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会社の資本金、結局いくらにしたらいいの?

創業前に知りたいこと 会社の資本金、結局いくらにしたらいいの?
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武田 信幸

1981年生まれ。千葉県出身。 スタートアップ期の銀行融資や補助金等、資金調達の専門家。 行政書士の傍らインストロックバンド「LITE」のギタリストとしても活動している。行政書士業と共に年2,3回の海外ツアーをこなす「行政書士×ミュージシャン」のパラレルワーカー。

会社設立時に決定するものの一つとして資本金があります。金額をいくらに設定すべきか悩んだ経験のある社長、もしくは今現在悩んでいる方へ、今回は資本金の設定金額について解説致します。

対外信用性を考慮して決める

会社の資本金の金額は誰もが取得できる会社の登記簿謄本に記載される登記事項です。取引先の与信審査のため会社概要を調べる際に登記簿を取得することがあります。取得したら資本金が1円なのと900万円あるのでは確実に印象が違います。

もちろん確実なものではありませんが、経営者の経済的余裕(試算背景)、出資者(協力者)など、数字を見るだけである程度の情報を得ることができてしまうからです。

1円会社はお勧めしません

会社法が2006年に改正され、資本金が1円でも会社の設立が可能になりました。果たして、簡単に作れるようになって万々歳、なのでしょうか。

1円で設立してしまうと対外信用性が担保できないのはもちろんのこと、会債務超過になる可能性が非常に高いという問題があります。債務超過とは負債の総額が資産の総額を超えてしまうことなのですが、1円資本金の場合、決算期に損失がたった2円あっただけで、債務超過となってしまいます。債務超過の会社と資産超過(債務超過の逆)の会社では、特に銀行の印象はまさに雲泥の差です。融資を受ける上で決算書は最低でも2期分の提出が必要になるのですが、2年後に融資を受けようとしたら債務超過の決算書が原因で融資が受けられない、という可能性も出てきます。

このように債務超過の決算書は後々まで影響してくることもあり、債務超過が原因で融資が受けられないという会社は世の中にゴマンとあるのです。

999万円と1000万円の間にある1万円の大きな違い

では、できるだけ多く。例えば1000万円ではどうでしょう。

円会社に比較して対外信用性は高いのは言うまでもありませんが、この場合、金額は「999万円」をお勧めします。なぜかというと、999万円を越える資本金で設立した会社は事業初年度から消費税がかかってしまうからです。999万円以下であれば、法人設立から2年間は消費税が免除されるというメリットを享受できます。

許認可を考えて決める

例えば建設業や派遣業などは、自己資金、もしくは純資産額の最低金額が決められています。(建設業は残高証明書で対応可能な場合もあります。)これらの業種は要件を満たせないと許可が取れず、そもそも事業を開始することができませんので、これから始める事業にまずは許認可が必要かどうか、そして許認可に資本金要件があるかを事前に確認しておきましょう。

運転資金を考えて決める

では実際問題いくらに設定したら良いのかということですが。1~3ヶ月の運転資金を計上するというもの一つの方法です。

会社と個人の財布とは別ですので、会社の預金が付きてしまう場合は、会社が他者から借りるか出資をして貰わなければなりません。少額であれば代表者の個人の財布から会社に貸し付けるケースも多いです。ただ、資本金が通常ひと月にかかる運転資金よりも少ないと、売り上げが入ってこない状態では、すぐに他者の借入れに頼る可能性があり、その時点だけで言えば債務超過の状態になってしまいます。

やはり債務超過は会社としては健全な状態とはいえませんので、債務超過にならない範囲で1~3ヶ月分の運転資金を資本金として残しておくと安心です。

まとめ

  • 業界的に信用性がある資本金額はいくらかを調査する。
  • なるべく1円会社は作らない。
  • 1,000万にするなら999万に。
  • 許認可に資本金要件はあるのか?
  • 運転資金の1~3ヶ月を目安に。

経営者に聞いてみても、「なんとなく決めました」という回答も多い資本金ですが、ご説明したように誰もが取得できる会社の登記簿謄本に記載される登記事項であり、会社の体力を示す重要な金額でもあります。また、資本金は増資手続きを行うことで登記情報を変更することも可能です。戦略次第では増資の検討の余地があるかも知れません。
答えは業種によっても千差万別なのが実情ですが、「なんとなく」ではなく、対外信用、許認可、運転資金を考慮して慎重に金額を決めたいです。

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