若林 哲平
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前回までの記事
「教育上、何の意味もありません。」
(松崎)こんな話もありました。
小学校の体験学習も知ってほしいから体験会やらせてくださいって、各地の小学校をまわっていたんです。
そしたら、ある先生に「ブラインドサッカーをやらせても、子供たちの教育上何の意味もありません」って言われたんです。
(白石)なかなか厳しい・・・。
(松崎)でもやらせてくれたんです、その先生。で、やってみたら、「あ、なんか松崎さんの言いたいことは分かったけど、でもそれは全然学校の先生には響かないわよ。だったら響くようにちゃんとプログラムを作りなさいよ」って言われたのですよ。
それで、ブラインドサッカー体験会から、「スポ育」というダイバーシティ体験プログラムに名前を変えました。
「教育事業なんです」と切り替えたんですね。
(松崎)そしたら、口コミベースでドンドン申し込みが来るようになりまして。年間500件ぐらいやっているんですけど。お断りが300件ぐらいあります。4月には年度の3月までのスケジュールが埋まってしまうぐらいのプログラムになっています。2015年で510件なんですが、500件以上はもう僕らとしてのキャパの限界で、グラフが今横ばいになっているのはそういう理由です。
(白石)これは、無料のプログラムなんですか?どうやってマネタイズされているんでしょう?
スポ育は、最初は無料でやっていました
(松崎)まず、僕らは、学校からは1円も取らないと決めました。公教育に関わるということの意味ってそういうことなんじゃないのかと考えたのです。たしかに、1回のワークショップが500円なんていうイベントも沢山あります。でも、地域によって、時に500円の価値が違う中で、それはやっぱりおかしいよねって。
だからそれを受益者に負担させるのではなくて、我々が調達して実施することにしました。その結果、今では、教育委員会ら調達して実施したりと、色んなやり方で実施しています。
(白石)活動開始当初に無料でやるのもなかなか大変そうですが、そのあたりの資金確保はどうされていたんでしょうか?
スポ育の現場に足を運んでもらった
(松崎)当時は企業さんからスポ育パートナーっていうパートナーを集めてやっていました。
企業さんに、スポ育の現場に来てもらったら、あ、こういうプログラムだったら企業でもやったほうがいいんじゃないとか、私もやりたいわというニーズがあって、じゃあ試しにというので確か2012年ぐらいから大人向けのプログラム作りのパイロットとして始めました。
やってみたら結構好評で、プログラムももちろん開発期間だったのでお金もほとんど取らずにやっていました。でも個人で申し込んで体験も十分頂けるんだなと確信しましたね。価格テストとかもや理ました。正直1000円、2000円とかだとなかなかマネタイズできない。なので今は4000円のプログラムなんです。個人の人が障がい者スポーツを体験するのに4000円払うって結構な金額だと思うんですけど、定員数は20人とそんなに多くないこともあってほぼ毎回定員に達しています。
(白石)なるほど、個人でも気軽にブラインドサッカーを体験できるんですね。しかもそれが営業の場にもなるという・・・・。とてもきれいな流れですよね。
興味を持ってくれた人=エバンジェリスト
(松崎)今は、高田馬場の廃校跡でやっています。
出会った企業の方や名刺交換をした方にオフタイムに来てもらうことで、目指している理念を実際に体験できるプログラムになっています。
ここで興味を持ってくれた人たちが「ブラインドサッカー知ってるよ」から「私体験してこんなに面白かったんだよ」っていうふうに語れる人になってくれることでエバンジェリストになってくれる。テーブルの向こう側にいた人がこっち側に来て、「じゃあ上司説得するためにもう1回ここに呼んじゃおう」って言って呼んでくれて、いつの間にか「うちちょっと協賛したいんだよね」みたいな流れになっていくみたいなそういう商流のプログラムとしても大事な位置づけになっています。
(白石)自分の体験をさらに口コミで広めてくれるという流れは理想的ですよね。皆さんがファンになってくださるその一番の理由はなんでしょう?
(松崎)チームビルディングの要素なので、「人生一番のチームはこの90分のチームかも」ってびっくりするぐらい皆さんが言われます。それぐらい目隠しのツールって素晴らしいんです。
まとめ
● ステークホルダーの特性に合ったコンテンツ開発
● 自然な口コミが波及する仕組み作り
次回は・・・
特定非営利活動法人日本ブラインドサッカー協会/事務局長 松崎英吾 さん
Vol.7 ダイバーシティって、結局組織カルチャーと1人1人のマインドセットなんですよね。
学校に向けたプログラムを始めるときに「教育上何の効果も無い」なんて言われたら、落ち込んでしまいそうです。それを貴重なチャンスを捉える。まさにピンチはチャンス、ですね。次回は融資をきっかけに、この活動を更に深めるためのアクセルを踏んだお話です。どうぞお楽しみに!