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先日、1円の資本金で会社を設立されたお客様（以下、Aさん）から融資のご相談を受けました。
Aさんは、特に深く考えずに1円の資本金で会社を設立したということ。その後、顧問税理士さんに融資の相談をしたところ融資の知識がなかったため、INQにご相談を頂きました。
Aさんの会社は1期を迎えられましたが、1年目の損益がほんの少しの赤字。
「少しでも税金を減らそうと、あえて赤字にした」ということでした。
しかしこれから融資を受けたいというAさんの会社は「債務超過に陥り融資を受けにくい状態」になっていたのでした。
本記事では資本金1円の会社のメリット・デメリットと、融資における債務超過の影響について解説します。
そもそも1円でも会社が作れるのか？
会社を作るには相当なお金が必要なイメージがあります。
実際これまで有限会社は300万円、株式会社は1,000万円の資本金がないと設立すらできませんでした。しかし2006年の会社法改正により、資本金1円から株式会社を設立できるようになりました。
誰でも簡単に起業できるとあって当時は株式会社設立ブームが起きたようです。
資本金1円のメリット
1円の資本金で会社を設立するメリットはいわずもがな、お金がなくても、誰でも簡単に株式会社を設立することができることです。
しかし、メリットはハッキリ言ってそれだけです。
資本金1円のデメリット
資本金1円の会社のデメリットは以下の2点です。
- 取引先の信用性が低い
- 債務超過が起きやすい
それぞれ解説します。
取引先の信用性が低い
資本金1円の会社のデメリットとして「取引先からの信用性が低い」という点が挙げられます。
1億円の資本金の会社と、1円の会社では、どちらが取引をする上で信用できそうでしょうか？これは答えるまでもないと思います。
資本金の金額は、誰でも法務局で取得できる会社の登記簿謄本に記載される内容です。
新たに取引を開始する会社は、大きな企業になればなるほど登記簿を取得したりして、どのような会社感の与信を確認します。
取引先が気にするのは、取引先が支払いを残して潰れてしまわないかどうかです。
資本金の金額は対外信用性に直結するのですね。
債務超過が起きやすい
債務超過とは簡単に言うと「負債が資産を上回っている状態」です。債務超過については「5分で分かる！決算書の貸借対照表と損益計算書の関係性」をご参照ください。
決算書には貸借対照表（BS）と損益計算書（PL）があり、一目見れば会社がどのような状況なのかが分かるようになっています。いわゆる会社の成績表です。
損益計算書（PL）で出てきた今年の結果は、貸借対照表（BS）の純資産の部に反映する仕組みになっています。
PLで利益が出ていれば、純資産が増えていきますが、赤字であれば資本金を食って、目減りしていきます。
Aさんはまさに、少しの赤字が資本金を減らしている状況になっています。1円の資本金を減らしていくのですから、少しの赤字でもすぐにマイナス（債務超過）となってしまうのです。
債務超過に対する銀行の評価は？
この債務超過を気にするのは取引先というよりも銀行です。
銀行は取引企業の格付け（スコアリング）を行っています。
格付けが低いと、銀行は貸し倒れ引当金を計上しなければならないこともあり、つまり融資をするだけでも銀行の負担になるので新規の融資をすることが困難になります。
創業1期目は、会社は赤字になるケースが少なくないです。1円の資本金でなくとも赤字の額によっては債務超過にもなることもあります。創業まもない会社が債務超過であることによって絶対に借入ができないとは言い切れませんが、少なくとも銀行の担当者の心象的にも融資のしやすいのは圧倒的に「黒字」であり「資産超過」の企業です。
融資を受けやすい会社にするには？
1円会社のデメリットをお伝えしましたが、ではAさんが融資を受けやすい会社にしていくためにはどうすべきなのでしょうか？
一つはやはり来期は頑張って黒字を出し、債務超過から脱却し、資産超過の状態に持っていくことが最善です。
もう一つは、将来的に赤字が膨らみそうな状況であれば、出資を受けて増資をするなどして資本金を増強することも選択肢になってきます。
資本金1円のメリット・デメリットまとめ
簡単に作れる1円会社ですが、個人的には安く会社が作れること以外にはメリットはないと思います。
1円会社に限らず、資本金が少なかったり、赤字を多く出してしまったことによる債務超過の銀行に与える影響も考えながら事業を大きくしていきたいですね。
前述の通り、債務超過だから融資は受けられないというわけではありません。資金調達や財務について、ご不安がある方は、ぜひINQの無料相談をご利用ください。
