創業融資のスペシャリスト INQ
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この記事はスタートアップの創業融資を累計500件以上支援してきた認定支援機関のINQが、これから起業する方、創業融資を受ける方向けに作成しました。
創業期での資金調達というと、出資での調達を思い浮かべる人も多いかもしれません。しかし、日本は融資での資金調達環境もかなり充実していて、融資のみでの資金調達や、出資と融資両方を併用した資金調達も十分可能です。
今回は創業期の資金調達方法である「融資」と「出資」の違いやメリット・デメリットについて詳しく解説していきます。
融資とは?
融資とは、銀行等の金融機関から事業資金を借りることです。つまり、借金です。融資を受けた場合、条件に応じて、借りたお金を返します。併せて利子を支払います。
株式を渡す必要がありませんので、経営に関する権利は失わず、経営の自由度は保たれます。
出資とは?
「出資」とは、ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家(以下、「投資家」)から、事業の成功や成長を期待して、お金を出してもらうことを指します。
投資家側からすれば、出資した会社の事業が成功し、出資した時点より会社の価値(株価)が上がった時点で売却することでその差益を得る投資です。
お金を借りるわけではないので返済の必要はありません。しかし、投資家に対して株式の売却益というリターンを還元することが求められます。会社は出資の対価として株式を投資家に割り当て(渡し)し、その株式の持ち分に応じて株主は経営に関する権利を持ちます。
融資 | 出資 | |
---|---|---|
出し手 | 日本政策金融公庫 銀行 信用金庫・組合など | ベンチャーキャピタル エンジェル投資家など |
対価 | 利子 | キャピタルゲイン |
返済 | 必要 | なし |
会社のコントロール | 失わない | 失う |
成功確率 | だいたい50%以下 | だいたい2%ぐらい |
入金までの期間 | 1ヶ月〜 | 数週間〜6ヶ月 |
金額感 ※シード期に限定 | 100万円〜5,000万円 | 100万円〜1億円 |
調達後の支援 | 基本的にない | 投資家によっては資金以外の支援も |
代表者保証 | 必要になる場合がある | 基本的に必要ない |
融資のメリット・デメリット
融資の主体である銀行等の金融機関にとっては利子が収益源です。融資の元金の返済はもちろんのこと、利子を着実に払ってほしいと考えます。ですので、安定性・継続性のある事業が向いています。
融資のメリット
株式持ち分が希薄化しない(経営権を渡す必要がない)
融資の場合、お金を借りたからといって貸主に株式を交付する必要はありません。そのため、投資家から融資を受けても株主の株式持ち分(シェア)は変わりません。企業側からすれば、株式を交付しませんので、経営権を渡す必要もありません。
関連記事:発行可能株式総数とは?決め方やその背景についても解説します!
低金利で融資を受けられる
返済する際には利子もかかります。しかし、日本の創業融資制度は充実しており、日本政策金融公庫や信用保証協会の存在によって、創業当初であっても比較的低金利で資金調達をすることができます
見込みが立てやすい
融資は多くの中小企業で利用されています。政府系金融機関の日本政策金融公庫国民生活事業の2018年の貸出件数だけでも40万件弱あります。公庫の可決率(融資が通る可能性)は40%程とも言われており、融資の方が可能性が高いことがわかります。
参考:https://www.jfc.go.jp/n/company/national/pdf/g_toukeinenpo_r01.pdf
少なくとも金融機関や融資に精通した専門家に相談することで、融資であれば申し込み前にある程度の見込みを立てることができます。出資は準備段階においては不確定要素が多く見込みを立てることが融資に比べると難しいと言えます。
融資のデメリット
代表者保証がつく場合がある
公庫の新創業融資などの一部の制度を除いて、創業初期の融資には代表者保証がつくことが一般的です。代表者保証とは、会社の借入に対して、代表者個人が負う連帯保証のことです。スタートアップの代表者としてはリスクであり、デメリットと言えます。
利子が発生する
融資を受けた場合は基本的に元本返済と同時に利子の支払いが発生します。
出資には利子はないので、その点はデメリットと言えるかもしれません。
資金の使い道が限定される
融資を受ける際には、運転資金なのか設備資金なのか、資金使途(資金の使いみち)が問われます。運転資金か設備資金かで返済条件が異なる制度もあり、その資金使途以外で資金を使うことができません。
資金使途以外で使うと、最悪の場合、期限の利益を失う(=一括返済を求められる)可能性もゼロではありません。
出資のメリット・デメリット
出資の主体である投資家にとっては、株式を買った(出資した)時点の株価と売却時の差益(キャピタルゲイン)が収益源です。株価が跳ね上がってくれる方がいいので、大きく成長する事業に出資したいと考えます。ですので、出資には成長性のある事業が向いています。
出資のメリット
返済の必要がない
出資は借金ではないので返済をする必要がありません。融資の場合には、返済でキャッシュが出ていくことになりますが、出資の場合にはそれがありません。
担保・保証人が不要
融資を受ける場合、担保や保証人が求められる場合があります。
また、一定の事業規模に成長するまでの間は、一部の融資制度を除き、代表者の連帯保証を求められることが一般的です。代表者は会社の借入に対して連帯保証を負うことになり、リスクを伴います。
しかし、出資の場合は担保・保証人は不要で、かつ代表者の連帯保証も求められません。
資金以外の支援も受けられる可能性がある
投資家が資金を出してくれるだけでなく、保有する知見やネットワークを使って経営の伴走をする、いわゆる「ハンズオン支援」をしてくれる場合があります。
ハンズオン支援により事業が成長し、次の資金調達の成功確率が上がることも多く、出資を受ける大きなメリットのひとつです。
出資のデメリット
会社のコントロール権を渡すことになる
出資をしてもらうと出資を受けた会社は出資額に応じた株式を交付します。出資者に株式を交付した場合、株主はその持ち分に応じた会社の経営権を取得します。
もし経営者よりも出資者の方が株式の持ち分(=議決権割合)が多くなると、最悪の場合新しい株主に会社を乗っ取られてしまう等のリスクが発生します。
出資を受けられる確率は高くない
正式な統計ではないですが、一部の調査では、出資希望企業数に対し、出資を実現できた企業は約2%とも言われています。
また、日本の中小企業約420万社のうち、2018年に出資を受けた国内スタートアップは1,500社弱でした。このことから、出資がどの企業も選択できる資金調達方法ではないことがうかがえます。
融資と出資は両立が可能?
結論から申し上げると、出資と融資は両立が可能です。むしろ、出資を受けた企業であっても、融資は受けるべきです。その理由は以下の通りです。
- スタートアップの事業には不確定要素(変数)が多いため、資金はできる限り潤沢に備えておくべき
- 融資だと株式シェアの希薄化がない
- 出資を受けた直後は手元のキャッシュが厚くなるため、受ける前より金融機関がプラスに評価しやすい(=出資前よりは融資が受けやすい)
融資か出資か悩んだら、まずは無料相談へ
もし出資を受けようとすれば、資金調達のために数ヶ月かけて何十社も投資家をまわらなければ見込みがわからないという事態に陥る恐れがあります。その間、事業の成長は滞り、そのせいで資金調達が進まないという悪循環に陥る例が多く見られます。
一方、融資は、事例や情報を多く持つ専門家に相談すれば、もっと少ない労力で、早い段階で、融資の可否の見込みを立てることができます。
INQでは年間130件超、累計500件超の創業融資のサポートを行っています。多くの事例から得た経験とノウハウにより、融資申込前にある程度の融資可否の見込みをお伝えすることができます。
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