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資本政策は、考慮しなければならないポイントが多く、また、後戻りややり直しができないため、一度の失敗が経営に大きな影響を与えてしまいます。
本記事では、資本政策を考える際に押さえておきたい5つのポイントを詳しく解説していきます。
- 資本政策とは
- 資本政策を考える際の5つのポイント
資本政策とは
資本政策とは、株主資本に関する計画です。
株式による資金調達をすればするほど外部株主は増え、収益性を意識した経営を求められることも多くなるため、収益を高めるような経営に切り替えていく必要があります。また、コーポレートガバナンスに配慮した経営が求められることになります。
そのため、「どのタイミングで、どのような手法を用いて、いくら資金を集めるか」や理想とする株主構成を事前に計画しておくことが非常に重要です。
資本政策のポイント
資本政策を考える際に考えるべきポイントは以下の5つが挙げられます。
- 資金調達時の持株比率
- 株主構成
- 役員・従業員向けのインセンティブ
- 株主の経済的利益(キャピタルゲイン)
- 事業継承対策
資金調達時の持株比率
株式で資金調達するとき、創業者や経営者(以下、オーナー)は持株比率が下がりすぎないように注意する必要があります。
持株比率とは、その会社の株式を保有している割合のことです。種類株式を除けば、1株につき1個の議決権(株主総会の投票権)が与えられるため、持株比率が高いほど会社の意思決定に強い影響を及ぼすことができます。
特に、ベンチャーや未上場企業は、スピード感ある決定や事業運営が求められる機会も多く、オーナーに強い決定権があるとスピーディな経営が可能になります。
なお、持株比率が2分の1超なら普通決議を、3分の2超なら普通決議に加えて特別決議も単独で決議することができます
株主構成
企業の業績や株価等に左右されず、株式を長期保有してくれる株主を一定割合確保しておきましょう。
持株比率が2分の1超の株主は普通決議を、さらに3分の2以上の株主は特別決議を単独で決議することができます。そこで、安定株主もこの水準を維持していくことが理想です。
ただ、多額の資金調達する場合は困難なこともあります。この場合は、特別決議を単独で否決できる権限が与えられる3分の1以上が1つの目安となります。
役員・従業員向けのインセンティブ
資本政策の一環としてインセンティブを付与すると、役員や従業員の働く意欲を向上させることができるほか、上場を主眼に置いた資本政策にも有用です。ただし、株主構成や税金など考慮した方が良い部分も少なからず存在します。
ここでは、頻繁に利用される2つを解説します。
ストックオプション
ストックオプションとは、会社が従業員や取締役に対して、あらかじめ決められた価格(権利行使価額)で会社の株式を取得できる権利です。
ストックオプションの詳細は「ストックオプションとは?仕組みや種類について詳しく解説」をご参照ください。
従業員持株会制度
従業員持株制度とは、奨励金の支給や株式取得資金の貸し付けなどの便宜を与え、従業員が会社の自社株を取得することを奨励する社内的な制度です。
従業員持株会を設立し、その会員の給与・賞与から拠出金を天引きして自社株式を共同購入し、会員は拠出額に応じた割合で配当金などを得る制度です。
株主総会での議決権行使の仕方、配当所得の税法の規定などを勘案して、「民法上の組合」形式で従業員持株会を設立し、運営する形式が現在多く採用されています。
株主の経済的利益(キャピタルゲイン)
VCや創業者を含む株主の経済的利益には、配当と株式売却益(キャピタルゲイン)があります。未上場企業の場合には、後者の株式売却益が主に想定される経済的利益です。
キャピタルゲインとは、保有する自社株を譲渡して得られる利益のことです。株式を買ったときの値段と売るときの値段の差額が利益になります。
株式公開(IPO)やM&Aを目指している方は、資本政策の検討を通じて、各株主にどれくらいのキャピタルゲインが残るのかを事前に想定、計算しておく必要があります。
VCについて詳しく知りたい方は「VCとは?VCの種類や投資を受けるメリット・デメリットを解説」をご参照ください。
事業継承対策
事業承継対策とは、経営する会社や事業を後継者に引き継ぐ際、発生しそうな問題に予め対処しておくことをいい、相続や税金のトラブルを防いだり、会社や事業を存続したりする目的で行われます。
特に、後継者がいないか複数の相続人がいる場合、現経営者なしでは事業が回らない場合は対策が急務です。
資産管理会社の活用や自社株買い、株式を後継者に一部移転しておく、といった施策を検討しておきましょう。
資本政策のまとめ
本記事では、資本政策について考える際のポイントも併せて詳しく解説しました。
- 資本政策とは株主資本に関する計画のこと。
- 資本政策を考える際には①資金調達時の持株比率、②株主構成、③役員・従業員向けのインセンティブ、④株主の経済的利益(キャピタルゲイン)、⑤事業継承対策の5つのポイントを押さえるようにする。
資本政策には数多くの手法があり、一度実行してしまうとやり直しがききません。入念に下調べをして、自社に最適な方法を探っていきましょう。