若林 哲平
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本記事では中小企業経営力強化資金とは何か、調達の条件とメリット・デメリットをまとめています。
資金調達をお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
中小企業経営力強化資金とは?
積極的に資金調達調達をして、急成長を試みるスタートアップの強い味方として、日本政策金融公庫の中小企業経営力強化資金がありました。
中小企業経営力強化資金とは、日本政策金融公庫の融資制度で、次の条件を満たす場合に利用できます。
- 市場の創出・開拓を行おうとし、
- 認定支援機関のサポートを受ける
中小企業経営力強化資金は実質的に終了?
中小企業経営力強化資金は、創業2期以内であっても、一定の条件を満たすと2,000万円まで無担保無保証・代表者保証なしで申し込みが出来る創業期のベンチャーにとっては大変ありがたい融資制度だったのでした。
ですが、2020年4月より制度が変更となり、2,000万円まで無担保無保証・代表者保証なしという最大のメリットがなくなりました。今では中小企業経営力強化資金を選ぶ理由がなくなってしまいました。中小企業経営力強化資金は実質的に終了したとご理解ください。
中小企業経営力強化資金が使えないならどうすればいい?
創業2期以内であれば、公庫の新創業融資制度の一択となります。
また、2期の決算が終了している場合には、状況に応じて一般貸付やセーフティネット貸付から選択することになります。
中小企業経営力強化資金の主な条件
日本政策金融公庫の国民生活事業の中小企業経営力強化資金の現時点での主な条件は次の通りです。
融資限度額
融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)となっています。
返済期間
設備資金は20年以内となっていますが、実務的には10年以内です。
運転資金は7年以内となっています。このうち2年以内の範囲で据置期間(元金返済を待ってくれる期間)が設定できますが、実務的には長くて1年以内、3ヶ月以内がほとんどでした。
金利
基本は基準金利です。
以下の条件を満たした場合には特別な利率が適用されます。
- 「中小企業の会計に関する基本要領」を適用しているまたは適用する予定である
- 「中小企業の会計に関する指針」を適用している方または適用する予定である
- 「当面6ヵ月程度の資金繰り予定表」及び「部門別収支状況表」を含んだ事業計画書を策定している
創業2期以内で、支店決済額1,000万円の範囲内で使える新創業融資の範囲内であれば、結果として金利は新創業融資の方が低くなっております。
中小企業経営力強化資金のメリット
では、ここで中小企業経営力強化資金を使うメリットについていくつか触れておきます。
1.無担保・無保証人で最大2,000万円
創業2期以内の場合、新創業融資という制度ですも支店決済額1,000万円が上限ですが、中小企業経営力強化資金の場合には最大2,000万円までチャレンジすることができました。しかし、現在は2,000万円までのチャレンジ枠が実質的に修了したため、このメリットはありません。
2.創業直後から利用できる
創業から7期以内の企業を想定している制度ですので、創業直後でも、上記条件を満たせばシード〜シリーズAでも使えます。
3.自己資金要件がない
形式上は、自己資金の要件がありません。新創業融資の場合には、「創業資金総額の10分の1以上の自己資金」が必要ですが、その要件がないのです。
ただ、これはあくまでも形式上の話で、実際の審査上は自己資金の額によって、融資金額が影響を受けます。中小企業経営力強化資金であっても、自己資金が重要であることにかわりはありません。
中小企業経営力強化資金のデメリット
1.認定支援機関によるサポートが必須
中小企業等支援の専門家として国が認定した認定支援機関のサポートが必要です。 自社単独で申し込むことができません。
2.日本政策金融公庫指定の事業計画書が必要
中小企業経営力強化資金の申し込みをする場合、日本政策金融公庫指定の事業計画書が必要です。この計画書には、事業者(申込企業)と認定支援機関と両者が押印する必要があります。
3.2回以上の事業計画進捗報告義務がある
最低、2事業年度、融資申込時に提出した事業計画と実績値の予実を報告する義務があります。それに対応しないと原則的には一括返済を求められてしまうので注意が必要です。
4.フランチャイズでは利用できない
「市場の創出・開拓(新規開業を行う場合を含む。)を行おうとする」ことが条件になっていることもあり、フランチャイズでは利用できません。
5.金利の下げ幅が小さい
他の制度(新創業融資等)ですと、申込者の属性により金利のディスカウントが効く場合がありますが、中小企業経営力強化資金の場合には、その下げ幅が小さく、金利が他の制度に比べて高くなる可能性があります。
中小企業経営力強化資金制度と他の制度の使い分け
創業2期未満の場合
創業2期未満の場合、日本政策金融公庫の制度としては、以下のように、中小企業経営力強化資金制度と新創業融資の2択になることがほとんどでした。
(2020年3月末まで)
- 申込金額が1,000万円以内なら新創業融資
- 申込金額が1,000万円以上2,000万円なら経営力強化資金
しかし、制度変更により実質的に中小企業経営力強化資金を使う理由がなくなりました。
現在は創業2期未満の場合には、新創業融資一択となります。
創業2期以上の場合
創業2期以上の場合、代表者の連帯保証を外したい場合に用いることが考えられます。決算書の内容により、経営者保証免除特例制度が使えない場合に、経営力強化資金を使うという選択肢はあります。
中小企業経営力強化資金の流れ
中小企業経営力強化資金の融資を受けたい場合には次のような流れで進めます。
認定支援機関の選定
認定支援機関の支援がないと制度が利用できませんので、まずは認定支援機関を選定する必要があります。 顧問税理士が認定支援機関になっている場合には、認定支援機関になっているかを確認するのもひとつの方法です。
必要書類の作成・準備
借入申込書や中小企業経営力強化資金用の事業計画書など、必要書類を準備します。必要書類は申込企業の状況によっても異なりますので、日本政策金融公庫または認定支援機関にご確認ください。
面談
日本政策金融公庫担当者との面談です。その後の審査をスムーズにするため、必要書類はこの日に漏れなく提出するようにしましょう。
審査
面談や提出した資料を受けて、融資の審査が行われます。 2週間前後で結果が出ることが一般的ですが、案件や時期によって異なります。
契約・融資実行
融資審査が終わり、融資が決定されましたら、日本政策金融公庫と金銭消費貸借契約を締結しましたら約3営業日で融資が指定の口座に実行(振込)されます。
中小企業経営力強化資金の条件とメリット・デメリットまとめ
中小企業経営力強化資金は、
- 創業2期以内で、
- 1,000万円以上2,000万円までの融資による資金調達を行いたい場合に、
- 認定支援機関の支援を得て申し込む制度
でしたが、2020年4月の変更により、選択肢として選ぶ理由がなくなり、実質的に終了しました。
創業2期以内であれば、公庫の新創業融資制度の一択となります。