自己資金はいくら必要?創業融資における自己資金の重要性【保存版】

自己資金はいくら必要?創業融資における自己資金の重要性【保存版】

この記事はスタートアップの創業融資を累計500件以上支援してきた認定支援機関のINQが、これから起業する方、創業融資を受ける方向けに作成しました。

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スタートアップの創業融資を成功させるには3つの大事なポイントがあります。

今回は2番目の自己資金を、スタートアップならではの論点も加えながら解説していきます。

創業融資は自己資金が重要

日本政策金融公庫では起業から2期以内を「創業」と定義していますが、この創業期の融資においての「自己資金」は、他の時期のそれと比べてはるかに重要です。

なぜ「自己資金」が重要なのでしょうか?

自己資金が重要な理由

決算書がない中での審査だから

1期でも終えれば決算書の提出が必須となります。しかし、決算書を提出できない1期目の場合には、その他の情報から金融機関は貸したお金が返ってくるか、事業はきちんと進捗するかを類推して判断します。その判断材料のひとつが自己資金です。

金融機関は、自己資金の金額とその蓄積状況から、代表者が起業のための資金面でどのような準備をしてきたか、その度合いと覚悟を見極めています。

また金融機関はコツコツと自己資金を蓄積してきたプロセスを好みます。突然に降って湧いたお金ではなく、周到に自己資金を蓄積していることが銀行通帳上で確認できると非常に有利です。

申し込み要件として

公庫の新創業融資の申込にあたっては以下のような条件があります。

新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を1期終えていない方は、創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金(事業に使用される予定の資金をいいます。)を確認できる方

1期終える前までに新創業融資を申し込む場合には、最低限、必要な資金の1/10は、自己資金でカバーする必要がある、言い換えれば自己資金の9倍までしか借りることが出来ないということになります。

そもそも、自己資金が一定以上ないと、希望の金額を申し込むことすらできないのです。

なお、1期を終え2期目に新創業融資を申し込む場合でも、自己資金の有無が申込の足切り条件ではなくなるものの、審査上では手元資金の有無が非常に重要になりますので、注意が必要です。

融資金額の目安として

必要な資金の総額に対して、できるだけ自己資金の割合が大きく、足りない分を融資でまかなうという姿勢が尊重されます。

自己資金と融資金額の比率としては「融資金額は自己資金の2〜3倍」が目安とされています。

余裕資金として

事業を伸ばすには資金はあるだけあった方が絶対いいことは言うまでもありません。多くのスタートアップは黒字化し利益を上げるまでに時間を必要とします。その間、どのようなハードシングスが発生するかわかりません。

仮にJカーブを描くスタートアップモデルでなかったとしても、たとえば、ECなどで仕入れや広告費等の支出が先行する事業、大きい案件になるほど入金が後ろ倒しになる受託開発事業では、売上を上げようとすると、先にキャッシュが出ていきます。

キャッシュの不足が売上増加のブレーキとなり、せっかく伸びかけている事業の成長を止めてしまうのです。ですので、一般的に現預金は月商の1.5〜2倍あるといいと言われているところ、起業当初〜2期終えるまでは月商の2〜3倍のキャッシュを確保しておく方がよいです。

しかし、創業期のリスクの高い時期のスタートアップに、金融機関として貸せる金額には限りがあります。だから自己資金が必要なのです。

以上より、創業融資において自己資金は重要であり、できるだけあった方がよい、ということになります。

どんな資金が自己資金にできる?該当チェックリスト

自己資金の定義は「事業に投資する予定の純然たる自己所有の資金」です。どんな資金が創業融資における「自己資金」に該当するのか、例を上げて具体的に見てみましょう。

✓消費者金融からの借入ではない

準備した自己資金は、消費者金融等からの借入で工面したものではありませんか?

これは言わずもがな、自己資金ではありません。消費者金融とは個人への無担保での金銭の貸付けを中心とする貸金業で、有名なところではアコム・プロミス・アイフルなどが上げられますが、こうした貸金会社から一時的に借りてきたお金は「負債」に当たりますので、当然ながら自己資金と主張した場合は見せ金の扱いになります。

尚、日本政策金融公庫は融資申し込みを受け付けるとは個人信用情報を確認しますので、こうした消費者金融からの借入れもいずれ明らかになります。

✓友人・知人からの借入ではない

友人・知人から借りたお金を自己資金として考えていませんか?

