若林 哲平
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前回までの記事
(白石)企業研修の内容というのは、理念やゲームの中身の説明と、一緒にじゃあプレーしてみましょうとかそういう感じなんですか?
(松崎)企業研修はプログラムとして、全く別個で作っています。
僕らは、健常者にはブラインドサッカーが出来ないことを伝えたいわけじゃない
サッカーそのものは、手よりより難しい足でボールを扱うことで不確実性を高め、遊びの要素を増した競技です。ブラインドサッカーは、それをさらに難しくするアイマスクを付けているという状態なので、そもそも足で扱うことに慣れていない人が目隠しをして足で扱えるかと言ったら扱えるわけがないんです。
(白石)確かにそうですよね・・。
(松崎)でも僕らが伝えたいのは、できないことではなくて、目隠しをして視力を奪われても、お互いのコミュニケーションや信頼関係で、できないと思っていることができるんです、ということなのです。プログラムの構成要素としても90分のうちボールを足で使うのは実は10分ぐらいなんですよ。その他の時間は、目隠しをしてチームワークに特化したプログラムを提供しています。50歳の方でも60歳の方でもご参加いただけるように、運動の強さもコントロールしているので、ブラインドサッカーを研修でガチでやりましょうみたいなプログラムではないですね。
(白石)ちゃんと、そこは分けているんですね。
研修を発注する企業さんからするとブラインドサッカー自体はどうでも良い
(松崎)我々からするとこれを知ってほしいんですけど、研修を発注する企業からすると別にブラインドサッカー自体はどうでも良いといえば良いのだという事実があります。
研修には狙いたい効果と狙いたい成果がある中で、それに対して最適な研修を担当者はたくさんある研修会社から選ぶわけです。そのときに僕らが選んでもらえるようなちゃんとプログラムになっているかというほうを大事にしています。すると、結果的にブラインドサッカーや理念についても絶対に理解してくださるのです。
でも入口をそこに置いてしまうと我々のウォンツの押し売りになってしまう。
でも、ニーズから入るプログラム設計することで、出口としてはブラインドサッカーを知ってくれるし、ファンにもなってくれる。
(白石)一般的に、NPO法人の方は、自分たちの思いが先に来てしまって、これを広めたいんですというのが先に来る方が多分大多数なのではないかなと思うんですけど、そこで常にブラインドサッカーの軸はブレさせないんだけど、常に受け手とコミュニケーション取ってらっしゃるのが素晴らしいなと思います。
(松崎)そうじゃないとお付き合いしてくれなかったんですよ、皆さん。
お金が足りないので応援してくださいじゃ、ダメだった
よくお伝えするんですけど、2006、7年とか9年ぐらいまでは、企業を回っても誰も相手にしてくれませんでした。でもそれはやっぱり我々のやり方もまずかったんですよね。
(白石)やり方ですか・・。
ぐうの音も出なかった。でも何かがあると思った
(松崎)日本代表が頑張っているので、遠征行くのにお金が足りないので応援してください、支援してくださいってお願いしていました。ある時、企業の方に「僕も頑張っているし、頑張っている人たちはもう沢山いるし、何でわずか8人とか10人の日本選手のために、例えば税金やあるいは我々が頑張って売り上げたお金を寄付しなきゃいけないんですか」ってはっきり聞かれたんです。
そのときに、ぐうの音が出なかったんです。
でも何かがあると思っていて。
それが何なんだろうということが言語化できていなかったんですね。
だからこそ、僕らのビジョンをしっかり伝えるために、言語化にも取り組んできました。
次回は・・・
特定非営利活動法人日本ブラインドサッカー協会/事務局長 松崎英吾 さん
Vol.6 ぐうの音も、出なかった。でも何かがあると思った。(2)
これまでのJBFAさんの成長は、意外にも平坦なものではありませんでした。ビジョン策定の時も、徹底して現場の意見に耳を傾けたその姿勢が、ステークホルダーの皆さんへの真摯な態度につながっているのではないでしょうか?JBFAさんの活動は、子どもたちのダイバーシティ教育活動へと発展を遂げます。次回もお楽しみに!