創業融資のスペシャリスト INQ
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この記事はスタートアップの創業融資を累計500件以上支援してきた認定支援機関のINQが、これから起業する方、創業融資を受ける方向けに作成しました。
今回は公庫の創業融資で失敗をしないための対策について解説していきます。
日本政策金融公庫の新創業融資の進め方については「創業融資の進め方ガイド【2022年最新保存版】」で詳しく解説しています。
創業融資の成功率は…?
正確にお伝えすると、日本政策金融公庫から公表されている正式な成功率(融資件数÷申込数)はありません。しかし、新型コロナウイルス関連の融資において、決定率が51%であったという財務省の資料がありました。
コロナ融資は緊急時ということもあり、条件に合致するかどうかの簡易審査となるため平常時より決定率は高くなります。(緊急事態宣言時の新型コロナ関連融資)
言い換えると、平常時の公庫の融資成功率は、少なくともコロナ融資における51%より低いものと推測されます。
新型コロナ融資における日本政策金融公庫の融資実績
https://www.mof.go.jp/financial_system/fiscal_finance/renkei/corona-kanminrenkei.pdf
申込件数:122,086件/決定件数:62,346件⇒決定率:51%〔令和2年4月5日時点〕
また、INQが接点を持つ公庫の担当者は融資成功率は40%程度と言っていました。上記の財務省の資料から推測する51%以下と、公庫担当者の肌感覚から合わせて推測すると、おそらく公庫の融資成功率は40〜50%であると思われます。
上記の通り、創業融資が成功する確率は50%以下。では創業融資に失敗しないようにするにはどうすればいいのでしょうか?
創業融資に失敗しないためのチェック項目
創業融資に失敗しないためには事前の準備が欠かせません。ここでは、公庫担当者がよくみる箇所について、ポイントごとに注意点をまとめています。
ご自身が該当する項目がないか、該当する場合どのように対処すれば良いか、状況に照らし合わせて確認するようにしてください。
代表者の経歴・属性に関する失敗
代表者の経験が不十分
事例
10年間WEBマーケティング企業に勤めていたが、WEBマーケティングとは関係のない飲食業で起業した。公庫担当者からは唯一経験について指摘され、飲食業に携わった経験がないためマイナス評価を受けてしまった…
新創業融資の審査では、代表者の職歴・経験が、起業する事業とどのように結びついているかを重要視します。過去の経験から事業遂行に必要な知識・情報・能力・ネットワーク等を持っているか判断するのです。
上記の例では、経験のあるWEBマーケティングとは関係がなく、経験のない飲食業での起業であったため、経験について不安視されてしまいました。
公庫の判断基準としては起業する事業領域において3〜4年以上、できれば6年以上の経験を持っているとよりプラス評価になります。できるだけご自身が起業までの職歴で経験したこと、培った能力が活かせる事業領域を中心とした事業計画で融資申請を行うようにしましょう。
個人信用情報を確認しないで申込をしてしまう
事例
日本政策金融公庫から新創業融資を受けるべく、借入申込書を提出したが、個人信用情報に問題があったようで、融資を断られてしまった…
個人信用情報とは、カードローンや割賦払い等の返済履歴のことです。CICなどの指定個人信用情報機関が管理しています。
日本政策金融公庫の新創業融資等では、借入申込書提出後に、代表者・申込者の個人信用情報を取得します。そこで過去の借入返済等の遅れや金融事故(債権の異動)などがあると、同じことを自社の貸付でもされてしまうことを懸念して、後ろ向きになります。
軽微な問題であれば事前に対処することもできますので、必ず融資申請前には個人情報の確認を行いましょう。
諸支払いに問題がある
事例
学生起業した。事業が伸びてきたので、融資の申し込みをしようとしたが、親所有の実家に住んでいたため、諸支払いの確認ができないということで、融資審査がストップしてしまった。
公庫の担当者は公共料金の支払い状況もチェックします。以下の支払いのうち2つ以上が最低3ヶ月以上自分の名義で遅れなく支払われていれば問題ありません。
- 家賃
- 携帯電話
- 電気
- ガス
- 水道
上記の事例のように、学生起業や海外赴任からの帰国直後に起業する場合に、上記の支払いが「最低3ヶ月以上自分の名義で遅れなく支払われている」という要件を満たせないケースがあります。
支払いの遅延などがないかどうか、融資申請前にチェックしましょうまた、未払いのものがあれば、必ず支払いを済ませてから融資申請をしてください。
納税義務が果たされていない
事例
個人事業主として1年ほど事業を行った後、法人設立をし、公庫の新創業融資に申し込んだ。しかし、前年の個人事業主時代の確定申告をしていなかったために、審査がストップしてしまった…
公庫は、融資した後の返済を遅延なく期日通り継続して返済してもらえるかということを重要視しています。
たとえば、前年は個人事業主として働いていて、本来確定申告を行い納税をしなければならないにも関わらず期限までに行っていない場合などです。こちらは納税義務に反していますので、納税が完了するまで手続きは進めることができません。
期日通りの納税が原則ですが、融資検討されている方で未納の方は早めに納税いただくことをおすすめします。税金の未納がある場合には、受付さえできない場合がありますので、必ずご確認ください。