友人・知人から資金を借りたお金は自己資金にはなりません。(両親からの借入は支援金として自己資金に準じるものに評価されるケースもあります)

✓タンス預金ではない

自己資金をタンス預金で準備していませんか?

通帳に貯蓄をしておらず現金で所有している、いわゆる「タンス預金」は自己資金と認められません。理由は「根拠の示しようがない」からです。

いくら給料から差し引いて貯めてきたと主張したところで、通帳のように根拠を示すことができず、金融機関の担当者も他から借りてきたのか自分自身で貯めてきたのかの判断が出来ないためです。

✓出資以外にも代表者自身が準備してきた自己資金がある

スタートアップの場合、VCやエンジェル投資家、役員その他知人・友人等からの出資は、きちんと銀行口座に着金し、資本金として登記されていれば自己資金として認められるケースがあります。

しかし、創業融資における自己資金=資本金の額ではなく「代表者自身が準備してきた資金」が重要視される傾向にあります。

出資金額に比して、代表者自身が準備してきた自己資金が少ない場合、他力本願という印象を与え、代表者自身の経済的準備が足りないとして低い評価になることがあります。

VC等から出資を受けていれば、即自己資金として良い評価が受けられるわけではないので、注意が必要です。

自己資金にまつわるよくある質問

親からの支援金は自己資金?

親からの支援金は自己資金と認められるケースがあります。ただし、場合によっては資金の出処の証明や親の資産背景の確認が必要となります。

ご自身の通帳で家族からの入金が確認できることはもちろん、家族の通帳の提出を求められることもあります。こちらも出資同様、支援金の金額に比して代表者の自己資金が少ない場合、準備不足と評価されてしまいます。

みなし自己資金とは?

創業に必要な物件の取得や設備の購入など必要経費を既に出費していて、創業融資申込時点で資金が減ってしまっている…というケースがよくあります。

たとえば、500万円自己資金があったが、創業融資申込前に商材買付や設備投資などの事業準備のために300万円支出してしまい、200万円のみが残っている、というケースです。

この場合、自己資金は200万円と評価されるのでしょうか?

公庫の場合、事業準備のために創業融資申込前の支出が「みなし自己資金」として認められることがあります。たとえば、上記例の300万円のうち、200万円がみなし自己資金として認められれば、自己資金は総額400万円と評価されることになります。

みなし自己資金を認定してもらうには、通帳や会計証憑を使って公庫担当者を説得する必要がありますが、みなし自己資金は例外的な措置と考えるべきであり、原則は認められないと考えておいた方が無難です。

事業に投資しない個人資産は関係あるの?

事業のために準備した自己資金以外の、代表者世帯の資産背景も実は重要です。

本来、自己資金の定義は「事業に投資する予定の純然たる自己所有の資金」なのですが、事業のために準備した資金以外にも代表者の世帯において下記のような資産がある場合には、プラス評価されることがあります。

  • 家計の預貯金(定期預金を含む)
  • 解約返戻金のある保険
  • 上場株の有価証券
  • 仮想(暗号)通貨

公庫の新創業融資の場合、原則的には代表者個人の資産が担保に入るなどということはないのですが、資産背景がしっかりしている方が最終的に保全しやすいという考え方があるかと推測されます。

自己資金にまつわるよくある勘違い

資本金=自己資金ではない

前述の通り、創業融資における自己資金は、金融機関側が代表者の資金面での準備度合いと覚悟を見極めるという意味で重要です。

先日、「VCから出資を受けていれば出資金額と同額の融資が受けられる」と断言されている方がいました。確かに数年前はVCから出資を受けていれば(今よりも)高く評価された時期がありました。

ですが、現在では自己資金=資本金の額ではなく「代表者自身が準備してきた資金」がより重要視される傾向にあります。

「見せ金」は通用しない

「銀行の残高があればなんでも良い」ということではありません。いわゆる「見せ金」と言われる、消費者金融から借りてきたお金や友人、知人、家族に融資審査のためだけに一時的に借りた資金は自己資金には当然含まれません。

小細工をしても見せ金は見破られます。見せ金は通用しないと考えて、潔く実態に即した準備をする方が良いでしょう。

自己資金はいくらあればいいの?

