード](<https://www.moj.go.jp/MINJI/inkan07.html>)
とは法人の代表者印(実印)の印鑑証明書を発行するために必要なカードです。印鑑証明書は銀行からの借入契約や取引先との新規取引契約において実印の押印を要するときなどに必要になるため、まとめて発行しておくことをおすすめします。
印鑑カードを取得するには、法務局で「印鑑カード交付申請書」を作成して窓口に持参します。この申請書には、法人の代表者印(実印)を押印する必要があるため、窓口で手続する際には必ずご持参下さい。また、取得には費用がかからず、郵送にて手続きすることも可能です。
2. 税務署への届出・申告
税務署へ提出する書類は次の通りです。
[法人設立届](<https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/annai/1554_2.htm>)
[青色申告の承認申請書](<https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/annai/1554_14.htm>)
[給与支払事務所等の開設届出書](<https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1648_11.htm>)
[源泉徴収の納期の特例の承認に関する申請書](<https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1648_14.htm>)
[棚卸資産の評価方法の届出書](<https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5100.htm>)
[減価償却資産の償却方法の届出書](<https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5100.htm>)
法務局での手続きの後は、会社の所在地を管轄する税務署へ届出を行います。
基本的に、上記のうち上から4つの書類を提出します。下2つの提出は各社が必要に応じて行うものとなっていますが、不明な点は税務署の窓口で質問しましょう。税金については会社設立後も関わることであるため、不明点は解決しておきたい部分です。
3. 役場への書類提出
税務署への届出・申告が完了した後は、都道府県税事務所、市町村役場への届出も行います。役場では税務署に提出した法人設立届と同じ内容のものを提出すれば完了です。
税務署で法人設立届の用紙を受け取った場合は、複写してある2枚目以降を提出するだけで完了する場合もあります。
株式会社設立の流れまとめ
本記事では株式会社設立の流れについて解説しました。
株式会社設立前の流れ
1. 会社設立の準備
2. 定款の作成・認証
3. 資本金の振込
4. 登記書類の作成
5. 登記申請
株式会社設立後の流れ
1. 法務局での印鑑カードの取得
2. 税務署への届出・申告
3. 役場への書類提出
このように会社設立の手続きは煩雑で書類も多いため、自社に必要な手続きを見極めて全体のスケジュールをよく把握することが大切です。
会社設立後の融資を円滑に行うためにも定款作成において、いくつか留意点があります。まずは、お気軽にINQにご相談ください。
また、会社設立に関しては「会社設立の流れから費用まで。会社設立に関するあれこれをまとめました。」をご確認ください。
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