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融資を受けたいスタートアップ/ベンチャーが1期目の決算で注意すべき3つのこと

創業融資 融資を受けたいスタートアップ/ベンチャーが1期目の決算で注意すべき3つのこと
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若林 哲平

株式会社INQ代表取締役CEO、行政書士法人INQ代表。 様々な領域のスタートアップの融資による資金調達(デットファイナンス)を支援。年間130件超10億以上の調達を支援するチームを統括。行政書士/認定支援機関。複数のスタートアップの社外CFOも務め、業界への理解が深く、デットだけでなくエクイティ両面の調達に明るく、対応がスムーズだとVCやエンジェル投資家からの信頼も厚い。趣味はキャンプと音楽。4児の父。

先日、あるベンチャー経営者から融資のご相談を受けました。
そのベンチャーは、融資を意識していなかったがために、1期目の決算をややテキトーにしてしまって、その後融資を受けることになった際、足元の業況は悪くないのにテキトーな決算のせいで非常に苦戦を強いられる、という事態になりそうです。
これは実はわりとよくある話。
融資を活用して事業を成長させたいと考えているスタートアップやベンチャー、スモールビジネスの経営者にとって、1期目の決算の内容がとても重要です。

融資と決算書

融資を念頭に置いて決算書を考える

「融資はあまり考えていない」というスタートアップであっても、融資を念頭に置いて、決算を考えた方がいいと思います。
たとえば、予定していたエクイティでの調達が思うようにいかず、急に融資に舵を切る可能性もあるからです。

すでに1期中に融資を受けている企業でも、2期目に次の融資を受けることが想定されます。その場合でも決算書は重要。
どっちにしろ、融資を念頭に考えるならば決算書の内容が重要です。

決算書は会社の成績表

一般的な企業は決算が年1回。
1度申告した決算書は次の決算までその会社の成績表としてついて回ります。
その期中のどこで申込をしようとも、原則的には決算書の内容をベースに、融資の可否等が検討されます。
取り返しがつきにくいのです。

審査において決算書のウェイトが若干上がってくる

1期を終えていない段階での融資では、事業計画の内容や自己資金の蓄積過程、代表者の経歴やお金遣い等々での評価になります。しかし、1期でも決算を終えると、決算書の内容は審査上、非常に重要になってきます。
(2期目以降はなおその傾向が強くなります)

試算表は決算書に劣る

スタートアップやベンチャーですと、決算を終えた後に、急激に売上が伸びるようなケースがあります。
その場合には期中の試算表、月次推移表等を提出して、その業況を示すことになりますが、試算表は正式・公的な書類ではないので、金融機関としてはあくまでも決算書を判断のベースとします。
決算書の内容を、試算表で完璧にカバーすることはできません。

1期の決算においてスタートアップ/ベンチャーが注意すべき3つのこと

売上や利益ももちろん大事で、あるに越したことはありません。
しかし、1期目の企業がそんなにピカピカの決算書であることを金融機関側も期待してはいません。
たとえば、スタートアップでJカーブを描こうとしている企業ですと、1期目が赤字であることは多いと思います。
しかし、赤字だからといって融資を諦める必要はありません。
黒字化することも大事ですが、以下の点においてマイナスがないことの方が重要かと思います。

01_貸付金

ベースとなる考え方として。金融機関は会社のお金は事業目的のために使うものと考えています。
融資した(する)お金には必ず使いみち(資金使途)があり、資金使途以外に使うことはNGです。会社の目的外のお金の使い方には目を光らせています。
「貸付金」は、役員や取引先等に会社のお金を貸し付けた際の勘定科目です。
会社のお金の私的流用を懸念される、粉飾を疑われる科目です。
金融機関は、資金が流用されたり、粉飾されたりする可能性のある企業には融資したくありません。
出来る限り期中に、これらをなくす、少なくするようにしたいところです。

02_雑勘定

未収入金や立替金、未払金などを「雑勘定」と言います。
雑勘定が多いと、

  • 「経理がちゃんと行われていないのでは?」
  • 「仮の取引が多く、不安定なのでは?」

と不安視されます。
雑勘定が存在するだけで評価を落としてしまう可能性があります。
貸付金と同様に、出来る限り期中にこれらをなくす、少なくするようにしたいところです。
なくせなかった場合には、雑勘定の内訳と経緯をきちんと説明できるようにする必要があります。
(金融機関の面談の際に説明が出来ないと即融資否決の原因となります)

03_過度な節税

特にベンチャー/スモールビジネスで1期目から黒字が出ている場合、過度な節税には注意が必要です。
金融機関は、返済能力を測る上で、利益と減価償却費を足した返済キャッシュフローをものさしとしています。
毎月の返済金額が返済キャッシュフローの1/2〜1/3に収まるようならば安全、というような評価です。
もし、過度な節税を行ってしまうと、利益構造上、売り上げを増やしても返済原資がないでは?と評価されてしまいます。

まとめ

融資を考えるスタートアップ/ベンチャー、スモールビジネスの経営者は、できれば期中に、顧問税理士等の専門家によくよく相談しておきましょう。
相談する人がいなかったら?
行政書士法人INQにご相談ください。
税理士とのチームで、スタートアップ/ベンチャー、スモールビジネスの外部CFOとして、財務の壁打ち相手になります!

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