若林 哲平
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前回までの記事
vol.1 「日本のブラインドサッカーの歴史と共に」
vol.2 「ビジョンとは北極星みたいなもの。いつもそこにあり、ぶれない。」
vol.3 「NPOとして、事業構造上も誠実でありたい(1)」
vol.4 「NPOとして、事業構造上も誠実でありたい(2)」
vol.5 「ぐうの音も、出なかった。でも何かがあると思った。(1)」
vol.6 「ぐうの音も、出なかった。でも何かがあると思った。(2)」
理念があって、実際にその理念のための事業がある
(白石)これらのダイバーシティ事業が、融資をきっかけに広がっていったんでしょうか。
(松崎)(ダイバーシティ事業が)ドライブしたのはまさに融資を受けた15年、16年ですね。その2年間ぐらいです。
多くの企業から、ビジョンを掲げていて実際にそのビジョンのための事業を持っているということをすごく評価頂いています。
いくらしっかりとビジョンを持っていても、競技活動しかやっていないとそれって実現できないよねっていうことは皆さん何となく感じていて・・。
(白石)理念のための事業がある事で、具体的なイメージが持ちやすいですよね。
(松崎)単純に協賛プログラムもお金を頂いて我々がなんかこれぐらいして終わり。そういう関係ではなくて、「御社の多様性の推進やダイバーシティの活用に我々のプログラムを使ってもっと納得感あるような社内のコンディションを作っていきましょう。」と展開しているのが一番評価頂いている点です。
混ざり合う社会=企業内の多様性への適応力
(松崎)この「混ざり合う社会」ってどういうことなのかと考えた時に、僕らは企業内の多様性への適応力を身に付けましょうということなのかなと考えてます。
これって理屈ではなくて、体験学習から学ぶものがすごく大事だというのがポイントで、実は数値化して測定できるようなツールまで用意させて頂いています。
(白石)それは凄いですね・・・。
(松崎)慶応大学のSDMという大学院に開発してもらったんですが、チームビルディングってアウトプットを通じて楽しかったで終わっては意味がない。その体験の中に実はコミュニケーションを含む8つの要素があって、その8つの要素をチームとしてバランスよく保つことで、1人1人の全ての違いに適応して生かして、イノベーションを起こしていく。そんな企業としては競争優位の条件確保につながるところにちゃんと結びつけましょうということです。
今、多様性適応力が高まれば離職率が減るとか、ストレスチェックが減るとかっていう相関関係も調査しているのですが、そういうフェーズに来ています。
(白石)これも融資で作られたんですね。しかもダイバーシティって、社会的ニーズが今非常に高いキーワードですよね。
(松崎)なぜダイバーシティが大事かというと、経営層は分かっていても実は従業員が分かっていないんです。それは日経新聞の調査でも出ています。ダイバーシティをどうやって伝えていったらいいのかという点に企業は課題を持っているので、そういう面で我々がお役に立てるんじゃないかなって思っています。
ダイバーシティという考え方自体が分からないとか、社員の多様性に対する理解や意識が低いとか、制度設計がしにくいとか、経営層と社員の意識の差があるというのが、日本でダイバーシティが広がらない理由なのかなって思います。
ダイバーシティという定義自体も曖昧だったりするから、違いだけがダイバーシティの状態であって、その違いをインクルーシブにしようとしたらインクルージョンだし、排出するというエクスクルーシブになることもできるわけです。多様性自体をどうしていくかというのは、結局組織カルチャーと1人1人のマインドセットですよね。そのマインドセットに対して適応力を高めて生かしていくような取り組みにしましょう、というのが僕らの研修と競技です。だから競技が広まるほど御社の多様性も広がっていく。そんな制度設計をさせてくださいっていうのが僕らの強みであり、ユニークネスですね。
まとめ
● ビジョンを掲げ、ビジョン実現のための事業をしっかり構築する
● 活動を研究領域まで深掘りし、良いスパイラルを作りあげる
次回は・・・
特定非営利活動法人日本ブラインドサッカー協会/事務局長 松崎英吾 さん
Vol.8 2020年東京オリンピックのその先へ
ブラインドサッカーの競技事業、研修事業、などから得られた知見を、数値化し還元していく。なかなか出来ることではありませんが、社会課題の解決がソーシャルビジネスの目的であるという意味では、数値化できるという事は非常に強力な武器になると感じました。次回はいよいよ最終回。JBFAがGOALとして捉えていることが明らかになります!次回をお楽しみに!