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WEBサービス/アプリのスタートアップが融資で押さえるべき5つのポイント

創業融資 WEBサービス/アプリのスタートアップが融資で押さえるべき5つのポイント
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若林 哲平

株式会社INQ代表取締役CEO、行政書士法人INQ代表。 様々な領域のスタートアップの融資による資金調達(デットファイナンス)を支援。年間130件超10億以上の調達を支援するチームを統括。行政書士/認定支援機関。複数のスタートアップの社外CFOも務め、業界への理解が深く、デットだけでなくエクイティ両面の調達に明るく、対応がスムーズだとVCやエンジェル投資家からの信頼も厚い。趣味はキャンプと音楽。4児の父。

弊社ではVCからのご紹介等で多くのWEBサービスやアプリを開発するスタートアップの創業融資をサポートさせていただいています。
スタートアップ/ベンチャーは社会の活力であり、産業競争力の根源です。
弊社としても一社でも多くのスタートアップ/ベンチャーが活躍してくれることを期待して、その一助となるべくご支援しています。
その思いは金融機関も同じはずなのですが、現実に融資を受けるとなると超えるべき壁があります。
そこで、WEBサービスやアプリを開発するスタートアップが金融機関から融資を受ける際のポイントをまとめます。

VC等と金融機関の違い

VC等(エンジェル投資家を含む)の出資側の収入源は主にリターン。VC等はスケールし、出口があること望みます。したがって成長性を示せるかどうかがポイントとなります。
一方、金融機関は金利が収益源。事業が存続し、金利を支払い続けてくれることを望みます。したがって継続性を示せるかどうかがポイントとなります。
まずここに大きな違いがあります。
VCに出した事業計画書をそのまま金融機関に出して失敗する例が散見されますので、注意が必要です。

スタートアップ特有の専門用語

どの業界にも特有の用語があります。
スタートアップ界隈では一般的なヨコモジでVCには翻訳なしで通じるとしても、金融機関担当者としては???ということはあり得ます。特にレガシーなビジネスを中心に取り扱う信金・信組の年上の担当者等に当たった場合には注意が必要です。
わからないビジネスには貸しにくいものです。
専門用語をごく一般的な言葉に変換し、ビジネスモデルが新しい場合には既存のビジネスモデルと比べたり例えたりして説明することが必要です。

設備資金と運転資金

融資を受けるにあたっては使いみち(資金使途)を明らかにする必要があります。
資金使途は大きく分けて、設備資金と運転資金の2つです。

  • 設備資金は事業におけるイニシャルコスト(初期投資)のうち、BS上資産計上できるもの。
  • 運転資金は文字通り、事業を運転していくためのランニングコスト。

運転資金は減額の対象となりがち

設備投資がないと事業が始まらないので、金融機関側も削りにくい(減額しにくい)です。
一方、運転資金は水モノですので、減額の対象とされがち。使いみちもトレースできないので、はじめての取引の場合には運転資金の割合が多いのは敬遠されがちです。

返済年数の問題

また、設備資金と運転資金では返済年数が異なります。
設備資金は実務上10年弱、運転資金は最長7年が一般的です。
返済年数が長い方が、同じ金額を借りても、月々の返済負担は少なくなります。
(その分金利の総額は増えますが創業フェーズでは返済負担軽減が優先されることが多いかと)
ですので、もし何か設備投資があるのであれば、それは自己資金や出資金を充てるのではなく、融資による資金を充てるのが得策です。

設備資金の使いわけ

なお、設備資金は資産計上できるもの。
WEBサービス/アプリの開発を自社で内製化して行う場合の人件費は運転資金ですが、外注して開発費を資産計上する場合には設備資金とできる場合があります。
開発費を設備資金とすることにより、

  • 融資実行の確度を上げ、
  • 月々の返済負担を減らし、
  • 限られたリソースでの事業のスピードを図る、

という方法もあります。

売上見込み

BtoCは敬遠されがち

金融機関において、WEBサービスのうち、BtoCのサービスは当たり外れが激しいと認識されていることが多く、BtoC向けの売上見込はなかなか信じてもらえない傾向にあります。
BtoBのサービスであれば、見込み客リストやアタックリストなどを示すことで、サービスインする前でも一定評価される傾向にあります。
一方で、あまりにどこも感触が悪い場合には、早めに融資を諦めてエクイティ調達に注力する方が現実的かもしれません。

PVやUUが有効な評価指標になるとは限らない

WEBサービスのリーチのために、横に関連するメディアを作り、メディアで集めたユーザーをWEBサービスに流入させる、という方法を採ることがあります。その場合、「○○以上のPVがメディアに集まっているから」「○○以上のユーザーが付いているから」「だからこれだけコンバージョンできる」というロジックだけでは苦戦を強いられる可能性があります。

据置期間

WEBサービスに限らず、ベンチャーの事業では開発期間が長く、キャッシュインまでがかなり時間がかかるケースが多いです。
その場合に非常にありがたいのが据置期間。

据置期間とは?

据置期間とは、元金の返済を待ってくれる猶予期間です。据置期間中は金利支払いのみとなります。
日本政策金融公庫の場合実務上最長11ヶ月以内。
他の金融機関でも最長6ヶ月程度です。
創業サポート事業の場合、例外的に1年以上の据置期間が認められるケースがあります。)
非常にありがたくはあるのですが、キャッシュインまで時間がかかるからといって据置期間を目一杯要求することにはデメリットもあります。

返済実績が作れない=次の融資が遠い

一方で、据置期間を長く置くということは、返済開始が遅れるということです。
融資は一度で終わりではなく、事業活動の中で繰り返し行うもの。
次の融資で重要になるのは、問題なく返済が出来ている、という「返済実績」です。
あえて据置期間を短くして早めに返済実績を作り始めるというのも中長期的な資金調達においては有効な手段です。

事業の確実性が不安視される

開発期間が長く、キャッシュインまで時間がかかるということは、その間不確定要素が入り込む余地が多く、事業計画の確実性が不安視されます。

まとめ

そのWEBサービス/アプリが成功するかどうか、金融機関の担当者としても絶対的な評価が難しいことは言うまでもありません。ですのでサービス単体でなく、代表者や社内メンバーの経歴、出資の額、開発の進捗などなど、全体として「成功しそう」、少なくとも「何とか返してくれそう」という総合評価を勝ち取る必要があります。
たとえば、サービスインまで時間がかかる場合には、

  • 社内リソースを活用してWEBやシステムの受託開発やコンサル等でキャッシュを作っている姿勢を示す
  • 売上が立つ前であってもきちんと月次決算をしてコスト管理を行っている姿勢を示す

などできることはあります。
行政書士法人INQはWEBサービスやアプリを開発しているスタートアップ/ベンチャーから多くのご相談を頂き、融資をサポートさせていただいています。
起業前のご相談も承っています。
起業や資金調達をお考えの方はどうぞお気軽にご相談ください。

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