自己資金に関する失敗
資本金=自己資金ではない
事例
自分で1万円出資して会社を設立した。設立後、エンジェル投資家から600万円の出資を受け、資本金を登記した後に公庫に新創業融資を申し込んだが、否決されてしまった。自己資金が少ないことを理由のひとつだった。
創業融資においては、資本金=自己資金の額ではなく「代表者自身が準備してきた資金」が重要視される傾向にあります。
出資金額に比して、代表者自身が準備してきた自己資金が少ない場合、他力本願という印象を与え、経済的準備が足りないとして低い評価になることがあります。出資を受けて資本金が厚くなっていれば即融資が受けられる、とも限りませんので注意が必要です。
創業融資ではご自身でコツコツ貯蓄された資金が評価されます。融資審査までにきちんと口座に準備金を用意しておくことが大切です。
見せ金はNG
事例
「融資がおりたらすぐに返す」と約束して知人の経営者から200万円を借り、それを自分名義の銀行口座に入れ、それを自己資金として新創業融資を申し込んだ。しかし、自己資金の蓄積過程が見えないというようなことを言われ、融資を断られてしまった。
「銀行の残高があればなんでも良い」ということではありません。いわゆる「見せ金」と言われる、消費者金融から借りてきたお金や友人、知人、家族に融資審査のためだけに一時的に借りた資金です。
これらは創業融資における自己資金には当然含まれません。きちんと事業使途として活用できる資金を用意するようにしましょう。
事業計画書に関する失敗
VCと金融機関に同じ事業計画書を出してしまう
事例
VCにピッチを重ね、出資を受けることができた。その勢いで、VCに出したピッチ資料の最新版を公庫に提出したが、事業計画の実現性が疑問視され、大幅に減額されてしまった。
VCは事業が何倍に跳ねるかの成長性を重視します。反対に銀行等の金融機関(以下、「金融機関」)は確実に事業が存続するか、安定性・継続性を重視します。
ですので、VC等に提出した事業計画書(ピッチ資料)をそのまま金融機関に出してしまうと、金融機関としてその計画を受け入れられない可能性が高いです。融資を受ける際には新たに堅実な事業計画書を作成するようにしましょう。
横文字の用語を多用している
事例
融資面談で「プロダクトをピボットしてMVPを作り、PMFすることができました。」「GMVがMoMで激伸びしてユニットエコノミクスができたらシリーズAのファイナンスをする予定です。」と説明したら変な空気が漂って、結果、大幅に減額された。
スタートアップで使われている用語もかなり一般的に通じるようになりつつありますが、それでもやはり過度な横文字の使用は好まれない傾向にあります。
普段スタートアップ界隈や社内で使っている横文字だとしても、事業計画書内ではできるだけ平易な日本語に変換するとよいと思います。
書類の準備に関する失敗
提出書類が揃わない
事例
公庫の新創業融資の申し込みにあたり、前年の年収を示す資料として、前職の会社発行の源泉徴収票の提出が必要となった。
手元に源泉徴収票がなかったため、気まずい思いをしながら前職の会社に連絡し、源泉徴収票の発行を依頼したが、時間がかかって、その間手続きが進まず、時間をロスすることになってしまった。
提出書類が揃わず審査が進まないことがあります。下記のような、タイミングによっては準備や取得に時間がかかるものもあるので、早めに準備しましょう。
- 前年の確定申告書(個人事業主等だった場合)
- 前職発行の源泉徴収票
- 返済予定表(カーローン、住宅ローン等)
- 合算記帳になっている際の入出金明細など
情報が最新ではない
事例
共同代表で代表権を持つ取締役が2名いたが、1名は既に退任していた。しかし、その退任登記を行っておらず、申込後にそれが発覚した。急いで変更登記を行ったが、一旦、申し込みを取り下げることになってしまい、資金調達が遅滞してしまった。
引っ越しをしたけど住所を変更していないなど、公的書類関係の情報が最新ではない場合がよくあります。申込をする際は、下記の項目が最新情報に更新されているかを必ずチェックしましょう。
- 身分証
- 住民票
- 本店登記
面談に関する失敗
言ってはいけない・やってはいけないこと
事例
公庫の担当から面談の際に、過去の経歴や個人的な借入の有無、ビジネスモデルから事業の実現性など、細かいことを重箱の隅をつつくように聞かれるうち段々腹が立ってきたので、態度に出してしまった。そのせいかはわからないが、大幅に融資が減額されてしまった。
金融機関担当者は事業のみならず、代表者の人柄も見ています。どんな質問に対してもできる限り誠実に、丁寧に答え、前向きに理解してもらうよう心がけましょう。
たとえば、「返済できない場合どうしたらいいのか」など、担当者に不安を抱かせるようなことを言うべきではありません。担当者からすると、返済能力に不信感を抱いてしまいます。事業計画書をもとにきちんと返済をするという態度を貫きましょう。
第一印象は大事です。上下スーツにネクタイのフル装備でなくてもいいと個人的には思いますが、それでもルーズな服装はよりは、しっかりした服装の方が望ましいです。TPOをわきまえた服装がベターです。
創業融資の成功確率をあげるなら
INQでは年間130件超、累計500件超の創業融資のサポートを行っています。多くの事例から得た経験とノウハウにより、融資申込前にある程度の融資可否の見込みをお伝えすることができます。
- 創業融資を成功させられるか不安がある
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