若林 哲平
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前回までの記事
ビジョンを受けてのミッション
(白石)ビジョンとは北極星のようなもの。いつもそこにあって、ぶれない。というお話を伺いましたが、それを受けてのミッションを教えて下さい。
ブラインドサッカーの持つ「障がい者と健常者が、混ざり合う」というスポーツとしての魅力が、キーかなという印象があるのですが。
ミッション
ブラインドサッカーに携わるものが障害の有無にかかわらず、生きがいを持って生きることに寄与すること
「混ざり合う社会」を目指すためのはしごは、あくまでも1つ
(松崎)ビジョンに掲げている「混ざり合う社会」を実現するための手段は、ブラインドサッカーじゃなくても実は沢山ああります。政策提言とか、社会課題など、より直接的に解決していくようなアプローチというのもあるわけです。
ただ、僕らとしては、まさに今おっしゃって頂いたように、このピッチに関わっている人たちが、健常者とか障がい者とか関わらず、フラットになれるというのが強みなので、彼ら自身のクオリティーオブライフに貢献することが大切だと考えます。
それを使命としながら、このビジョンに向けて歩んでいこうというのが、一つこのミッションに下りているアンカーだと思っているのです。
どういうはしごを使ってでもこの星を目指すのではなく、僕らのはしごはあくまでもブラインドサッカーであり、これに関わっている人たちというところが、このミッションが意味しているところです。
(白石)「混ざり合う社会の実現」のための手段はあくまでも、ブラインドサッカーにこだわる。この「携わるもの」というのは、プレイヤーだけではなくてサポーターも含めて全ての方ということですよね。
障がい者のための団体なのに、なぜ健常者のための事業をやるのか
(松崎)当時の社会情勢から見ると、障がいの有無に関わらず、という一文は、実は、かなりチャレンジングだったんです。
今でこそパラリンピックスポーツを体験しようみたいなのが当たり前になっていますけど、それをタブー視する意見も割と少ない意見ではなかったですから。
(白石)どんな声もしっかり受け止め、議論の結果できたミッションなんですね。ブラインドサッカーが本来持つスポーツとしての魅力が、ミッションを支える力になっている気がします。
(松崎)これ自体はまさにこのピッチが体現してくれているので。見える人と見えない人が協力しないとできないというところにルールがある、というのが何よりも強みなんだろうなとは思います。
(白石)2015年。私共でNPO法人化をお手伝いさせて頂いたのですが、法人化のきっかけについて教えて下さい。
NPO法人化には慎重だった
(松崎)草の根のボランティア活動は、本来は任意で始まっているものだし、法人化しないと事業をしちゃいけないとかはないはずで、組織内でも法人化への声はそこまで大きくはありませんでした。
ただ、その一方で、僕らの活動が良い意味で予想を裏切り、2014年ぐらいから、急激に世の中の注目を浴びたり、企業の皆さんがもっと応援したいと言って下さったりするようになってきたのです。
つまり、法人の器を用意しないと、お取引しにくいような企業が生まれてきた、という現実が背景にありました。
(白石)2014年というと、やはりパラリンピックの存在は大きかったということなんですか。
リスクヘッジとしての意味合いも
(松崎)それよりも、それまで十数年活動してきた中でのステークホルダーの皆さんのご意向の方が大きかったですね。内部的にも、そろそろ雇用者を生んで行かないと、もう無理だよねというような事情もありました。
あとは、内部的な話だと、リスクヘッジの要素が結構大きいです。任意団体だと、やっぱり代表者個人の無限責任になってしまうケースもありますし、法人の無限責任な部分が一部担保できるようになってきたという点は大きいです。
(白石)その他、NPO法人化で良かった事があったら教えて下さい。
(松崎)法人格がないと受けられなかった助成とかはありますし、海外からの寄付とか法人格が必要なケースが多いというのはありますね。
次回は・・・
特定非営利活動法人日本ブラインドサッカー協会/事務局長 松崎英吾 さん
Vol.4 NPOとして、事業構造上も誠実でありたい(2)
法人化のきっかけから融資まで。現場ならではのお話が続きます!次回をお楽しみに!