総資金計画から考えるべき

総資金計画の中から、きちんと蓄積してきた自己資金に対して足りない分を融資でまかなうという姿勢が尊重されます。

融資希望金額から逆算

融資金額の目安は自己資金の2〜3倍です。したがって、希望融資金額から逆算して、その1/3〜1/2の自己資金が必要となります。

https://twitter.com/wakaba_office/status/1157218094655397888?s=20

自己資金の金額によって融資金額の上限が変わる

1期以内の申し込みの場合、資金総額の10分の1以上の自己資金が必要、つまり自己資金の9倍までが融資金額の上限となります。

ここから逆算して、希望融資金額から逆算して、その1/9以上の自己資金が必要となります。

自己資金不足をリカバリーまたは解消する方法

前提として創業融資は総合評価です。

自己資金は重要ですが、自己資金が少ないからといって必ずしも創業融資を諦める必要はありません。

実績を作ってから融資を申し込む

たとえば自社サービスを開発し展開していきたいと考えていたとして、自己資金がない場合、メイン事業ではない受託やコンサルで売上の実績を立て、キャッシュを蓄積してから融資に臨むことで自己資金の問題をクリアすることができます。

すぐに自社サービスに注力できないもどかしさはありますが、ひとつの選択肢ではあります。

1期を終えて自己資金要件をなくす

日本政策金融公庫の「新創業融資制度」では創業から1年が立っている場合にも自己資金要件はなくなります。

代わりに決算書または確定申告書の提出が求められます。

自己資金要件の緩和

日本政策金融公庫の「新創業融資制度」の自己資金の要件は、一定の条件を満たせば自己資金を満たしているものとみなされます。いくつかの条件のうち代表的な条件を一つご紹介します。

現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方で、次のいずれかに該当する方
(1) 現在の企業に継続して6年以上お勤めの方
(2) 現在の企業と同じ業種に通算して6年以上お勤めの方

新創業融資制度の「雇用創出等の要件」「自己資金要件を満たすものとする要件」|日本政策金融公庫

このように業歴によって自己資金を満たしていると判断してもらうことが可能です。

融資は総合評価

繰り返しになりますが、公庫の新創業融資の審査は総合評価です。

上記のどれか1つの要件を満たしていれば通るものでもないし、どこか1つが欠けている・劣っているから絶対に通らないとも言い切れません。同世代や先輩の起業家が公庫の新創業融資でうまくいったとしても、状況の違いで異なる結果が出ることもあり得ます。

公庫の新創業融資を断られた場合の致命的なロス

もし公庫の新創業融資を断られた場合の再チャレンジにはより注意が必要です。

たとえば、断られた(否決)から最低3ヶ月以上は申込みすらできません。次のチャレンジまで時間を開ける必要があります。そうなると事業計画は大きく崩れ、事業進捗の致命的なロスとなります。

また、自己資金の不足という明確な否決理由が履歴として残るため、再度チャレンジ時にはその否決理由をすべてクリアしなければならず、初回に比べてさらに難易度が上がります。

上記をご参照の上、自己資金に不安がある場合には「やるだけやってみる」というダメ元マインドでの突入はお勧めできません。専門家に相談してから、慎重に進めることをお勧めします。

無料相談をご利用ください。

融資審査は総合評価と言われても、準備できた自己資金や事業計画で、自社の創業融資がどのくらいの確率で成功するのか、いくらぐらい借りれるのか、なかなか自分では判断がつかないこととご推察します。

INQでは年間130件超の創業融資のサポートを行っています。多くの事例が蓄積していますし、必要に応じて金融機関に事前の打診を行うことも可能です。

もし、

  • 自分は創業融資を受けることができるか?
  • 自分はいくらぐらい創業融資で申し込むべきか?
  • どうしたら創業融資を成功させられるか?

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