若林 哲平
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起業家ならば誰でも通る!と言っても過言ではない、日本政策金融公庫の新創業融資。
なぜ多くの起業家が他の融資制度ではなく、新創業融資を使うのか、そのメリットをお伝えします。
日本政策金融公庫の新創業融資の進め方については「創業融資の進め方ガイド【2022年最新保存版】」で詳しく解説しています。
日本政策金融公庫の新創業融資とは?
新創業融資とは、創業前〜創業後2期以内の個人・法人を対象とした融資制度です。
新創業融資の概要
新創業融資の主な融資条件は次の通りです。
自己資金が必要
1期を終えていない場合、原則的には創業資金総額の10分の1以上の自己資金が必要です。
自己資金の9倍までしか借りられないと考えればわかりやすいかと。
一定の条件を満たす場合は自己資金なしで申し込みが可能になりますが、結局、審査上は自己資金がないと厳しい場合があります。
申し込み可能な金額(融資限度額)
融資の限度額(上限)が1,500万円から3,000万円(うち運転資金1,500万円)に引き上げられました。
ですが、新創業融資の実質的な無担保無保証枠の支店決済額は1,000万円です。担保がない限り原則的には「新創業融資は1,000万円まで」と考えていいと思います。
なお、日本政策金融公庫の発表によれば、創業期の融資の1件あたりの融資額の平均は約400万円とのこと。
金利
令和4年4月1日時点の無担保無保証枠の基準金利は2.33~3.00%です。ここから、組み合わせる制度や代表者の性別・年齢等によって、金利のディスカウントがあります。
東京都の制度融資に比べますと金利は低くなることが多いですが、区市町村の融資あっ旋制度に比べると金利の自己負担は大きいです。
返済期間
運転資金か設備資金かによっても異なりますが、実務的には運転資金7年以内、設備資金10年以内というのがめやすです。
新創業融資のメリット
日本政策金融公庫の新創業融資の他にも都道府県の信用保証協会の保証付き融資などにも創業者向けの融資制度がありますが、その中でも新創業融資を使うメリットは次の通りです。
- 代表者保証なし
- 融資実行までの期間が短い
- 民間金融機関に比べて若干ハードルが低い
- 呼び水効果
代表者保証なし
無担保無保証(第三者の保証や担保提供が不要)なだけでなく、代表者個人による連帯保証も不要です。
他にも無担保無保証の融資制度はありますが、原則代表者個人による連帯保証が必要です。
その点、新創業融資は、代表者保証不要ですので、家族の理解も得やすく、チャレンジしやすいです。
代表者個人による連帯保証について詳しくは「起業と代表者保証?生活を守りながら起業にチャレンジする方法」をご参照ください。
融資実行までの期間が短い
融資申込者自身の準備状況にもよりますので一概には言えませんが、申し込みから融資実行までの期間は、約1ヶ月です。都道府県の制度融資や区市町村の融資あっせん制度より比較的早い傾向にあります。
民間金融機関に比べて若干ハードルが低い
日本政策金融公庫は政府系金融機関ですので、開業率を欧米並みに近付けようという政府の方針に沿って、他の民間金融機関に比べて積極的にリスクを取って起業間もない企業への創業融資を行なっています。簡単に言うと、民間金融機関に比べてハードルが低く、最初の融資としては最適です。
呼び水効果
そして、その日本政策金融公庫が創業融資をしていることが一定の信頼となり、呼び水となり、次の民間金融機関からの融資が受けやすくなるという「呼び水効果」も期待できます。
他方、新創業融資のデメリットはほぼないと言えます。もし創業期に融資を受けたいのであれば、条件的には日本政策金融公庫の新創業融資の優先順位が一番高いと言えます。
創業期の融資の進め方について詳しくは「創業融資の進め方ガイド【2022年最新保存版】」をご参照ください。
まとめ
整理しますと、日本政策金融公庫の新創業融資は、
- 創業2期以内
- 1,000万円が上限
- 平均は400万円
- 金利は2.33%~で年齢・性別等によりディスカウントあり
- 返済期間は運転資金〜7年、設備資金〜10年が目安
という制度です。
また、以下のようなメリットがあります。
- 代表者保証なし
- 融資実行までの期間が短い
- 民間金融機関に比べて若干ハードルが低い
- 呼び水効果
創業2期を超えると使えなくなり、代表者保証なし等のメリットが適用されません。起業したらすぐに検討することをお勧めします。